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サチコとマリコの時事ネタ漫才  作者: 藍埜佑


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第197話「誰が勝ってんの問題!~1日で終わったプロジェクト・フリーダムと、北京という碁盤に着地した世界の話~」

マリコ:(きょとんとした顔で登場)


サチコ:なんやその顔。いつもは何か持って来るのに今日はスッキリした格好やんか。


マリコ:今日はな、聞く前から整理したいことがあってん。


サチコ:珍しいな。何を整理したいんや。


マリコ:一個だけ聞くで。今、世界の中東問題で勝ってんのはどっちや。アメリカか、中国か。


サチコ:……それ、一個の質問に見えて、複数の問題を孕んだ、世界で一番答えにくい質問やな。


マリコ:え!?難しかったか!?「どっちが強いですか」って聞いただけやで。小学生でも分かる問いかけやと思うたのに。


サチコ:まあ、小学生レベルやったらな。「どっちが強い、サメかワニか」みたいな。実際に戦う状況を設定したらいくらでも条件が付けられるし、答えが確定せえへん。


マリコ:今日の話はサメとワニの話やないんやけど。


サチコ:知っとるわ!アメリカとイランと中国が絡む話をする時に「どっちが勝ってるか」という問いで始めたら、同じだけ条件が複雑なんや。


マリコ:つまり「一言では答えられない」っちゅうことやな。


サチコ:せや。つまり「今日の漫才がここから始まった」ということや。せやから今日は「誰が勝ってんのか問題」を整理するで。


マリコ:よっしゃ!頼むで!


サチコ:まず今週何が起きたか、ざっとさらうで。


マリコ:うんうん、さろうてさろうて。


サチコ:5月4日の月曜日、トランプさんが「プロジェクト・フリーダム」という作戦を発動した。


マリコ:プロジェクト・フリーダム!名前を聞いただけで「映画の主人公が出てきそうな感じ」がするな。


サチコ:名前の話は後でじっくりするとして、まずは内容を聞いてくれ。ホルムズ海峡に取り残された船舶を、米海軍が護衛して通航させる作戦や。


マリコ:ホルムズ海峡!第189話から続いてきた、あの「文明崩壊寸前」の場所やな!あそこに今何隻の船が詰まってるんや。


サチコ:現状、2万3千人の船員が乗る船が、87カ国の国旗を掲げたまま動けなくなっとる。


マリコ:2万3千人!87カ国!それはもう「海の上の国連みたいな状態」やんか。エジプト、インド、フィリピン、韓国……87カ国の船員さんが、ホルムズ海峡の入口で立ち往生しとるっちゅうわけか。


サチコ:そしてルビオ国務長官は、作戦を発表する前の会見で「彼らは座って的になってる。孤立して、飢えて、脆弱で、すでに10人が死んだ」と言うた。


マリコ:えー、死者が出とるんか。「10人が死んだ」と言われたら、もうこれは笑えへん話やな。


サチコ:笑えへん話ではあるんやけど、その後に続く話が「笑えへんけど笑ってしまう展開」になっていくんや。


マリコ:え、どういうこと?


サチコ:プロジェクト・フリーダムが始まって、何が起きたと思う。


マリコ:えっと……船を護衛して通したんちゃうの?


サチコ:まず、イランが高速艇で突っ込んできた。米軍が応戦して、イランの船を撃沈した。


マリコ:撃沈!


サチコ:同じ日に、UAEがイランからの弾道ミサイル、巡航ミサイル、ドローンの同時攻撃を受けた。


マリコ:UAEも!?


サチコ:韓国の船が爆発炎上した。


マリコ:韓国の船まで!


サチコ:別の貨物船も「正体不明の発射体」で攻撃された。


マリコ:なんやもう次々と!


サチコ:イランは「自分たちが管理する海峡の範囲を拡大した」という新しい地図を発表した。


マリコ:地図を広げた!「俺の縄張りが広がった」っちゅうことやな!!


