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サチコとマリコの時事ネタ漫才  作者: 藍埜佑


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第184話「年金崩壊!?~破綻せえへんけど、老後は串カツ1本だけ時代が来るで~」

マリコ:(老眼鏡をかけて、新聞を読みながらよたよた登場)あー、あー……腰が痛い……はよ年金もらいたい……。


サチコ:あんた何歳の設定やねん。あんた今日、出囃子から違う。元気ないやんか。


マリコ:だってサチコ、うちな、最近「年金」について真剣に考えてるねん。このままやと老後ホンマに大丈夫かって、夜も眠れへんくらい心配で。


サチコ:ほう、珍しく真面目な顔してるな。


マリコ:もし年金がもらえへんようになったら……レトルトカレーの備蓄すら食い尽くして、老後はコーンスープの空き缶を楽器代わりに鳴らしながら生きる羽目になるで!


サチコ:それは年金問題やのうて、備蓄が底をついてる問題やわ!でも、年金が心配なのは正直なところや。今日はそこをちゃんと整理しよ。


マリコ:頼む!わかりやすく教えてくれ!


サチコ:まず大前提を言う。「年金は破綻しない」。


マリコ:えっ!?ほんまに!?「年金破綻する!払い損や!」って言うてる人らはウソつきなんか!


サチコ:ウソではないけど、正確でもない。制度的に「破綻」はせえへんけど、「もらえる金額が実質目減りしていく」という問題が正確な表現や。


マリコ:「破綻しないけど、静かにしょぼくなっていく」か。なんか、たこ焼き屋の「値段そのまま、中身のタコだけが消えていく」みたいな話やな。


サチコ:まあ大阪の人間にわかりやすいたとえやな。「ステルス値上げ」ならぬ「ステルス目減り」や。今の「所得代替率」って聞いたことある?


マリコ:所得代替率!?なんか難しい言葉出てきたな。「所得が代わりに退場する率」みたいな名前やけど。


サチコ:全然ちゃう!「現役時代の手取り収入と比べて、年金がどの程度の割合か」を示す指標や。今は61.2%で、つまり現役時代の手取りが30万円やったら、年金で約18万円もらえる計算や。


マリコ:18万円か。まあ、夫婦で23万円ちょいがモデル年金やって聞いたことある。


サチコ:そう、2025年度のモデル年金は月約23.3万円。基礎年金が約6.9万円、厚生年金が約9.4万円で合計。でも問題はこれが将来下がる見通しや。


マリコ:どのくらい下がるん?


サチコ:経済が順調に成長するいいシナリオで57%前後まで下がる。成長が止まったゼロ成長の最悪シナリオやと33%から37%まで下落する。


マリコ:33%!?30万円の手取りやったら年金10万円やんか!天神橋筋商店街でたこ焼き1パックも怪しい生活やんか!


サチコ:そのための積立金がある。今のGPIFという年金の運用機関が約250兆円を運用してる。


マリコ:250兆円!?エゲツない数字やな。阪神タイガースが何回優勝したら稼げるんやろ。


サチコ:球団の稼ぎで換算すな!でも、この250兆円も「緩衝材」であって根本解決やない。ちょうど松屋の味噌汁みたいなもんで、おかずがなくなったとき一時しのぎにはなるけど、それだけで腹は膨れへん。


マリコ:ほお松屋の味噌汁を持ち出してきたな。確かに言いたいことは分かる。で、なんでこんな状況になってるん?


サチコ:根本的な問題は「賦課方式」という仕組みが、少子高齢化でじわじわ機能しなくなってきてることや。


マリコ:賦課方式って何なん?


サチコ:今の現役世代が払った保険料で、今の高齢者の年金を払う仕組みや。積み立てて自分でためるんやなくて、「今の若者が今の老人を養う」という仕組みや。


マリコ:おー、大阪の商店街の「向かいの八百屋のおじさんがしんどなったら、みんなで助ける」みたいな相互扶助の精神やな。


サチコ:そう。でも昔は「現役10人で高齢者1人を支える」みたいな比率やったのが、今は現役1.9人で高齢者1人を支えてる。


マリコ:1.9人!?なんか「先輩社員の倍の仕事をこなす新入り」みたいな状況やな。


サチコ:そして2040年代には1.3人で1人を支える時代が来て、2070年には1.1人対1人、ほぼ1対1になる見通しや。


マリコ:1対1!?それって「一個しか持てない串カツを、二人で分け合う」みたいな話やん。しかも二度漬け禁止のルールで!


サチコ:二度漬け禁止はここでは使えへんけど、感覚はそれや。支える側と支えられる側がほぼ同数になる時代が来る。


マリコ:なんでそんな事態になるん?


サチコ:出生率や。2023年の日本の合計特殊出生率が1.20まで下がってもうてる。2025年は出生数が70万人台前半でほぼ確定で、これは1900年以来最低水準や。


マリコ:1900年!?明治時代以来の最低やんか!その時代は日清戦争の翌年くらいやん!


