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サチコとマリコの時事ネタ漫才  作者: 藍埜佑


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第198話「カナリア諸島も断った!~14,000ユーロの豪華客船がネズミ1匹に沈められかけた週と、あのウイルスを思い出した話~」

サチコ:(いつも通り登場。マリコを探してキョロキョロ)マリコ、どこや。


マリコ:(舞台裏から声だけ)……まだ入れへん。


サチコ:なんで入れへんねん。


マリコ:サチコ、あんた手洗ってきた?


サチコ:洗ってきたで。なんやねん。


マリコ:アルコール消毒は?


サチコ:玄関でしてきたわ。なんや急に。


マリコ:(ゆっくり登場、マスク二枚重ねで)


サチコ:なんやその姿!二枚重ねのマスクして!しかも消毒液の小瓶まで持ってる!また防護服が必要なウイルスが出たんか!


マリコ:(マスク越しに)サチコ、聞いてくれ。私、昨日クルーズ船のツアーを申し込もうとしてたんや。


サチコ:クルーズ?豪華そうやな。


マリコ:14,000ユーロのコースを本気で検討してた。


サチコ:14,000ユーロ!それ日本円でいくらや。


マリコ:今のレートで210万円ほどや。


サチコ:210万円!あんたの給料何ヶ月分や!


マリコ:それは言わんといてくれ。で、申し込む前にその船のレビューを調べたら、ニュースになっとって。


サチコ:何が出てきたんや。


マリコ:「MV ホンディウス、ハンタウイルスで乗客3名死亡」


サチコ:……あー。それで二枚重ねマスクかい。


マリコ:すんごい怖いやんか!しかも「世界的パンデミックになるか」とかSNSに書いてあって!


サチコ:まず落ち着いて、マスク一枚外せ。今日の漫才はそこから始まる話やから。


マリコ:(一枚外す)どういうこと?


サチコ:「ハンタウイルスは本当にパンデミックになるのか」「それともSNSが騒ぎすぎなのか」を整理するのが今日の話や。


マリコ:ほなすぐに教えてくれ!私が申し込まなかったのは正解やったんか、過剰反応やったんか!?


サチコ:結論から言う。申し込まなかったのは正解やけど、理由はSNSが言ってる理由とは違う。


マリコ:「正解だけど、理由が違う」って、どういうことや。


サチコ:そもそも「MV ホンディウス」という船がどんな旅をしてたか、知ってるか。


マリコ:知らん。超高い船っちゅうことしか知らん。


サチコ:4月1日、アルゼンチンの最南端の街、ウシュアイアを出発した。目的地は南極と南大西洋の孤島めぐり、33日間の旅や。


マリコ:南極!孤島!33日間!210万円払って南極に行く人がいるんやな。


サチコ:それで乗客150人ほどが乗っとって、23カ国籍の人たちや。


マリコ:23カ国!「海の上の国連」みたいな船やな。


サチコ:乗船から5日後の4月6日、最初の乗客が発症した。


マリコ:5日後!出発してすぐやんか。


サチコ:そしてその人は4月11日に亡くなった。


マリコ:……出発から10日で。


サチコ:奥さんもセントヘレナ島で下船して、ヨハネスブルグの病院で亡くなった。


マリコ:ご夫婦が……。それは重い話やな。


サチコ:その後も感染者が出続けて、最終的に今日時点で9例の感染、3名が亡くなっとる。致死率で言うたら3分の1や。


マリコ:9例中3名。それは……怖い数字やな。


サチコ:ここでハンタウイルスそのものの話をしよか。


マリコ:SNSで「第二のコロナ」と書いてあったけど、本当にそうなんか。


サチコ:「第二のコロナ」ではない。でも「安全です」とも言いにくい。これが正直な答えや。


マリコ:「どちらでもない」か。今月の漫才はいつも「白黒つかない答え」から始まるな。


サチコ:まずハンタウイルスとは何かという話やけど、一言で言うと「ネズミのウイルス」や。


マリコ:ネズミ!


