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サチコとマリコの時事ネタ漫才  作者: 藍埜佑


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第192話「トランプはいつもビビる!?~TACOという名の世界最大級のあだ名と、脅してから引っ込める大統領の取扱説明書~」

マリコ:どうもー!サチコ・マリコでーす!


サチコ:よろしくお願いしますー。


マリコ:サチコ!今日はな、私から一つ質問があんねん。


サチコ:おう珍しいな。何や。


マリコ:トランプさんのあだ名で一番有名なの、知っとる?


サチコ:あだ名か。MAGA?ディール・メーカー?テフロン・ドン?


マリコ:全部ハズレ!正解はTACO!


サチコ:ん?タコ?海に住んでるやつか?


マリコ:ちゃう!TACOや!T・A・C・O!「Trump Always Chickens Out」の頭文字や!日本語にしたら「トランプはいつもビビって引き下がる」!


サチコ:おお、それは聞いたことあるで。2025年の5月にフィナンシャル・タイムズのコラムニスト、ロバート・アームストロングさんが名付けた言葉やな。


マリコ:そのアームストロングさんが「毎回同じパターンを説明するのが面倒やから略語が必要になった」って言うてたらしいで。


サチコ:つまり「もういちいち説明するのしんどいから、タコって呼ぶわ」ということか。あだ名が必要になるくらい何回も同じことをやったということや。


マリコ:そうそう。で、日本語で「TACO」を読むと「タコ」やろ。「このタコ!」って人をバカにする時の言葉と重なって、日本ではさらに面白いイメージになっとる。


サチコ:海の生き物のタコでもあり、「このタコ!」の侮蔑語でもある。重複した意味が偶然一致した奇跡の略語やな。


マリコ:しかもメキシコ料理のタコスとも被る!メキシコの壁を作りたかったトランプさんが「タコス」呼ばわりされるという、宇宙的な皮肉や!


サチコ:もう言葉遊びの宝庫やな。では、TACOとは具体的にどういうパターンのことを言うんか、整理しよか。


マリコ:整理してくれ。なんとなく分かるけど、ちゃんと理解したいねん。


サチコ:肝心なのは三段階や。まずステップ1、「ぶち上げる」。トランプさんが最大限に強硬なことを言う。「関税145パーセントや!」「文明を消し去るで!」「グリーンランドは俺のもんや!」みたいな。


マリコ:「世界を震え上がらせる発言」を先にバーンと出すわけやな。


サチコ:ステップ2、「市場と世論がパニックになる」。株価が急落する、原油が高騰する、同盟国が慌てる、メディアが大騒ぎする。


マリコ:「えっ、本気ですか!?」と世界中がザワつく段階やな。


サチコ:そしてステップ3、「引っ込める」。数日から数週間後に、延期する、緩和する、例外を設ける、停戦する。そして「これは交渉だ」と言い張る。


マリコ:「最初は強く出て、後で落とす」という手法か。大阪の値切り交渉みたいやな。「社長、これ1万円って書いてるけど、6千円にならへん?」「無理無理!……まあ8千円ならええか」っちゅうやつや。


サチコ:まあ商売の駆け引きとしては古典的や。問題は、これを国際政治と軍事でやってるってことやねん。


マリコ:「値切り交渉」を核兵器と発電所でやられたら、誰もついていけへんわな。


サチコ:しかもな、TACOにはもう一つの面がある。これが「TACOトレード」と呼ばれる投資戦略になってしまったんや。


マリコ:TACOトレード!なんやそれ!?


サチコ:ウォール街のトレーダーたちが「どうせトランプは引っ込めるから、強硬発言で株価が下がったら安く買って、引っ込めた後に株価が上がったところで売る」という取引パターンを学習した。