サチコ:以上が月曜日と火曜日、2日間で起きたことや。


マリコ:2日でこんだけ起きたんか!「プロジェクト・フリーダム初日のニュースリール」がもう戦争映画の予告編みたいやんか。「撃沈!爆発!ミサイル!ドローン!縄張り拡大!」って。


サチコ:そして火曜日の夜、トランプさんがTruth Socialに投稿しとんねん。


マリコ:何を投稿したんや。


サチコ:「パキスタンその他の国々の要請に基づき、また軍事的な大きな成功を受けて、さらにイランの代表者との間で完全最終合意に向けて大きな進展があったことを踏まえ……プロジェクト・フリーダムを短期間停止することに合意した」と。


マリコ:え!?「停止」!?!?


サチコ:封鎖自体は「完全に有効のまま」と書いた上で。


マリコ:え、ちょっと待って。月曜日に「座って的になってる2万3千人を救う作戦です!」言うて、翌日の火曜日夜に「短期間停止します」っちゅう投稿をしとんの?


サチコ:そうや。


マリコ:1日で止まってるやないの!?


サチコ:正確には月曜に始まって火曜夜に停止宣言やから、24時間前後やな。


マリコ:「プロジェクト・フリーダム」、1日しか続かなかったんか!!「フリーダムが24時間で終わった」というのは、なんか哲学として重い話やんか。「自由とは何か」という問いに「24時間」という答えが出てしまったみたいで。


サチコ:そんな哲学的に受け取らんでええ。でも「名前の矛盾」という意味では、前の漫才で「解放の日関税」が「解放せずに縛る関税」やったのと同じ構造やな。


マリコ:ほんま「名前と内容が逆になる」シリーズが続いとるな。「解放の日」で縛って、「フリーダム」が1日で止まる。次のプロジェクトは何や、「プロジェクト・パーフェクト」か。これはたぶん完璧が半日で終わる話になるな。


サチコ:笑えない予言やめてくれ!ほな、ここで今日の核心の質問に入るで。「なぜ1日で止まったのか」っちゅう問いや。


マリコ:理由が三つあるんやろ。「パキスタンの要請」「軍事的成功」「イランとの合意進展」という、さっきのTruth Socialの三点セットやな。


サチコ:その三点がトランプさんの公式の説明や。でも世界中の分析者が一斉に「本当の理由は別にあるんじゃないか」と言い始めとんねん。


マリコ:ん?ほんまの理由ってなんやねん。


サチコ:5月6日、つまりプロジェクト・フリーダムが停止した翌日、イランのアラグチ外相が北京にいた。


マリコ:北京!


サチコ:中国の王毅外相と会談しとった。しかもこれは「戦争が始まった2月28日以来、初めてアラグチ外相が中国を訪問した」という、戦後初の表立った外交接触やった。


マリコ:「戦争が始まってから初めて中国に来た」ということは、「ここで初めて表に出た」っちゅうことやな。


サチコ:「水面下でずっとやり取りはしてたけど、公式に姿を見せたのは今回が初めて」という文脈や。そして分析者は一言で言うた。「このタイミングは偶然ではない」と。


マリコ:「偶然ではない」か。でも証拠はあるんか。


サチコ:直接の証拠はない。


マリコ:ないんかい!


サチコ:でもタイミングが一致しすぎる。「フリーダム停止の翌日にアラグチが北京に来た」か「アラグチが北京に来ることが分かってたからフリーダムを止めた」か、どちらの可能性もある。


マリコ:「ニワトリが先か卵が先か」みたいな話やけど、どっちにしても「中国が絡んでる」っちゅう点は動かないわけやな。


サチコ:そういうことや。ここで冒頭のマリコの質問に戻ろか。「誰が勝ってんのか問題」を考えるために、まず中国のポジションを整理する必要があんねん。


マリコ:現状の中国のポジション。「サポートしてるけど前に出ない」という感じやんな。


サチコ:もっと具体的に言うと、中国はイランに対して「石油の最大購入者」として年間を通じて収入を与えてる。制裁下のイランにとって、中国が石油を買ってくれへんかったら、政権がたちまち崩壊するくらいの依存度や。