サチコ:正確には齧歯類が持つウイルスで、そのネズミの尿や糞や唾液に触れたり、それが乾燥してちりになったものを吸い込んだりすることで感染する。


マリコ:「ネズミの糞を吸う」っちゅうことか。それは怖い。でも船にネズミがおったんか。


サチコ:「船内にネズミはいなかった」というのが専門家の見解や。だから最初の感染は船内では起きてへん。


マリコ:どこで起きたんや。


サチコ:最初に亡くなったオランダ人のご夫婦がな、乗船前の4ヶ月間、チリ、ウルグアイ、アルゼンチンを旅してたんや。


マリコ:4ヶ月も南米を旅して、その後に船に乗ったんか。


サチコ:しかもその旅の目的が「バードウォッチング」、つまり野鳥観察旅行やった。


マリコ:バードウォッチング!鳥を見るために南米を4ヶ月旅して、その途中でネズミのウイルスをもらってきたっちゅうことか!


サチコ:鳥を探してたら、鳥の代わりにウイルスを連れ帰ってしまったという、皮肉な話やな。


マリコ:「バードウォッチングでバードでなくウイルスをキャッチした」っちゅうことか。野鳥の会の人が聞いたら「そこで鳥の話をするな」と言うやつやな。


サチコ:WHOの発表では、この夫婦はアルゼンチンで「そのウイルスを持つネズミの種が生息する地域」を訪れていたとされとる。で、潜伏期間が1週間から8週間あるから、乗船した時点では自覚症状がなかった。


マリコ:「無症状で乗ってきて、船の上で発症した」っちゅうことか。これは……誰も防がれへんやんか。


サチコ:そうやねん。しかも今回の厄介さはここからで、船内で他の乗客に広がっとんねん。


マリコ:人から人に感染したっちゅうことか。でもハンタウイルスは「ネズミのウイルス」やろ。人から人に感染するんけ?


サチコ:普通はせん。でも「アンデスウイルス」という特定の型だけは例外で、長時間の濃厚接触で人から人への感染が確認されとる。


マリコ:「アンデスウイルスだけが例外」か。しかも今回の船のウイルスが……。


サチコ:全員からアンデス株が検出されとる。


マリコ:唯一の例外の型が、今回のケースやったっちゅうことか!これはもう「最悪の組み合わせ」が起きたわけやな。


サチコ:閉鎖空間の船に、人から人に感染する唯一のハンタウイルスが持ち込まれた。クラスターが起きる条件が全部揃ってしまった、という。


マリコ:ここで気になるのは、じゃあどれくらい「コロナみたいに」なるんやっちゅうことや。やっぱり新型コロナウイルスがパンデミックしたときを思い出してしまうよな~。あの時も「クルーズ船でクラスター」という話があったやんか。


サチコ:ダイヤモンドプリンセス号やな。2020年の2月に横浜で大騒ぎになったやつ。


マリコ:そうや!「乗れへん、降りれへん、でも船内で感染者が増え続ける」という、あの悪夢みたいな状況が今回もやんか、と思てん。


サチコ:構造は似てるけど、本質は全然違うんや。コロナとハンタウイルスの違いを整理するで。


マリコ:頼むで。


サチコ:コロナは「人間が主役のウイルス」やった。人間の体で効率よく増えて、無症状のうちに他の人に広がる。飛沫でもエアロゾルでも感染する、というのがコロナの強さやった。


マリコ:「人間を最大限に利用するために最適化されたウイルス」っちゅうことか。コロナは人間を「すごく利用した」わけやな。


サチコ:一方のハンタウイルスは「ネズミが主役のウイルス」や。ネズミの体の中で生きることを優先していて、人間に感染するのは「飛び火」みたいなもんなんや。


マリコ:「本来の住所はネズミで、たまたま人間の家に迷い込んでしまった」っちゅうことか。


サチコ:そう。せやから人間の体での増殖は効率が悪い。「長時間の濃厚接触がないと感染しにくい」というのは、ウイルスが人間に対して十分に適応しきれていないっちゅうことでもある。