マリコ:「ビビりの大統領がビビるタイミングを予測して儲ける」という取引やんか。


サチコ:CNBCの報道では、レイモンド・ジェームズのアナリストが「トランプが極端な立場を出すほど、妥協する可能性が高いと市場は学んでいる」と分析しとる。


マリコ:「脅しが過激であればあるほど安心する」って、どういう世界やねん。普通は逆やろ。「過激な発言をする人」を見たら怖がるもんやろ。


サチコ:それがTACOの面白いところで、「表面上は予測不能なカオス」やけど「金融市場にとってはパターン」という、ねじれた構造ができあがってんねん。


マリコ:「政治的にはめちゃくちゃ、金融的には教科書通り」ちゅうことか。


サチコ:せやねん。ほな、TACOの具体例を見ていこか。第189話でイランの停戦を話したけど、そこからさらに展開があったな。


マリコ:4月8日に文明崩壊の1時間前に停戦したやつやな!パキスタンが宴会幹事をやった回。


サチコ:宴会ちゃうで!あの2週間の停戦が昨日、つまり4月21日に期限を迎えるはずやった。


マリコ:「はずやった」ということは、また何か起きたんやな。


サチコ:トランプさんは当日の朝、CNBCのインタビューで「延長したくない」「爆撃するつもりで行ったほうがいい態度だ」「軍はやる気満々だ」と言うた。


マリコ:「やる気満々」まで言ったのか。


サチコ:ところがその日の午後、パキスタンのシャリフ首相とムニール元帥からの要請を受けて、停戦を無期限で延長すると発表した。


マリコ:朝は「延長しない!爆撃する!」、午後には「延長します」!?同じ日にか!?


サチコ:せや、同じ日。しかもトランプさんはイランの政府が「深刻に分裂している」ことを理由にして、「統一された提案が出るまで待つ」って言わはった。


マリコ:「朝は爆撃や!午後はやっぱり待ちます!」って、日替わり定食か!日替わりどころやない、半日替わりや!「モーニングセットは爆撃、ランチセットは停戦」みたいな。


サチコ:そしてメディアが一斉に「TACOの火曜日!」と報じた。カリフォルニア州のニューサム知事の広報事務所が「トランプについてやっと良いことが言えます。彼のおかげでタコ・チューズデーが世界的な現象になりました」とSNSに書いた。


マリコ:タコ・チューズデー!アメリカでは火曜日にタコスを食べる文化があるから、火曜日にTACOが来ると「タコ・チューズデー」になるんか!はいはい、タコチュータコチュー!


サチコ:AI加工された「トランプさんの顔がタコスの上に乗った画像」がSNSで大拡散した。


マリコ:大統領の顔がタコスに乗っとる!?もう世界の政治はどこに向かっとるんや。


サチコ:デイリー・ビーストという媒体は見出しで「TACO Trump、イランに無期限停戦を与える」と書いた。


マリコ:「TACO Trump」がもう固有名詞として使われとるんか。本人はどう思っとるんやろ。


サチコ:それがな、2025年5月に記者からTACOについて聞かれた時、トランプさんは最初「そんなの聞いたことがない」って言うとんねん。CNNの報道によると、最初は「チキン(臆病者)と呼ばれた」と理解したらしい。


マリコ:「チキン呼ばわり」と受け取ったんか。まあTACOの中の「Chickens Out」はまさにチキン、つまり「ビビって逃げる」の意味やからな。


サチコ:で、トランプさんは「それは交渉と呼ぶものだ」と反論して、「意地悪な質問だ」と不快感を示した。さらに「そんなことは二度と言うな」と強く拒否した。


マリコ:「二度と言うな」!大統領が記者に「二度と言うな」って言うて、その結果みんなが倍の勢いで使い始めたんやから、これもTACO的やな。


サチコ:「脅してから引っ込める」どころか「脅したら増える」っちゅう逆効果やな。


マリコ:TACOの本体がTACO的に処理されてしもてるやん。「TACOを否定しようとしてTACOになった」っちゅう無限ループ。


サチコ:しかもトランプさんは「私は普段、逆の批判を受ける。強硬すぎると言われる」とも言うとった。


マリコ:そこは一理あるかもしれへんな。「ビビりと言われる」と「強硬すぎると言われる」の両方が来る大統領って、どういう位置づけやねん。


サチコ:ここがTACOの核心なんや。TACOは「トランプの強さと弱さを同時に可視化する概念」になってもうてんねん。


マリコ:どういうこと?