マリコ:えらい依存してるな。どれくらいや。


サチコ:輸出の約9割。


マリコ:9割!残りの1割は誰に売っとるんや。


サチコ:制裁の抜け穴を使った闇ルートや。


マリコ:「9割が中国、1割が闇」っちゅう石油輸出の構造か。これはもはや「中国がノーと言ったら終わり」という関係やな。


サチコ:しかも制裁を受けてる分だけ「割安で売らざるをえない」から、中国はお得に買うとんねん。


マリコ:「困ってる友達から安く買う」っちゅうやつか。友達としてどうかと思うけど。


サチコ:「友達」じゃなくて「パートナー」やからな。国際政治に「友情」はない、「利益」があるだけや、という格言通りや。


マリコ:で、その中国がアメリカに対してどういう構えをしてるんや。


サチコ:アメリカが中国系の石油会社に制裁をかけた。「イランの石油を買うな」っちゅう制裁や。


マリコ:それに対して中国は?


サチコ:制裁への対抗措置として「ブロッキング・ルール」を発動した。「アメリカの制裁に従うな」という命令を中国企業に出した。


マリコ:「アメリカが制裁を出したら、中国がその制裁を無効化した」っちゅうことやな!


サチコ:「制裁に対する制裁」、「命令に対する命令」というやつや。


マリコ:これはもう「どっちが強いんや問題」の具体例が出てきたな。制裁で攻めたらブロックされたっちゅう。


サチコ:さらに、中国は国連安全保障理事会で、ルビオ国務長官がイランの海峡封鎖を非難する決議を通そうとしたら、ロシアと一緒に拒否権を行使した。


マリコ:拒否権!ロシアまで出てきた!国連の舞台でも中国とロシアがイランを守ったっちゅうことやな。


サチコ:しかもルビオさんは会見で中国とロシアに直接言うたんや。「あなた方にとっても、ホルムズ海峡が閉まるのは損害のはずだ」と。


マリコ:それ言われたら中国は何と答えるんや。「そうだけど、アメリカの言う通りにはしない」というか。


サチコ:「そうだけど、アメリカに指示されてすることは別問題だ」という答えになるんやな。「同意するが、命令には従わない」という。


マリコ:これは子どもが学校で「廊下を走るな」という先生のルールに同意しながらも、家では走り回るのと似てるな。「廊下は走らんよ、でも外でどこをどう走るかは俺が決める」という。


サチコ:国家主権の話やから規模が全然違うけど、「ルールへの同意と命令への服従は別」という構造は似とるな。


マリコ:ところで、今日の話で面白い「ねじれ」があるなと思ってんねんけど。


サチコ:どんなねじれや。


マリコ:中国は「ホルムズ海峡を早く開けてほしい」とイランに言ってるんやろ。


サチコ:そうや。王毅さんはアラグチさんに「海峡の通航正常化を早急に」と言うた。


マリコ:でも一方で、イランを支援することで、イランが海峡を閉め続けられる体力を与えてるわけやろ。


サチコ:そうや。


マリコ:「早く開けてくれ」と言いながら、「開けなくて済む経済的体力」を与えてる。これはどういう立場なんや。


サチコ:「友達の喧嘩を止めに来たけど、喧嘩が続けられるようサポートを続けてる」みたいな状態やな。


マリコ:「喧嘩のサポートしながら仲裁する人」というのは、仲裁に本気か疑われるやんか。


サチコ:だからこそ「中国はイランに対して本当に圧力をかける気があるのか」という疑問が、分析者の間で出てるんや。ある専門家は「中国はイランを外交的にカバーしながら、経済的に浮き輪を投げ続けてる」と評した。