マリコ:「コロナは人間専用車、ハンタはネズミ専用車」で、ハンタが人間の道路を走ろうとしたら効率が悪い、っちゅうことか。


サチコ:なかなかええ例えやな。コロナのように無症状の人が電車に乗るだけで50人に感染させる、っちゅうことは起きにくい。


マリコ:そうか。でも一方で、今回のケースでの致死率が3分の1やんな。感染者数は少ないけど、感染した人の3人に1人が亡くなっとる。


サチコ:そこが今日の話の核心的な矛盾やねん。「広がりにくいが、感染すると非常に危険」という組み合わせや。


マリコ:コロナは「広がりやすいけど、致死率は低い」という組み合わせやったな。


サチコ:専門家が言う「感染症の危険性」の評価で、「致死率」と「社会的破壊力」は別物だという話がある。コロナは致死率が低いのに世界を止めた。ハンタは致死率が高いのに社会は動き続けている。


マリコ:「致死率が高い=社会が止まる」ではないんやな。コロナの逆やんか。


サチコ:エボラ出血熱も似た話で、致死率は非常に高いけど、アフリカの特定地域で局所的に収束する。なぜかというと感染するためのハードルが高いから。


マリコ:「怖さの方向性が違う」っちゅうことか。ハンタやエボラは「感染した個人にとっては非常に怖い」けど「社会全体が崩れるかというと違う」という話やな。


サチコ:WHOの事務局長テドロスさんも一言で言うた。「これはコロナではない」と。


マリコ:「これはコロナではない」!その一言を一番最初に言ってくれたら私の二枚マスクも要らんかったのにな。


サチコ:一番大事な言葉が一番先に来ないのが情報の宿命やな。


マリコ:ところでこの船、なんで6週間近くも海を漂ってたんや。感染者が出たら、すぐ近くの港に寄港して下船させればええやんか。


サチコ:そこが今回の「もう一つのドラマ」やねん。港が受け入れを断ったんや。


マリコ:え!?断られたんか!


サチコ:まずカーボベルデ。大西洋の西アフリカ沖にある島国や。「うちの施設では対応しきれない」と入港拒否。


マリコ:「船に乗ってる人間が死にかけてるのに、入港拒否」!それはしんどい話やな。


サチコ:次にスペイン領のカナリア諸島に向かうことが決まった。でもカナリア諸島の首長が「入港を認められない」と言い出した。


マリコ:カナリア諸島まで断ったんか!


サチコ:首長の言葉がな、「コロナ禍の時の経験が……」という理由やった。


マリコ:ああ!コロナの時にカナリア諸島でも大変やったんやな。「あの時みたいになるのが怖い」という。


サチコ:地元の港湾労働者も「ちゃんと説明してくれてへん、怖い」と抗議活動をやった。


マリコ:港の労働者が抗議!「命令されたら動くけど、リスクの説明もなしには動かん」っちゅうことやな。これはコロナ禍で世界が学んだ「黙って従う時代は終わった」という話の延長やんな。


サチコ:最終的にはスペインの中央政府が「国際法と人道原則に従って受け入れる」と決めて、テネリフェ島の港に5月10日に到着した。


マリコ:「中央政府が押し切った」っちゅうことか。


サチコ:地方と国の綱引きが、感染症の対応でまた起きた、という。


マリコ:「誰が責任を取るか問題」がまた出てきたな。コロナの時も「国と自治体、誰の指示に従うのか」という混乱があったやんか。


サチコ:で、テネリフェ島で94人が下船して、19カ国に分かれて帰国した。


マリコ:19カ国に帰るわけやな。アメリカ人はどこに連れて行かれたんや。


サチコ:アメリカ人乗客17人とアメリカ在住のイギリス人1人の計18人が、軍の輸送機でネブラスカ州のオファット空軍基地に運ばれた。


マリコ:ネブラスカ!南極と南大西洋の孤島を巡る210万円のクルーズを申し込んだ結果、ネブラスカに連れて行かれたっちゅうことか!