サチコ:反トランプ側は「結局いつも腰砕け」「口だけ強硬で実行しない」と嘲笑のラベルに使う。一方で親トランプ側は「あれは交渉術だ。最大限の圧力をかけてから合理的な妥協点に落とすのがビジネスだ」と反論する。


マリコ:「弱さの証拠」と「強さの証拠」が同じ行動から引き出される。どっちの眼鏡をかけるかで全然見え方が変わるわけか。


サチコ:第188話で「事実・文脈・解釈の三層を分けろ」って言うたけど、TACOはまさに「事実は同じでも解釈が真逆」という完璧な実例やねん。


マリコ:なるほどなあ。じゃあ、TACOの具体例をいくつか教えてくれへんか。イランだけやないんやろ。


サチコ:山ほどあるで。まず原型は関税の分野やな。2025年4月2日の「解放の日関税」。全世界に高率の関税を一斉にかけると宣言した。


マリコ:「解放の日」!「みんなを自由にする日」に関税で縛るって、名前と中身が矛盾しとるやんか。


サチコ:発表後に株も債券もトリプル安になって、わずか1週間後の4月9日に上乗せ分を90日間停止した。これがTACO理論の起源や。


マリコ:1週間で引っ込めた!「解放の日」が「一週間の苦行の日」になったわけか。


サチコ:次に中国への関税。145パーセント、130パーセント、100パーセントと何回も脅して、結局交渉で30パーセントまで引き下げた。


マリコ:145が30になった!値引き率が凄まじい!百貨店の閉店セールでもそんなに下がらへんで。「定価145パーセント、今なら30パーセント!」「それ最初から30で出してくれや!」っちゅう話や。


サチコ:EUに対しては50パーセント関税を宣言して、2日後に延期。カナダとメキシコには25パーセントを発動して、即座に例外措置。


マリコ:「発動」と「例外」を同時にやるって、ブレーキとアクセルを両足で同時に踏んでる状態やんか。


サチコ:グリーンランドの話もTACOとして分類される。「グリーンランドはアメリカのものだ」と脅して、反対した欧州の国に関税をかけると脅して、NATO枠組みの合意で撤回した。


マリコ:「グリーンランドをくれ」「嫌です」「じゃあ関税かけるぞ」「話し合おう」「じゃあ今回はいいか」って、これは値切り交渉やのうて恐喝と和解を交互にやっとるだけやんか。


サチコ:そして外交・安全保障の分野にもTACOは拡張されていった。欧州外交評議会のジェレミー・シャピロさんが分析したところによると、トランプさんは第1期も含めて少なくとも22回、武力行使を脅したけど、実際に行使したのは2回だけだったと。


マリコ:22回中2回!打率にしたら1割以下やないか。野球やったら戦力外通告や。


サチコ:「脅す回数に対して実行する回数が極端に少ない」というのがデータで裏付けられとる。


マリコ:でもイランには実際に爆撃したわけやろ。


サチコ:そう、イランの核施設への攻撃は実行した。ただ、その後「文明を消し去る」「発電所を全部壊す」と脅したところで停戦になった。CNNの分析では「戦争は関税と違って、スイッチのオンオフで切り替えられない」と指摘されとる。


マリコ:「関税は延期できるけど、爆弾は延期しにくい」っちゅうことか。TACOが通用する領域と通用しない領域があるんやな。


サチコ:スレートの記事では「TACOが市場と外交に完全に織り込まれてしまったため、トランプさんは反応を得るためにどんどん過激な脅しをエスカレートさせなければならなくなっている」と指摘されとる。


マリコ:「同じ薬を飲み続けると効かなくなるから量を増やす」みたいな話やんか。これはあかんやつや。


サチコ:「文明を消し去る」という言葉が出てきたのは、関税の「145パーセント」では市場が動じなくなったから、さらに強い脅しが必要になった、という構造的な要因もある。


マリコ:「脅しのインフレ」が起きとるわけか。前の漫才で話した「ながらスマホが1万2千円」よりスケールがでかい話やけど、構造は同じやな。「罰則が効かなくなったから罰則を引き上げる」という。


サチコ:しかも最も恐ろしいリスクは、バーンバーグ銀行やUBSのアナリストたちが指摘しとることで、「TACOという言葉が広まれば広まるほど、トランプは関税や軍事行動を引き下げなくなる可能性がある」と。


マリコ:「ビビりと思われたくないから、今度は本気でやる」という逆方向のリスクが生まれるっちゅうわけやな。


サチコ:「TACOと呼ばれたくないから引っ込めない」が、「結局引っ込めるからTACO」と呼ばれることの無限ループの中で、いつか本当に引っ込めない瞬間が来るかもしれへん。その時が一番危険や。


マリコ:「ミームが現実の行動を歪める」っちゅう話か。これは怖いな。「ネットのあだ名が世界の安全保障を左右する」時代が来てしもうとる。


サチコ:フィナンシャル・タイムズのギデオン・ラッチマンさんは「トランプはテディ・ルーズベルト大統領の有名な格言を裏返しにした」と書いた。ルーズベルトは「穏やかに話し、大きな棒を持て」と言った。


マリコ:「静かに構えて、でかい武器を持っとけ」ということやな。


サチコ:ラッチマンさんは「現在の大統領は大声で叫びながら、鉛筆を振り回している」と書いた。


マリコ:「大声で叫びながら鉛筆を振り回す」!でかい声と小さい武器!これは痛烈な皮肉やな。おもろい!