マリコ:浮き輪!「溺れそうな友達に浮き輪を投げながら、周りに向かって『早く泳げ』と言ってる」っちゅうことか。


サチコ:その例えは的確やな。しかもその「浮き輪を投げ続ける立場」が、トランプさんに対する最大の交渉カードになっとる。


マリコ:どういうことや。


サチコ:トランプさんは5月14日から15日に北京に行って、習近平さんと会談する予定やねん。


マリコ:米中首脳会談!これがいよいよ来るわけやな。


サチコ:元々は3月末に予定されとったのが、イラン戦争で1か月以上延期されてここに来た、っちゅうタイミングや。


マリコ:「イラン戦争が米中首脳会談を延期させた」ということか。戦争の影響が首脳会談の日程にまで波及してるんやな。


サチコ:トランプさんは中国に行く前に、ホルムズ海峡問題を少し落ち着かせたかったかもしれへん。「会談の前日まで戦闘してます」では、交渉の環境が作れへんからな。


マリコ:「喧嘩してる最中に友達の家に行って、お互いの話し合いをしよう」という展開か。これは仕事でも私生活でも難しい状況やんか。


サチコ:ある専門家は「トランプさんは中国が外交的なカバーだけしてイランを経済的に浮かせてると思っていたとしても、彼が不利な立場にある」と言うた。


マリコ:なんで不利なんや。


サチコ:トランプさんは11月の中間選挙を意識して、「北京で良い成果を出したい」という動機があんねん。農産物、工業品、エネルギーの購入合意を中国と結んで、「私は偉大な外交成果を出した」と言いたい。でもそのためには中国に話を聞いてもらわなあかん。


マリコ:「助けてほしいから、強くは言えない」っちゅうことか。


サチコ:「イランに圧力をかけてほしいと頼みたいが、そのためにこちらが弱腰に見えてしまう」というジレンマやな。


マリコ:これは弱みを握られてる状態やんか。中間選挙という「台所の事情」がトランプさんの外交を縛っとる、ということやな。前の漫才で「台所の問題が地政学を上回る」という話があったけど、今回は「トランプさんの台所問題が、対中外交を弱くした」っちゅうことになるんか。


サチコ:せやねん。「ガソリン4ドル48セント」という有権者の台所問題が、習近平さんに対する交渉力を間接的に削いでる、という構造や。


マリコ:「ガソリン代が高いから、習近平さんに強く言えない」っていう。これはなんかもう……スーパーで値段を見ながら政治家の強さが決まるっちゅうことやな。


サチコ:「庶民の財布が国際外交の重力になる」という、今月の漫才を一本の糸で貫くテーマがここでも出てきたな。


マリコ:ところでサチコ、一個前の漫才で第196話の山火事の話があったやんか。「人間が火をつけ、天気が広げ、森林構造が止められなくする」という三角形の話。


サチコ:よう覚えとるな。


マリコ:今回もそれと似た三角形があるな。「トランプが火をつけ、イランが広げ、中国が止めさせない」っちゅう三角形やんか。


サチコ:それは……うまい整理やな。「発火・延焼・消火妨害」という構造が、山火事と中東情勢で重なっとる。


マリコ:しかも「消火妨害」が本当の意味での妨害ではなくて、「石油という燃料を供給し続けることで間接的にやってる」という、消極的な妨害やんな。


サチコ:「意図せずして消火を妨害してる」という部分もあれば、「意図して妨害してる」という部分もある。中国の本音は「早く終わってほしい」と「終わらなくても利益がある」の間にある。


マリコ:「早く終わってほしいけど、今は自分が得をしてる」っちゅうジレンマやな。これは不動産の話みたいやな。「早く家が売れてほしいけど、値段が上がってる間は売りたくない」という。


サチコ:規模が全然違うけど、まあ「得をしてる間は問題を放置する誘惑がある」という構造は同じやな。


マリコ:で、「誰が勝ってんのか問題」に戻ると、今の段階では誰が優勢やと思う。


サチコ:ここが一番答えにくいところやねん。「軍事的には米国優位、外交的には中国優位、時間的にはイランが粘り勝ちを狙っとる」という三者がそれぞれ違う土俵で戦っとる。


マリコ:は、なるほどな、「土俵が違う三者が戦ってる」ちゅう状況なんやな。これは相撲、柔道、ボクシングの選手が同じ「勝敗」という言葉で結果を語ってるけど、土俵も競技も全部違うみたいな。


サチコ:まあそういうことやな。米国は「海軍力で押し込む」土俵、中国は「経済影響力と外交仲介」の土俵、イランは「非対称戦力と時間」の土俵でそれぞれ戦っとる。


マリコ:「それぞれ違う試合をしてるから、一つの勝敗で語れない」っちゅうことやな。これは難しい話やな。


サチコ:しかも最大の皮肉は、今この瞬間も海峡には2万3千人の船員さんが取り残されたままやという事実や。「誰が外交的に優位か」という分析をどれだけしても、その人たちが帰れない状況は変わらへん。


