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サチコとマリコの時事ネタ漫才  作者: 藍埜佑


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第214話「円が5円も生き返った日 ~15年ぶりの日米協調介入と、ベッセントさんの「やることリスト」~」

サチコ:(為替レートのアプリを開いて登場)マリコ、見てくれこの数字。


マリコ:なんや、ドル円のレートか。163円から157円て、えらい動いとるやんけ。


サチコ:そうや。実は今、日本の為替の世界で歴史的な事件が起きてんねん。しかも今日、8月3日にまさに正式発表があるっちゅうタイミングや。


マリコ:ほんまか!今まさに進行中の話やんか。


サチコ:話は7月末に遡る。円安がとんでもないことになってた。1ドルが163円台後半。約40年ぶりの円安水準やった。


マリコ:40年ぶり!そら大変なことやんか。輸入品も海外旅行もめちゃくちゃ高いやんな。


サチコ:そこで政府と日銀が動いた。7月30日から8月1日にかけて、断続的に円買いの為替介入を実施したんや。


マリコ:円買い介入!「円が安すぎるから、買い支えよう」っちゅうことやな。


サチコ:しかも今回は日本単独やなかった。米国の通貨当局と連携した「協調介入」やったんや。


マリコ:協調介入!それがどれくらいの珍しさなんや。


サチコ:これがえらいことで、日米の協調介入は2011年、東日本大震災の直後以来、実に15年ぶりや。しかも「円買い」の協調介入に限って言うたら、1998年のアジア通貨危機の時以来、28年ぶりなんや。


マリコ:28年!


サチコ:具体的な相場の動きを言うと、7月28日に163円87銭まで下落してたのが、介入を受けて、一時157円20銭台まで急伸した。


マリコ:163円から157円て、6円くらい一気に戻ったっちゅうことか。それはすごい振れ幅やな。


サチコ:しかも米国側の動きが、なかなか劇的やった。7月31日、米国政府の閣議にベッセント財務長官が出席した時、手許にあったメモが写真に撮られて報道された。


マリコ:メモ!何て書いてあったんや。


サチコ:「するべきこと」っちゅうやることリストの中に、「50億から100億ドル分の日本円購入」と書かれてたんや。


マリコ:財務長官の「やることリスト」に「円買う」って書いてあったんか!メモ帳に「牛乳買う」みたいなノリで「円買う」って書くの、スケールがおかしいやろ!


サチコ:しかもFT、フィナンシャル・タイムズの報道によると、米国当局はユーロを売って円を買う、っちゅう形で介入したっちゅう話や。


マリコ:ユーロを経由して円を買う!ちょっと回りくどいけど、それも作戦なんやろな。


サチコ:さらに米財務省はニューヨーク連邦準備銀行を通じて、複数の銀行に対して「円相場へ介入する可能性がある」と、異例の事前通告をしてたっちゅう報道もある。


マリコ:介入するって、事前に教えてまうんか!サプライズが命の作戦のはずやのに、ネタバレしてもうてるやんか。


サチコ:普通、為替介入は不意打ちが基本や。それをあえて予告することで、「本気で止めに来てるで」っちゅう強いメッセージを市場に送ったんやと考えられてる。


マリコ:「これから殴るからな」って予告してから殴るような、なんとも堂々とした作戦やな。


サチコ:日本側も、片山さつき財務相が「ワシントンと定期的に連絡を取り合ってる。必要ならいつでも適切に対応する」っちゅう発言をしてる。日本の通貨当局トップである三村淳財務官も「単なる精神的な支援を超える支援を得ている」と発言してる。


マリコ:「アメリカがしっかり味方についてくれてる」っちゅうアピールをしてたわけやな。


サチコ:しかも今日、8月3日には、日米両政府が正式に共同声明を発表する予定になっとる。


マリコ:まさに今日か!ほんまにタイムリーな話やな。


サチコ:ほな、なんで今回、アメリカがここまで協力的やったんか、っちゅう話をしよか。


マリコ:普通、他国の為替介入にアメリカは口出しせえへんイメージあるけどな。


サチコ:ここがポイントで、アメリカにも今回はメリットがあったんや。ひとつは、行き過ぎたドル高が、米国の輸出産業にとって不利になるっちゅう懸念があった。


マリコ:ドルが強すぎると、アメリカの製品が海外で高く見えてしまうっちゅうことやな。


サチコ:もうひとつは、日本国内のインフレへの配慮や。円安が進むと、日本国内で食品やエネルギーの価格が上がって、生活が苦しくなる。それが日本経済の不安定化を招けば、巡り巡って米国債市場にも悪影響が及ぶ、っちゅう見方もある。


マリコ:「日本が転けたら、アメリカも困る」っちゅう構造があったわけやな。


サチコ:それに日米の財務相は、去年の9月に共同声明を出してて、「為替介入は過度な変動や無秩序な動きに対処するために留保されるべき」っちゅう方針を確認してた。今回はその方針に沿った行動やったっちゅう位置づけや。


マリコ:あらかじめ「もしもの時は動くで」っちゅう合意ができてたわけやな。


サチコ:ほんで、この協調介入がどれだけ効果があったんか、っちゅう話や。ここが今日の一番大事なポイントになるで。


マリコ:そもそも単独の介入より効果あるんか。


サチコ:単独介入は「日本だけが焦って動いてる」っちゅう風に市場から見られがちで、投機筋、つまり為替で儲けようとする勢力に見透かされやすい。でも協調介入は「日米そろって本気や」っちゅう強いメッセージになるから、投機筋の円売りを強力に抑え込む効果がある。


