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サチコとマリコの時事ネタ漫才  作者: 藍埜佑


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第206話「同じ文書で二通の勝利宣言が出た話~80歳の誕生日に総合格闘技UFCのチャンピオンシップ「UFC Freedom 250」と停戦合意をやった男と、60日という名の時限爆弾の話~」

マリコ:(急いで登場)サチコ!大変や!


サチコ:なんや急に。


マリコ:ホルムズ海峡が開いたで!


サチコ:あー、そのニュース。


マリコ:ニュースが出たやんか!「アメリカとイランが停戦で合意!」という。これで全部解決やな!


サチコ:「全部解決」ではないねんけど。


マリコ:なんで!?停戦合意したんやろ!


サチコ:「停戦合意」と「全部解決」の間には、かなりの距離がある。


マリコ:距離があるの?どれくらいや。


サチコ:とりあえず今日の話は「同じ紙を読んで、なぜ二つの全く違う勝利宣言が出たのか」という話やな。


マリコ:同じ紙で違う宣言!?どういうことやねん。


サチコ:まず基本的なことを言うで。6月14日、アメリカとイランが「覚書(MOU)」という合意文書に電子署名した。


マリコ:6月14日というのは何の日や。


サチコ:アメリカの旗の日。そしてトランプさんの80歳の誕生日。


マリコ:誕生日!80歳の誕生日に戦争を終わらせたんか!これは映画みたいな話やんな。


サチコ:しかもその夜、ホワイトハウスの芝生でUFCのケージファイトイベントをやった。


マリコ:UFCってあの総合格闘技の!?停戦合意の発表と格闘技大会を同じ日にやったんか!


サチコ:しかも前後の時間帯に。「停戦発表→誕生日パーティー→ケージファイト」という一日や。


マリコ:「停戦して、誕生日祝って、格闘技を見た」という一日は、世界の大統領の中で他に誰もやってへんやろな。


サチコ:「多様な一日」とは言えるな。


マリコ:しかも停戦の発表の仕方も特徴的やったんやろ。


サチコ:真実ソーシャルというSNSに投稿した。最初の言葉が「Let the oil flow! 石油を流せ!」やった。


マリコ:「石油を流せ!」が歴史的停戦の第一声!かっこいいのかかっこよくないのかよく分からへんな。


サチコ:「詩的」ではないけど、分かりやすくはある。


マリコ:で、内容は?


サチコ:60日間の停戦延長、ホルムズ海峡の通航料なし全面開放、アメリカの海上封鎖の解除、その後60日間の核問題・制裁交渉、というのがアメリカ側の説明や。


マリコ:60日!また60日という数字が出てきた。なんでいつも60日なんやろ。


サチコ:「短すぎず長すぎず、とりあえず時間を稼ぐのに最適な数字」なんやろな。


マリコ:「とりあえず60日」というのは、「後で考える」ということを上品に言い換えてるということか。


サチコ:それをトランプさんは「偉大な合意だ」と言うた。


マリコ:「偉大な合意」か。G7でマクロン大統領と並んで記者会見した時も言うてたな。「合意は全部済んだ」って。


サチコ:「The deal's all signed(ディールは全部署名済みだ)」と言うた。マクロンさんの隣で。


マリコ:ところが合意文書の全文は「まだ公開してない」と言うたんやろ。


サチコ:「かなり近いうちに公開する。おそらくジュネーブでの正式署名の後、かなり近い将来に」と言うた。


マリコ:「署名の後で全文を公開する」!普通は「内容を確認してから署名する」やんな。


サチコ:「署名したのに内容を教えてくれない」という奇妙な状況や。


マリコ:「ドアベルを押したら引っ越してたぐらいのタイミングで中身を教えてくれるということか。


サチコ:で、ここで今日の核心やねんけど。アメリカとイランが同じ文書に署名してるのに、二つの全く違う内容が発表された。


マリコ:それがさっきの「同じ紙で違う宣言」ということやな。


サチコ:アメリカのトランプさんは記者会見でこう言うた。「イランは核兵器を持たないことに完全に同意した。強力な監視権限付きで。」


マリコ:明快やんか。「核兵器を持たない、以上」と。


サチコ:一方でイランの国家安全保障最高会議はこう発表した。「制裁解除交渉を60日間行う。ウランの備蓄は自国内で希釈する。イランの核の平和利用の権利は維持される。」


マリコ:……全然違う内容やんか。


サチコ:アメリカ「核兵器は絶対に持たない、監視付き」、イラン「制裁を外せ、ウランは自分たちで処分する、権利は守る」という。


マリコ:「核兵器を持たない」という言葉に対して、イランは「そんなことは元々そのつもりだ」という意味で同意して、アメリカは「それは大きな譲歩だ」という意味で喜んでるわけか。