サチコ:そしてネブラスカ大学医療センターの国家検疫ユニットに収容されとる。


マリコ:「国家検疫ユニット」!入院病棟ではなくて検疫施設か。しかも「似たようなホテルの部屋が並んでる感じ」という説明があったで。


サチコ:そうや。「隔離が必要だけど、元気な人向けの施設」という位置づけで、15人は通常の検疫部屋、1人だけ陽性だったけど無症状という人が医療設備のある部屋に入っとる。


マリコ:210万円のクルーズの最後がネブラスカのホテルみたいな隔離部屋か……これはクルーズ会社も返金せなあかんやろな。


サチコ:あんたが申し込まなかったのは、金銭的には正解やったかもしれへんな。


マリコ:そやろ!「申し込まへんかったのが大正解!」と思ったんやけど……210万円の旅行が「ネブラスカで42日隔離」になるとは思わへんかったやんか。


サチコ:「42日」というのはWHOが推奨する隔離期間や。ハンタウイルスの最長潜伏期間が56日という説もあって、念のため長めに設定されとる。


マリコ:33日間の旅行に申し込んで、最長56日間の潜伏期間がある病気にかかる可能性がある。旅行より長い潜伏期間やんか。


サチコ:「33日間の旅行の後に、42日間の隔離」という可能性もあった、っちゅうことやな。


マリコ:3ヶ月以上、海の上と隔離施設を行き来するだけの旅になってしまうというか。


サチコ:フランス人の乗客は帰りの飛行機の中で症状が出た。


マリコ:飛行機の中で!!帰り道に発症したんか!


サチコ:それでフランスの保健大臣が「接触者22人を特定した」と発表して、同じ飛行機に乗ってた人を隔離措置に入れた。


マリコ:「帰ったと思ったら、飛行機でまた感染が広がった」という展開か。終わったと思ったら続く、という今月の漫才のテーマがここでも出てきたな。


サチコ:そしてアメリカ人の帰国便では、1人が「軽度陽性」だったことが飛行中に判明して、機内の「バイオコンテインメントユニット」で移送された。


マリコ:飛行機にバイオコンテインメントユニットがあるんか!普通の飛行機やないんやな。


サチコ:軍の医療輸送機やから特別な設備があるんや。


マリコ:「エコノミークラスの隣の席にバイオコンテインメントユニット」はないっちゅうことやな。それはよかった。


サチコ:当たり前や。


マリコ:ところで日本人は乗ってたんか。


サチコ:1人乗ってたという情報がある。


マリコ:1人!その人は大丈夫やったんか。


サチコ:感染兆候なし、という報告があって、順次帰国の途につくとされとる。


マリコ:「1人で乗って、1人で感染ゼロで帰ってくる」という……日本人の孤独力というか、接触機会の少なさが逆に守ったかもしれへんな。


サチコ:それは統計的に言えることではないけど、「濃厚接触があまりなかった」という可能性はあるな。


マリコ:で、今後もっと感染者が増えるんか。世界中に乗客が散らばってるやんか。


サチコ:CDCが「レベル3の緊急対応」に分類して、アメリカ国内の複数の州で乗客を追跡調査しとる。アリゾナ、カリフォルニア、ジョージア、ニュージャージー、テキサス、バージニア。