マリコ:「一人で怒鳴っても軽く流されるけど、二人揃って睨まれたら、さすがにビビる」っちゅう理屈やな。


サチコ:まさにそういうことや。ただし、ここからが問題や。


マリコ:問題!?せっかく円高に戻ったのに。


サチコ:介入は、あくまで一時的な需給の調整でしかないんや。円安を生み出しとる根本的な原因、つまり構造要因は、介入では消せへん。


マリコ:構造要因って、具体的には何やねん。


サチコ:一番大きいのが日米の金利差や。日銀は6月に政策金利を1.0パーセントまで引き上げた。1995年9月以来、31年ぶりの高水準や。一方でアメリカのFRBは政策金利を3.50から3.75パーセントで据え置いてる。


マリコ:1パーセントと3.5パーセント以上。まだまだ大きな差があるやんか。


サチコ:この金利差がある限り、「円を持ってるより、ドルを持ってた方が儲かる」っちゅう構造が続く。せやから投機筋はチャンスがあれば、また円を売ろうとする。


マリコ:「せっかく戻したのに、また元に戻ろうとする力が働き続けてる」っちゅうことか。


サチコ:しかもそれだけやない。新NISAを通じて、日本の個人投資家が海外の株式、S&P500とかオルカンとかを買い続けてる。これも機械的に円を売ってドルを買う動きになる。


マリコ:うちらの資産運用が、実は円安の一因になってるっちゅうことか。ちょっと複雑な気持ちになるな。


サチコ:それからデジタル赤字っちゅうのもある。海外のクラウドサービスや広告費、ライセンス料の支払いが年々増えてて、これも継続的な円売り圧力になってる。


マリコ:スマホのアプリやサブスクの支払いも、実は円安に加担してるかもしれへんっちゅうことやな。うちも反省せなあかんかな。


サチコ:それとエネルギーの輸入。日本は資源を輸入に頼ってるから、円安になればなるほど、輸入のためにドルが必要になる。これも構造的な円売り要因や。


マリコ:整理すると、金利差、新NISAの海外投資、デジタル赤字、エネルギー輸入。これだけの逆風が、常に円安の方向に吹いてるっちゅうことやな。


サチコ:まさにそういうことや。せやから専門家の間では、今回の介入は「円安のトレンドを完全に反転させる」んやなくて、「行き過ぎたスピードを抑える防波堤」として機能する、っちゅう見方が多いねん。


マリコ:「止める」んやなくて「スピード違反を取り締まる」っちゅう感じやな。


サチコ:ここで過去の事例と比較してみよか。1998年の協調介入は、アジア通貨危機で今回と同じ「円買い」の方向やった。でもその後、日本の金融不安が解消されへんかったから、数ヶ月後にはまた円安に戻ってもうた。


マリコ:昔も似たようなことがあったんか。


サチコ:一方、2011年の協調介入は「円売り」やった。震災後に異常な円高になってたのを、G7全体で是正した。この時は市場環境と介入の方向が一致してたから、比較的うまくいったんや。


マリコ:円高を止めた2011年と、円安を止めようとしてる今回とでは、事情がかなり違うんやな。


サチコ:今回は、金利差っちゅう構造的な力に逆らう形での介入や。せやから2011年ほどスムーズにはいかへんかもしれへん、っちゅう慎重な見方も根強い。


マリコ:ほな、これからどうなっていくんや。


サチコ:今後の焦点は主に3つや。ひとつは日米が正式に発表する共同声明の中身。ふたつめは日銀が追加の利上げに踏み切るかどうか。みっつめはアメリカの金利がいつ下がり始めるか。


マリコ:この3つが揃わへんと、根本的な円高トレンドにはならへんっちゅうことやな。


サチコ:しかももう一つ大事なんが、今回の介入が「一度きり」で終わるんか、それとも「何度も繰り返す」んかっちゅう、市場側の受け止め方や。


マリコ:どういうことや。


サチコ:もし投機筋が「これは一発限りの花火や」と見抜いたら、また安心して円売りを仕掛けてくる。でも「163円を超えたら、また容赦なく介入してくるで」っちゅう恐怖が市場に根付いたら、円売りは仕掛けにくくなる。


マリコ:「本当にまたやってくるかもしれへん」っちゅう緊張感を、どれだけ市場に植え付けられるかが勝負なんやな。


サチコ:まさにそれが「信認」っちゅう言葉で語られる部分や。実弾の金額そのものより、当局がどれだけ本気で、どれだけ一貫した姿勢を見せ続けられるかが、今後を左右する。


マリコ:なるほどな。ほんで結局、うちらの生活にはどう影響するんや。


サチコ:円高方向に振れれば、輸入品や海外旅行が多少お得になる。ただし完全な反転は期待しすぎたらあかん。当面は160円前後を挟んだ、荒い値動きが続くと見ておいた方がええやろな。


マリコ:「劇的に良くなる」んやなくて、「悪化するスピードが緩む」くらいの気持ちでおいた方がええっちゅうことやな。


サチコ:それが今のところ、一番現実的な見立てや。


マリコ:しかしベッセントさんの「やることリスト」、私も真似してみよかな。「牛乳買う、卵買う、ついでに円も買う」って。


サチコ:お前が円買っても、1万円分がせいぜいやろがい!国家予算とスケールが違いすぎるわ!


マリコ:まあ、うちも家計の「介入」くらいはしとかんとな。


サチコ:それは介入やなくて、ただの節約や!もうええわ!


マリコ・サチコ:どうもありがとうございましたー!

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