マリコ:そやな。「10人が死んだ」と言ってた船員さんたちは、いまどうしてはるんやろ。


サチコ:「誰が勝つか」より「その人たちが無事に帰れるかどうか」の方が、本質的な問いかもしれへんな。


マリコ:……ここんとこ、最後にいつも重い話になるな。


サチコ:世界が重いからしゃあない。


マリコ:じゃあ少しだけ軽い話をさせてもらおか。「プロジェクト・フリーダム」という名前の話や。


サチコ:あとで絶対また言うと思ってた。なんや。


マリコ:「フリーダム」という言葉やけど、これって英語で「freedom」やんな。「自由」という意味。


サチコ:そうや。


マリコ:でも今回の作戦は「イランの船は通さない。イラン以外の船は通す」という内容やんな。


サチコ:そうや。


マリコ:ということは「選ばれた船にとってのフリーダム」であって、「全員のフリーダム」ではないっちゅうことや。


サチコ:そう解釈できるな。


マリコ:しかもその「選ばれた船にとってのフリーダム」も、1日で止まった。「1日だけ存在した自由」ちゅうことやんか。


サチコ:せやな。「フリーダムの有効期限が24時間」っちゅうことや。


マリコ:これ、賞味期限の表示みたいやな。「フリーダム:5月4日製造、賞味期限5月5日まで」っちゅう。


サチコ:「本日の賞味期限:自由フリーダム」という食品みたいやな。それはちょっと哲学書のタイトルにもなりそうや。


マリコ:「本日の賞味期限:自由フリーダム」!これはいけるタイトルやな!哲学者が読んだら「おおっ」となるタイトルやんか。


サチコ:哲学書のタイトルを生み出す前に、外交の話に戻してもらえるか。


マリコ:えっと……ヘグセス国防長官は何か言うたんやっけ。


サチコ:「停戦は終わっていない」と言いながら、プロジェクト・フリーダムは「停戦とは別個の作戦だ」と位置づけた。


マリコ:「停戦は継続してるけど、別の作戦は動いてた、でも別の作戦は止めた」っちゅう発表か。これはTACOの理解を学んだ人間なら言えるまとめ方やな。「引っ込んだけど引っ込んでへん」ということや。


サチコ:前の漫才で「TACOの二段構え」という話があったやんか。「表面上は引いてるけど、圧力自体は維持してる」というやつ。今回もまさにそれで、封鎖自体はTruth Socialで明言された通り「完全に有効のまま」続いとる。


マリコ:「フリーダムは止めたけど、封鎖は止めてへん」ということか。


サチコ:しかもトランプさんは「合意ができなかったら、より激しい爆撃で戻ってくる」という警告も同時に出しとんねん。


マリコ:「引っ込みながら次の脅しを出す」というのは、第192話で話したTACOの三段階と完全に一致してるな。「ぶち上げる、市場と世論がパニックになる、引っ込めながら次の脅しを言う」っちゅう。


サチコ:「TACOが進化した」と言うべきか、「TACOが洗練された」と言うべきか、難しいところやけど、パターンとしては一貫してる。


マリコ:ここで改めて「誰が勝ってんのか問題」を整理してくれへんか。


サチコ:せやな。整理すると、こうなる。軍事的な場面では「米国がイランの船を撃沈した、UAEへの攻撃は継続している」という状態で、どちらが優勢と言いにくいが、地上戦は起きてなへん。


マリコ:膠着、っちゅういうことやな。


サチコ:外交的な場面では「中国がイランの友人として北京に招いた、米国はその前後にフリーダムを止めた」という状態で、「中国の存在感が増した週」という評価が多い。


マリコ:「中国が存在感を増した週」か。


サチコ:そして今後の焦点は5月14日から15日の米中首脳会談や。トランプさんが「ここで何か成果を出せるか」、習近平さんが「イランに何をどこまで促せるか」という二点が鍵になんねん。