サチコ:「同じ言葉を全然違う意味で使っている」というのが今回の合意の実態や。


マリコ:「同じレストランに入って、メニューを見てるつもりが全然違うものを注文してる」みたいな。


サチコ:しかもウランの扱いが象徴的でな。アメリカは「ウランは国外に持ち出せ」と要求してる。イランは「国内で自分たちで薄める」と言ってる。


マリコ:「国外に出す」と「国内で処理する」では、全然違うやんか。国外に出したら手元から消えるけど、国内で処理するなら「濃縮し直せる」ということにもなるやんな。


サチコ:そこが専門家が一番心配してるポイントや。「自国内で希釈」というのは「いつでも再濃縮できる状態を保つ」ということでもある。


マリコ:「薄めたけど捨ててない」ということか。これはどう解釈するかによって全然違う話になるな。


サチコ:そして「いつどこでも査察できる」というIAEAの検査体制についても、アメリカは「強力な監視権限」と言い、イランは「平和利用の権利の範囲内で」という条件をつけてる。


マリコ:「強力な監視」と「条件付きの監視」は全然違うやんな。


サチコ:「同じ紙を読んで、全然違う内容を発表した」というのはこういうことや。


マリコ:「両方が勝利宣言を出せる曖昧な文書」ということか。これは意図的なんやろな。


サチコ:外交ではよくあることで、「両方が国内向けに勝利と言える余地を残した」という設計や。問題はその余地が「60日後に何か本当のことを決めないといけない」という難題を積み残してること。


マリコ:「曖昧にしたツケが60日後に来る」ということやな。


サチコ:そしてもう一人の重要な登場人物がいて、それがイスラエルや。


マリコ:イスラエル!イスラエルはどうしてるんや。


サチコ:MOU発表と同じタイミングで、イスラエル軍がレバノン南部に「民間人は避難せよ」という通告を出した。


マリコ:「米国がイランと停戦合意した直後に、イスラエルがレバノンに攻撃通告」ということか!


サチコ:ネタニヤフ首相は「イランとの合意はイランとの合意であって、ヒズボラとの戦争は別物だ」と言った。


マリコ:「ヒズボラは別」!でもヒズボラはイランが支援してる組織やんな。「イランとは停戦したけど、イランが支援してる組織は攻撃する」という論理か。


サチコ:イランの合意文書には「全戦線での恒久停止」という文言があって、イランは「レバノンも含まれる」と言ってる。でもアメリカとイスラエルは「レバノンは別だ」と言ってる。


マリコ:「また別の解釈の分裂」やんか!「全戦線」という言葉を巡って、含まれる・含まれないという議論が今も起きてるということか。


サチコ:マクロン大統領も「レバノン問題は合意の核心的な課題だ」と言って、イスラエルを暗に牽制した。


マリコ:そのG7はどんな雰囲気やったんや。


サチコ:フランスのエヴィアンという静かな保養地で、6月15日から始まった。トランプさんは到着してすぐ「合意はもう全部済んだ。石油が下がって株が上がってる。最高だ」と言った。


マリコ:G7で「株が上がってる」を最初に言った大統領も珍しいな。


サチコ:確かに市場は反応した。株価は1.9パーセント上がって、油は5パーセント近く下がった。


マリコ:そこは本当に成果やんな。「発表したら経済が動いた」という。


サチコ:でもその後60日で本当に核問題が解決するかどうかは、誰も分かってへん。


マリコ:60日で「高濃縮ウランをどうするか」「IAEAの査察を受け入れるか」「制裁をいつ解除するか」を決めるというのは、現実的なんか。


サチコ:2015年のイラン核合意、通称JCPOAというのを作るのに、かなり長い交渉期間がかかった。その時でも「信頼関係があって多国間で交渉して」という体制があった。今回は信頼関係がほぼゼロの状態で60日でやる、という。


マリコ:「20年以上解決しなかった問題を60日で解決する」ということか。


サチコ:「小幅な妥協で延長する」か「決裂してトランプさんが攻撃再開を命じる」か、どちらかになる可能性が高いと専門家は見てる。


マリコ:「攻撃再開」!トランプさんはそれを言ったんか。


サチコ:「もし60日間の交渉がうまくいかなければ、軍事作戦を再開することもある」と示唆してる。


マリコ:「交渉するか、また爆撃する」という、どちらかしかないということか。


サチコ:「60日後に答えを出せ、でなければ攻撃する」という圧力をかけながら交渉する、というスタイルや。


マリコ:これはトランプさんの典型的なやり方やんな。「最大限の圧力をかけながらディールをする」という。


サチコ:「最大圧力→ディール」というのがトランプ外交の基本パターンで、今回もその構造や。


マリコ:でもサチコ、今日の漫才で一番笑えるところを教えてくれ。


サチコ:笑えるところ?