サチコ:では、ここでTACOと安倍晋三さんの話をしよか。


マリコ:安倍さん?TACOという言葉は安倍さんが亡くなった後にできたんやろ?


サチコ:そうや。TACOは2025年の造語やから、安倍さんの時代にはこの言葉は存在しとらんかった。でも「脅してから引っ込める」というトランプさんの性向そのものは、第1期の2017年から存在しとんねん。


マリコ:なるほど。安倍さんはその性向をどう扱っとったん?


サチコ:安倍さんは世界で最も成功したTACO対策者やった、というのが多くの分析に共通する評価や。


マリコ:「TACO対策者」!まだ名前がなかった病気を予防しとった名医みたいやな。


サチコ:安倍さんの手法は大きく分けて四つある。まず「先手必勝」。2016年のトランプ当選直後、まだオバマ大統領が在任中やったのに、他のどの首脳よりも早くトランプさんに直接会いに行った。


マリコ:まだ大統領になってへん段階で会いに行ったんか。フライングやんか。


サチコ:外交の常識では異例中の異例や。でもこれによって、トランプさんが何かを「脅迫→撤回」する前に個人的な信頼関係を築いた。「日本をそもそもターゲットにさせない」という予防外交なんや。


マリコ:「病気になってから治す」やのうて「病気にならんように先手を打つ」っちゅうことか。


サチコ:二つ目は「共感の演出」。安倍さんはトランプさんが「ニューヨーク・タイムズに批判されとる」と嘆いた時に「自分も朝日新聞によく叩かれた」と語ったとされている。


マリコ:「俺もメディアに叩かれとるんや」という仲間意識を作ったんか。「先輩、分かります。うちも上司に怒られてますわ」みたいな。


サチコ:逆境の共有で親近感を引き出す。これはトランプさんの「自分は被害者だ」という意識に刺さった。


マリコ:「共感で防御壁を作る」という手法やな。


サチコ:三つ目は「議題設定」。トランプさんが外交に詳しくなかった時期に、安倍さんは対中包囲網の必要性を直接説いた。「安全保障のダイヤモンド構想」という安倍さんの考えが、トランプ政権の「自由で開かれたインド太平洋」構想として正式に採用された。


マリコ:自分の考えをトランプさんに「自分の考え」として採用させたということか。「先輩、こういうのどう思います?」「おっ、ええやんか。俺がやるわ」「さすが先輩」というやつやな。


サチコ:TACOされる前に、自分の議題をトランプさんの議題にしてしまう。「引っ込めるかどうか」以前に「そもそも日本に矛先を向けさせない」という設計や。


マリコ:「病原菌を殺すんやのうて、そもそも体に入れさせへん」っちゅう免疫みたいな話やな。


サチコ:四つ目は「絶対的支持の演出」。アメリカ国内外でトランプさんへの批判が高まる局面でも、安倍さんは一貫して「トランプ支持」の姿勢を崩さなかった。


マリコ:どんな時もトランプさんの味方で居続けたと。


サチコ:これによってトランプさんが「強気に見える」ように演出し、わざわざTACOさせる必要をなくした。「引っ込める圧力」そのものを外す手法や。


マリコ:つまり安倍さんは「TACOの予防医学」をやってたということか。


サチコ:その通り。脅迫→撤回のサイクルに入る前に、個人的な関係と議題設定で先手を打ち、日本への矛先を避け続けた。


マリコ:でも安倍さんが亡くなった今、日本はまた関税のターゲットになっとるやんか。24パーセントの相互関税が来とる。


サチコ:そこが今の日本の課題や。安倍さん以後、「TACO対策」ができる人が日本におるのかどうか。


マリコ:「予防医学の名医がいなくなった後の病院」みたいな状態やな。


サチコ:では、TACOに関して日本のメディアがどう扱っとるか、という話をしよか。よく「日本メディアはTACOを報じていない」と言われるけど、これは実は不正確やねん。


マリコ:ん?ほな、報じてんの?