マリコ:どっちも「できるかどうか分からない」という状態やな。


サチコ:せやから「誰が勝ってるかは、今は答えられない」というのが正直な回答や。


マリコ:「今は答えられない」っちゅうのが今日の結論になるわけやな。冒頭で私が「答えにくい質問」と言われたのが、最後まで答えにくかったわけやな。


サチコ:でもな、「答えられない」ということを理解するためには、「なぜ答えられないのか」を理解せなあかん。そしてそれを説明したのが今日の漫才やったわけや。


マリコ:「答えは出ないけど、問いの構造が分かった」っちゅうことやな。それはそれで価値があるな。


サチコ:前の漫才で「白黒つけずに両方持って考え続けることが正直な姿勢」という話をしたけど、今日の話もまさにそれやな。「米国が勝ってる、中国が勝ってる」という二択で考えると、必ず間違える。


マリコ:「答えを急ぎすぎると間違える」っちゅうことやな。


サチコ:「問いを持ち続ける」ことが、今の世界を理解するための唯一の正直な態度かもしれへん。


マリコ:……サチコ、最後にもう一個だけ聞いていいか。


サチコ:何や。


マリコ:北京って、今月だけで何人の外相と何人の大統領が訪れるんや。


サチコ:アラグチ外相が6日に来て、トランプさんが14日から15日に来る。他にも接触がある可能性がある。


マリコ:「世界中の重要人物が、みんな北京に集まってくる一週間」ということやんな。


サチコ:そうやな。


マリコ:そんなん、北京の飲食業界が一番儲かる週やんか!「今週は外相と大統領と首脳が来る週!予約困難!」という話になってるやろ。


サチコ:外交の話してる時に飲食店の予約状況の話をするな!


マリコ:でも習近平さんが「北京に呼び込む」という外交を続けるのは、ホームで戦う有利さもあるやんか。「相手が自分の土俵に来る」という状況は有利やろ。


サチコ:それは正確な観察やで。「相手を自分の領土に招く外交」というのは、主導権の象徴でもある。


マリコ:相撲でいうたら「うちの国技館で取り組もう」と提案する力士みたいなもんか。


サチコ:相撲の話に持っていくな!でも「ホームアドバンテージ」という概念は外交にも存在するのは本当やな。


マリコ:ということは今の世界で一番強いのは「北京という場所」ということになるな。


サチコ:「北京という碁盤」に全部の石が集まってくる、っちゅう状況やな。


マリコ:碁盤か!第195話でMythosAIが「碁はチェスより複雑」という話があったな。中東の問題も碁みたいに、石をどこに置くかで意味が全部変わるんやろな。


サチコ:「北京という碁盤に、イランの石もトランプの石も置かれた」ちゅうことやな。誰が勝つかは、石の並びが決まってから分かる。


マリコ:まだ石が置かれてる途中ということやな。「5月14日から15日に次の石が置かれる」という。


サチコ:そうや。だから今日の結論は「まだ誰も勝ってへん、碁盤は途中、石は置かれ続ける」っちゅうことや。


マリコ:「つづく」で終わることが確定してる話やな。


サチコ:第189話から続いてきたこの話が、また「つづく」で終わる。


マリコ:いつになったら「完」になるんやろ。


サチコ:それが分かったら、外交の専門家は全員要らんくなるな。


マリコ:せやな。「つづく」が続くのが世界の仕組みやな。


サチコ:「希望と警戒を同時に持ち続ける」ということを、今月の漫才は毎回言ってきたけど、それが意味するのは「終わりが見えない中でも、考えることをやめない」っちゅうことやと思う。


マリコ:「終わりが見えなくても、考えることをやめない」か。これはイランの海峡の話だけやなくて、日経平均の話でも、武器輸出の話でも、AIの話でも、山火事の話でも言えることやな。


サチコ:「今月の漫才のテーマが一本になった」っちゅう感じやな。


マリコ:「考え続けることが唯一の誠実さだ」っていう。これはちょっとかっこいいな。


サチコ:そうやな。


マリコ:え、珍しく反論しないんか。


サチコ:反論する必要がないくらい正確なことを言うたからや。


マリコ:「うちが正確なことを言うた」!これが今月最大の驚きやんか!プロジェクト・フリーダムが1日で終わった話より驚くで!


サチコ:いや、そっちを最大の驚きにすな!もうええわ!


マリコ・サチコ:どうもありがとうございましたー!


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