マリコ:6州で追跡!それって飛行機でアメリカ全土に散らばった乗客を追いかけてる、っちゅうことやな。


サチコ:でも今のところ、下船後の新たな感染爆発は起きていない。WHOは「広範囲なアウトブレイクのリスクは極めて低い」という評価を維持しとる。


マリコ:「追いかけてるけど、広がってない」っちゅうことか。


サチコ:なぜ広がらないかの説明として、さっきの「ハンタはネズミのウイルス」という話に戻るんや。


マリコ:「人から人に感染するためには長時間の濃厚接触が必要」やから、普通の日常生活レベルでは伝わりにくいっちゅうことやな。


サチコ:そうや。帰宅した乗客が電車に乗っても、その電車の中で感染が広がる可能性は非常に低い。


マリコ:コロナの時は「電車に乗った翌日に感染してた」という話が当たり前にあったもんな。あれとは全然違う話やっちゅうことか。


サチコ:そこが「個別リスク型」と「社会全体リスク型」の違いやな。感染した個人は非常に危険、でも社会全体が止まるっちゅうことにはなりにくい。


マリコ:「恐怖の方向が違う」っちゅうことやな。ハンタは「感染した人にとっての怖さ」で、コロナは「感染した人も含めた社会全体の怖さ」やったと。


サチコ:そしてSNSで「第二のコロナ」と書かれとるのは、「高致死率」という数字だけを見た誤解から来とる。「致死率が高い=世界が止まる」という短絡や。


マリコ:「3分の1が死ぬウイルスが来た!」という発信を見たら、誰でも怖くなるもんな。でもその「3分の1」というのは、9人のうち3人という、非常に限られたサンプルやんか。


サチコ:しかもその9人全員が同じ密閉空間に長期間閉じ込められた特殊な環境の話やからな。


マリコ:「閉鎖空間で長期接触」という、感染が一番起きやすい条件が揃った場所でのデータやっちゅうことか。


サチコ:そうや。これが「開放空間で短時間接触する日常生活」の状況に直接当てはめられるわけやない。


マリコ:そういえば、治療薬はあるんか。


サチコ:ない。ワクチンも、日本には承認されとらんものしかない。


マリコ:ない!?それは怖いな。


サチコ:治療は「支持療法」だけや。つまり症状に対処しながら、体が自分で回復するのを助ける医療をするしかない。


マリコ:「ウイルスに直接効く薬がなくて、体を助けながら待つしかない」っちゅうことか。これはコロナの初期と同じ状況やな。


サチコ:ただしワクチン開発は進んでいて、今13種類が開発中や。韓国ではすでに承認されたワクチンがある。


マリコ:韓国が先を行ってるんやな。日本はどうやっとるんや。


サチコ:日本国内でのリスクという話をすると、「媒介するネズミの種」がほとんど生息してへんから、日本での感染拡大リスクは低い。


マリコ:「そのネズミが日本にいない」という、地理的・生態学的な防御壁があるっちゅうことやな。


サチコ:ただし完全にゼロではなくて、港湾や輸入貨物、あと南米を旅行して帰ってきた人からのリスクは一応ある。


マリコ:「完全ゼロではないけど、過度に怖がる必要はない」っちゅうことやな。


サチコ:今回のことで一番大事な教訓は「ヘルスリテラシー」という言葉で表せるな。


マリコ:「健康情報の読み解き力」っちゅうことやんな。コロナのあとに「情報を正しく読む力が大事」という話が散々出てきたけど、結局まだ訓練が足りてないっちゅうことか。


サチコ:「3人死亡」という数字と「世界的パンデミックになるリスクが低い」という評価は、両方同時に真実として存在できる。


マリコ:「数字の怖さと、社会リスクの低さは別物」っちゅうことやな。これはまさに今月の漫才で繰り返してきた「数字の表面だけで判断するな」という話の応用やんな。


サチコ:日経平均の話でも「6万円という数字が市場全体の強さではない」という話をしたし、今回も「38%という致死率がパンデミックリスクではない」という話や。


マリコ:「数字は嘘をつかないけど、数字だけが全てでもない」という。


サチコ:正確な表現やな。で、今日の話のしめにもう一個面白いことを言うで。


マリコ:何や。


サチコ:この話は「ジーン・ハックマン」という名前で一部で語られとることがある。


マリコ:ジーン・ハックマン?映画俳優の?