マリコ:「このニュースで一番おかしいのはどこか」というやつや。


サチコ:あえて言うなら……正式署名式は6月19日にジュネーブでやる予定やねんけど、トランプさんが「自分は行くかどうか分からない」と言うた。


マリコ:行くかどうか分からない!自分がまとめた合意の署名式に!


サチコ:「それはバンスが行く」と言って、自分は出席するかどうか「それは分からない(it depends)」と言うた。


マリコ:「俺が作った合意の署名式に俺が行くかどうか、まだ決めてへん」というか!それは……会社の決算発表を社長ではなく副社長が行くことに、しかも社長が「行くかどうかわからん」と言いながら決める、みたいなもんやな。


サチコ:外交的には「完全に格式を逸した」という話やけど、それがトランプ外交の特徴でもある。


マリコ:ほんで合意文書の全文も、「署名の後でいつか公開する」と言うてるんやな。


サチコ:「かなり近いうちに(pretty soon)」という言葉で誤魔化してる。


マリコ:「かなり近いうち」というのが外交的な「まだ決まってない」という意味やんな。


サチコ:そしてもう一つ面白い話として、今回のG7、開幕の日程がフランス側の当初の予定から1日ずれたという情報がある。


マリコ:なんでずれたんや。


サチコ:「トランプさんの誕生日と重なるため1日ずらした」という話が出てる。


マリコ:G7の日程が大統領の誕生日との兼ね合いで動いた!それはフランスとしてはなかなか言いにくいずらし方やな。「大統領の誕生日なので日程変更します」という。


サチコ:「議長国として、最も重要なゲストの80歳の誕生日に開幕できない配慮」なのか、「誕生日の発表と重ならないようにした外交的配慮」なのか、どちらとも解釈できる。


マリコ:「G7の開幕日程が一人の人間の誕生日で動く」というのは、地政学的には何か示唆するものがあるな。


サチコ:「大統領の個人的なタイムラインが国際外交の日程を動かす」という権力の集中を示してると言える。


マリコ:そして今回の漫才の最後に日本の話をしてくれ。


サチコ:日本の話は、高市首相がG7でデビューを果たしたということやな。首相としての初G7参加がこのタイミングや。


マリコ:ホルムズ問題と停戦合意と核交渉というど真ん中のタイミングでデビューしたのか。


サチコ:日本の立場を言うと、ホルムズが開けば石油の輸送コストが下がって、日本経済には直接プラスになる。原油価格も下がった。


マリコ:それは素直に良かったな。


サチコ:ただし高市首相は「核問題の厳格な解決」を求め、IAEAによる検証を重視する姿勢を取った。核廃絶への立場から「曖昧な合意で終わらせてはいけない」という日本独自のメッセージを出した。


マリコ:「唯一の核被爆国」という立場からの発言ということやな。


サチコ:「ホルムズが開いて経済が良くなった、でも核問題が解決してなければ根本的な問題は残る」というのが日本の現実やな。


マリコ:「短期的な恩恵と長期的な不安が同時にある」ということか。


サチコ:そしてイランは最近の日本との電話会談で「日本に凍結されている資産を医薬品購入のために使いたい」と言ってたけど、今回の合意でイランが石油を売れるようになれば、その問題も変わってくる可能性がある。


マリコ:「ホルムズが開いてイランが石油を売れるようになれば、日本に頼らなくても医薬品を買えるようになる」ということか。


サチコ:外交的な玉突きや。一つの変化が連鎖して別の問題を解決する可能性がある。


マリコ:でも全部「60日間の交渉がうまくいけば」という前提つきやんな。


サチコ:「60日という時間は、問題を解決するには短すぎるが、何かを演出するには十分な長さ」という分析がある。


マリコ:「解決するためではなく、演出するための60日」ということか。これは……深い話やな。


サチコ:「誕生日の贈り物」として受け取れる合意を作れたが、贈り物の中身は60日後まで分からない。


マリコ:「プレゼントを渡したけど、まだ開けてない」ということか。


サチコ:「開けたら想像と違うものが入ってた」ということになるか、「想像通りの素晴らしいものだった」ということになるか、6月19日の署名式を経て60日後の8月半ば頃に少し答えが見えてくる。


マリコ:「また、つづくか」ということやな。


サチコ:この話は2025年から続いてる話で、今日の合意でも「つづく」が決定してる。


マリコ:「つづく」の60日後の話を楽しみにしてることにするわ。


サチコ:「楽しみに」という感覚が正しいかどうかはともかく、「何かが起きる期間」であることは確かやな。


マリコ・サチコ:どうもありがとうございましたー!

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