サチコ:報じとる。日経新聞は2025年に「市場ではやるTACOトレードとは」という見出しで解説しとるし、毎日新聞も「ビビってなどいない、トランプ、タコトレード呼ばわりにブチ切れ」と書いた。


マリコ:「タコトレード呼ばわりにブチ切れ」って見出しが、もう面白いな。


サチコ:しかもな、今年の4月7日にフジテレビの「Live News イット!」でTACOを特集した時、キャスターの安宅さんが「T・A・C・O」と一文字ずつ丁寧に読み上げて解説した映像が、海外で大バズりしたんや。


マリコ:海外でバズった!?日本のニュース番組が!?


サチコ:出演者が「タコ?軟体動物の?」と聞いて、腕でタコの足を真似する場面がSNSで瞬く間に拡散された。海外のユーザーが「日本のメディアがTACOを解説しようとしている」「最近お気に入りのミーム」とコメントした。


マリコ:日本のニュース番組がタコの物真似をしとるのが世界にバズったんか!


サチコ:ワシントン・ポストまでこれを記事にした。「タコ?タコウ?タコル?世界中で話題のトランプTACOミームを解読」というタイトルの記事の中で、日本のメディアの反応を紹介した。


マリコ:「タコる」!日本人エコノミストがTACOを動詞化して「タコる」という活用形を作ったって話か。「今日もトランプがタコった」みたいな使い方やな。


サチコ:さらに「いらすとや」がTACO関連のイラストを2枚公開した。一つはメキシコ料理のタコスを帽子みたいにかぶった大統領、もう一つは蛸を頭に乗せた大統領のイラストや。


マリコ:いらすとや!あの無料素材サイトが!日本のフリー素材文化がTACO問題に参戦したんか!


サチコ:日本の報道文化の特徴として、番組の出演者が「友人の間なら『しりごみするなよ』と言うかもしれませんが、大統領に使うスラングとしては不適切に感じます」と慎重なコメントを出しとったのも紹介されとる。


マリコ:「大統領をタコ呼ばわりしていいのか問題」か。日本のメディアの律儀さが世界に伝わったんやな。


サチコ:だから「日本メディアがTACOを報じていない」というのは不正確で、正確には「報じてるけど、皮肉を薄めて報じてる」というのが実態やな。


マリコ:「辛いラーメンを注文したら、マイルドにして出してくれた」みたいなもんか。


サチコ:なぜ薄めるかという理由は複合的やけど、大きくは四つある。まず日米同盟への配慮。アメリカの大統領を「ビビりの腰抜け」と揶揄する言葉を大々的に使うのは、同盟関係への影響を考えると踏み込みにくい。


マリコ:「友達のあだ名を本人の前で使えへん」みたいなもんか。


サチコ:二つ目は翻訳の難しさ。「Chickens Out」のニュアンスを日本語に直訳すると侮蔑度が高くなりすぎて、ニュースの見出しにしにくい。


マリコ:「いつもビビって逃げ出す大統領」って、ニュースとしてはキツすぎるかもしれへんな。


サチコ:三つ目は、英語圏のメディアには政治的皮肉を報道に混ぜる文化がある。フィナンシャル・タイムズやアトランティックは皮肉込みのコラムが基本やけど、日本の新聞やテレビは「揶揄を含む造語」を政治的文脈で紹介することを得意としとらんねん


マリコ:「お堅い文化」やな。日本のニュースは「事実を淡々と伝える」のが美徳とされとるから、「ミームを面白おかしく紹介する」のはハードルが高いんやろな。


サチコ:四つ目は、ウォール街の金融スラングとして始まったから、一般のニュースとしてのバリューが低く見積もられやすかったこと。


マリコ:「トレーダーの業界用語でしょ」と片付けられがちやったと。でも今はイラン戦争にまで拡張されてるから、もう金融用語どころやない話やな。


サチコ:そう。TACOは「関税のミーム」から「トランプ外交全般のパターン」を指す言葉に進化した。


マリコ:「タコの成長」やな。最初は小さいタコやったのが、どんどん足を伸ばして世界中の問題に絡みついてきた。


サチコ:お、うまいこと言うやんか。ほな、TACOがこれからどうなるか、という話をしよか。


マリコ:TACOに未来があるんか。


サチコ:あるで。三もシナリオがある。一つ目は「TACOの制度化」。市場も外交官も相手国も「トランプは脅してから引く」と完全に織り込んでしまい、脅しが効かなくなる段階。