サチコ:そうや。2025年3月に、あのジーン・ハックマンさんの奥さんのベッツィ・アラカワさんが、ニューメキシコ州でハンタウイルスで亡くなった。「シン・ノンブルウイルス」という別の型やけど。


マリコ:ハックマンの奥さんが……知らんかった。


サチコ:アメリカではその時に「ハンタウイルスとは何か」という啓発記事が広まった。で、今回の船の事件で「また来たか」というムードがアメリカで生まれとる。


マリコ:「ジーン・ハックマンのフィルノワール作品みたいな名前のウイルス」から始まって、「豪華客船での集団感染」まで来た1年間っちゅうことか。


サチコ:ハンタウイルスが「有名人ニュース」から「クルーズ船ニュース」になった、という経緯や。


マリコ:「有名人から船へ」という広がり方も、ウイルスの認知の広がり方として教訓的やな。


サチコ:「知ってる人がなった」から「知ってる場所でアウトブレイクした」へ、という。


マリコ:ところでサチコ、最後に一個だけ言わせてくれ。


サチコ:何や。


マリコ:私が申し込もうとしてた14,000ユーロのコース。


サチコ:うん。


マリコ:33日間の旅行やんな。


サチコ:そうや。


マリコ:で、その船に乗った人はテネリフェ島で下船して、帰国便でさらに症状が出た人もいて、アメリカ人はネブラスカの検疫施設に連れて行かれて、42日間の隔離推奨がある。


サチコ:そうやな。


マリコ:33日間旅行して、42日間隔離推奨。


サチコ:うん。


マリコ:旅行より隔離の方が長いってどういうことやねん!


サチコ:「旅行期間より長い隔離期間」という逆転現象やな。


マリコ:しかも旅行代金は14,000ユーロから22,000ユーロ。隔離費用は……政府が持つとして、でも「元を取れるか」という観点で言ったら絶対に元が取れへんやんか。


サチコ:「南極を33日で見て、ネブラスカで42日過ごす旅」か。


マリコ:「南極もネブラスカも行ける旅」と考えたら最高率のコスパやぞ。


サチコ:どんな旅のまとめ方やねん!南極クルーズとネブラスカ検疫を同じリストに並べるな!


マリコ:「遠い国への旅は命がけ」っていうのが、文字通りになったわけやな。


サチコ:文字通りやな。ほんで今日の本当の教訓は「正しく怖がって、正しく行動する」っちゅうことやな。


マリコ:「過度に恐れるな、でも無知でいるな」っちゅうことか。


サチコ:SNSの「第二のコロナ!」という叫びにも、「全然問題ない」という楽観論にも流されない。「なぜそのウイルスは広がりにくいのか」「どの条件下では危険か」を理解することが大事や。


マリコ:「理由を知ることが最大の防御」っちゅうことやな。マスク二枚重ねより、ちゃんとした知識の方が守ってくれる、というか。


サチコ:まさにそれや。


マリコ:ほな私のこのマスク、一枚外していいか。


サチコ:最初から一枚でよかったけど、まあ外したらええ。


マリコ:(もう一枚外す)はあ、これで普通に喋れる。


サチコ:最初からそうしときなさい!


マリコ:でもサチコ、最後に確認させてくれ。私が申し込まなかったのは正解やったんか。


サチコ:「パンデミックになるから」という理由では過剰反応やった。でも「その船に今何が起きてるかを確認してから申し込む」という判断力は正解や。


マリコ:「確認したことは正しかった、怖がりすぎたことは間違ってた」っちゅうことやな。


サチコ:「行動は正しかった、理由が間違ってた」っちゅうことや。


マリコ:それが今日の話の……。


サチコ:まとめを始めようとするな!


マリコ:してへんしてへん!ただ一個だけ言っていいか。


サチコ:何や。


マリコ:210万円あったら、ネズミのいないリゾートホテルに泊まる。


サチコ:当たり前や!でもそれが今日一番正確な結論かもしれへんな!


マリコ・サチコ:どうもありがとうございましたー!

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