マリコ:「またタコか」と皆がスルーするようになるわけやな。「今度も引っ込めるんやろ」と。


サチコ:これは抑止力の崩壊を意味する。「脅しが効かない大統領」になってしまうリスクがある。


マリコ:これは前の漫才でも出てきた話やな。第189話で「狼少年問題」として出てきた。「また期限を設けて、また延長する」を繰り返すと、「どうせ今回も止まる」と思われる、と。


サチコ:二つ目は「反TACOの強硬化」。「ビビりと思われたくない」心理から、意図的に強硬路線を維持して引っ込めないケースが増える。


マリコ:「タコ呼ばわりされたくないから本気でやる」か。これが一番怖いシナリオやな。


サチコ:ここにミームが現実の行動を歪める危険がある。ある記事では「残り3年近い任期の中で、TACOのパターンを維持するためにどんどん過激な脅しが必要になる。それは文明の安全にとって良い公式ではない」と警告されとる。


マリコ:「3年間ずっとエスカレートし続ける可能性がある」ということか。それは……怖い話やな。


サチコ:三つ目は「TACOの進化」。完全な腰砕けではなく、「期限付きの圧力、例外つきの制裁、小出しの実行」に移行する可能性。つまり「引っ込める」のではなく「調整する」形に変わっていく。


マリコ:「全面撤回」ではなくて「条件付きの後退」に変わるのか。値切り交渉で言うたら「1万円を6千円にはせえへんけど、おまけつけたるわ」みたいな。


サチコ:一番現実的なシナリオはこれやと思う。TACOは消えへんけど、形を変えて続く。


マリコ:また「つづく」か!最近の漫才は全部「つづく」で終わるやんか。


サチコ:それが現代の政治の特徴なんやろな。「明確な終わり」がない。パターンが変容しながら続いていく。


マリコ:では、ここで2026年の選挙への影響を聞きたいんやけど。11月のアメリカ中間選挙でTACOは効くの?効けへんの?


サチコ:効くけど、両刃の剣や。民主党はTACOを「弱腰、一貫性なし」と攻撃材料に使える。民主党全国委員会は2025年6月に共和党本部の前にタコストラックを停めて、チキンのコスプレをしたトランプさんの画像を車体にあしらって無料タコスを配る政治パフォーマンスをやった。


マリコ:タコストラックで無料タコス配布!政治活動がフードフェスになっとるやんか!


サチコ:ただし経済が好調であれば、「結果オーライ」で済まされる可能性が高い。有権者は「あだ名」よりも「財布の中身」で投票する。


マリコ:前のハンガリーの話と同じやな。「台所の問題が地政学を上回る」というやつ。


サチコ:そう。ハンガリーでも、オルバーンさんの「戦争か平和か」キャンペーンよりも「来月の電気代」が有権者を動かした。アメリカでもイラン戦争でガソリン価格が1ガロン4ドル超に上昇していて、エネルギー長官は来年まで価格が下がらないと発言しとる。


マリコ:ガソリン代がTACO以上に選挙を左右するということか。


サチコ:「TACOかどうか」より「財布への影響」が決め手になんねん。


マリコ:まあ、それはどこの国も一緒やな。ほな、まとめてみよか。


サチコ:頼むで。


マリコ:今日の漫才の核心は三つや。一つ目。TACOとは「Trump Always Chickens Out」の略で、2025年5月にフィナンシャル・タイムズのアームストロング氏が名付けた。「強硬に脅してから引っ込める」パターンを指す言葉で、関税政策から始まって、イラン戦争、NATO、グリーンランドまで拡張された。昨日4月21日のイラン停戦無期限延長は「朝は爆撃すると言って午後に延長した」という教科書的なTACOの最新事例。


サチコ:完璧やな。


マリコ:二つ目。TACOの本質は「予測可能な不安定さ」。表面上は予測不能なカオスやけど、市場は「どうせ引っ込める」というメタ・パターンを学習して、TACOトレードという投資戦略まで生み出した。反トランプ側は「腰抜け」、親トランプ側は「交渉術」と真逆に解釈する。安倍晋三元首相は、TACOという言葉が存在する前から、その性向を読み切って「予防外交」で日本への矛先を避け続けた。


サチコ:その通りや。ほんで三つ目は?


マリコ:三つ目。TACOの最大のリスクは「ミームが現実を歪める」こと。「ビビりと呼ばれたくないから今度は本気でやる」という逆方向のエスカレーションが起きる可能性がある。スラングが大統領の行動を変え、大統領の行動が世界を変える。つまり「ネットのあだ名が文明の安全を左右する時代」に私たちは生きとる。


サチコ:重い結論やな。でも核心を突いとる。


マリコ:でもサチコ、最後に一つだけ言わせて。


サチコ:何や。


マリコ:TACOが世界中で話題になって、日本ではフジテレビでタコの物真似をして、いらすとやがタコスかぶった大統領のイラストを作って、ワシントン・ポストが「タコる」を紹介して。


サチコ:うんうん。


マリコ:つまり、世界最強の国のリーダーのあだ名が、メキシコ料理と海の軟体動物と日本の侮蔑語の三重の意味を持つ言葉に集約されてしもた。


サチコ:そうやな。


マリコ:これはもう、言語学の奇跡やないか。英語と日本語とスペイン語がたまたま交差する点に、21世紀最大の政治ミームが生まれてんで!


サチコ:言語学の奇跡というか、偶然の産物やけどな。


マリコ:しかも本人がブチ切れとるという。「これはタコではなく交渉と呼ぶものだ!二度と言うな!」と怒った結果、みんなが倍の勢いで使い始めるという。


サチコ:「否定すればするほど定着する」のもまたTACO的やな。


マリコ:最後に提案やねんけど、日本にもTACO的な言葉を作ったらどうやろ。


サチコ:例えば?


マリコ:「SABA」。


サチコ:サバ?魚の鯖か?


マリコ:「Shiji Always Backs Away」。「指示をいつも撤回する」の略や。日本の政治でもよく見る光景やろ。


サチコ:特定の人物に向けた皮肉はやめときなさい!「SABA」って、鯖を読むみたいやし、何のことか分からんし!


マリコ:じゃあ「TOFU」は?海外のSNSでもう使われとるらしいで。「Trump Only Fools Us」で「トランプは我々を愚弄するだけ」の略や。


サチコ:TOFUまであるのか!食べ物シリーズが止まらんな!


マリコ:次は「MISO」か「NATTO」が来るかもしれへん。


サチコ:「MISO:Making International Situations Obscure(国際情勢を曖昧にする)」とか?


マリコ:うまい!サチコも乗ってきたな!「NATTO:Never Actually Talks To Others(実際には誰とも話さない)」とか!


サチコ:ネバネバ外交か!もうええわ!食べ物で政治を語る時代に突入してしまったやないか!


マリコ:でも考えてみたらTACOもハンバーガー外交も全部食べ物やんか。「政治は食卓から」って言うしな。


サチコ:「政治は食卓から」はそういう意味ちゃう!「台所の問題が選挙を決める」っちゅう話であって、「大統領のあだ名を食べ物にする」話やない!


マリコ:でもトランプさんはマクドナルドが大好きやし、安倍さんとはハンバーガーを食うたし、今度はタコス呼ばわりやし。


サチコ:確かにトランプ外交は食べ物と切っても切れへんな。


マリコ:結論!「TACOは単なるミームではなく、21世紀の権力構造をたった二文字で可視化する分析ツール」であり、「そのあだ名に世界の安全保障が振り回される時代に私たちは生きている」ということ!


サチコ:あんたがまともなまとめをした後に食べ物ボケをかまして、最後にまたまともに戻るという二段構え、これもTACO的やな。「強く出て、引いて、また出る」。


マリコ:なに!?私の漫才スタイル自体がTACOやったんか!ほんまか!?


サチコ:あんたは「マリコ・オールウェイズ・チキンズ・アウト」やのうて「マリコ・オールウェイズ・ボケズ・アウト」やな!MACOや!


マリコ:MACO!マリコ・オールウェイズ……いや待って、ボケズ・アウトの略はMABOになる。マーボー豆腐や!


サチコ:もう食べ物から離れてくれ!最終的に全部料理名になってまうやんか!


マリコ:でもこの「食べ物で政治を読み解く」シリーズ、悪くないと思うねんけど。


サチコ:こんなんいつまでも続くかい!もうええわ!


マリコ・サチコ:どうもありがとうございましたー!


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