サチコ:そういう意味では今の日本は「自分たちで自分たちを滅ぼしてる」状態といえなくもない。出生数が減ると将来の保険料を払う現役世代が減るから、年金財政がさらに苦しくなる悪循環や。


マリコ:で、少子化対策を頑張ったとして、子どもが生まれてその子が年金を払い出すまで何十年もかかるやんか。今すぐは効かへんよな。


サチコ:そこで政府が考えてるのが「支える側を増やす」3つの策や。まず「高齢者に働いてもらう」。65歳から74歳の就労参加率を今の約35%から50%まで引き上げる目標がある。


マリコ:高齢者がもっと働く時代か。定年は形式上あっても実質もっと長く働く、と。


サチコ:「年金だけでは足りないから働かざるを得ない」現実でもあるんやけどな。次に「女性に厚生年金に入ってもらう」。2025年の年金改正で「106万円の壁」が撤廃されることになった。


マリコ:106万円の壁!パートさんたちが「これ以上稼いだら社会保険料が引かれる!」って仕事を調整してたやつやな。


サチコ:それが2027年以降、段階的に撤廃されて企業規模の要件もなくなっていく。週20時間以上働いたら全員厚生年金加入になる方向や。


マリコ:「130万円の壁」も「106万円の壁」も、なんか「なんばの道頓堀に飛び込まへんためのガードレール」みたいに機能してたのに、そのガードレールを取り払う、と。


サチコ:うまいたとえやけど、「もう飛び込まないように泳ぐ練習してください」という方向に変える、ちゅうことや。3番目は外国人労働者の受け入れ増加。今は年間16.4万人の入国超過を20から30万人に増やすと年金財政が改善するって試算がある。


マリコ:外国人労働者さんも厚生年金に入ってもらって、一緒に支え手になってもらうんか。


サチコ:ただ、受け入れを増やすには「統合コスト」、つまり言葉の壁とか生活支援とかの問題があるし、国内政治的な反発もある。簡単には増やせへん。


マリコ:難民問題で揺れてる欧州みたいに複雑になる可能性があるな。なんか、年金の問題ってどこを解こうとしても難しい問題が出てくるな。


サチコ:それが「構造的欠陥」という言葉の意味で。今日一番のポイントを教えよ。「マクロ経済スライド」って聞いたことある?


マリコ:マクロ経済スライド!お笑いのスライドネタやない?「すべり台みたいに経済が滑ってる」ということ?


サチコ:全然ちゃう!年金額の増え方を自動的に抑える仕組みや。物価や賃金が上がっても、それより少し少なく年金額を増やすことで、将来の破綻を防ぐ「給付抑制装置」や。


マリコ:つまり「物価が2%上がっても年金は1.6%しか増えません」みたいな話か。


サチコ:そうや。長期間続けると年金の実質的な価値がじわじわ下がる。「静かな目減り」や。


マリコ:「静かな目減り」。やっぱなんか怖い表現やな。まるで黒門市場のおでんの出汁が毎年少しずつ薄くなっていくのに気づかへんみたいな。


サチコ:しかも一番問題なのが、厚生年金の2階部分は比較的早く調整が終わるんやけど、基礎年金の1階部分が2057年まで31年も調整が続く見通しがあることや。


マリコ:2057年!?31年も続くん!?私、今から31年経ったら死んでるかもしれへんけど、その頃に年金もらってる人はずっとじわじわ目減りし続けてるのか。


サチコ:基礎年金ってのは国民全員が受け取る「1階部分」やから、特に自営業とかフリーランスで厚生年金がない人、つまり国民年金だけの人が一番打撃を受ける。


マリコ:自営業の人や農家のおじさんたちが一番きついんか。


サチコ:そう。資料によると基礎年金の実質価値は最悪シナリオで約20%下がる可能性がある。「2割カット」やな。


マリコ:2割カット!串カツを5本食べてたのが4本になるんか。それでも二度漬けしたくなるわ!


サチコ:そろそろ食べ物で考えるのやめえや!でも感覚的にはそういうことや。そして制度の3番目の欠陥が「第3号被保険者制度」の問題や。


マリコ:第3号!「第3のビール」の3号か?


サチコ:全然ちゃう!会社員の配偶者として扶養されてる人が、自分では保険料を払わずに基礎年金をもらえる仕組みや。今から廃止方向にはなってるけど、まだ根本解決してへん。


マリコ:「自分では払ってないのにもらえる人」と「ちゃんと払ってるのに少ない人」が共存してる不公平感があるんやな。


サチコ:そうや。


マリコ:また「在職老齢年金」っていう問題もあったんやろ?


サチコ:よう知ってるな。働きながら年金をもらってる65歳以上の人で、賃金プラス年金が一定額を超えたら年金が減らされる仕組みや。これが高齢者の就労意欲を削いでた。


マリコ:「働いたら年金が減る」って、そりゃ働く気なくなるわ。「梅田の百貨店でいっぱい買い物したら、ポイントが逆に減ります」みたいな話やんか。


サチコ:2025年の改正で基準額が月50万円から62万円に引き上げられたけど、根本的な見直しには至ってへん。


マリコ:6割の人には関係ない改正やんか。焼け石に水やな。で、医療と介護の問題はどうなん?


サチコ:これも深刻で、国民医療費が2023年度で約48.9兆円。毎年1兆円超ずつ増えてる。


マリコ:毎年1兆円!?難波の高島屋が何年かけても追いつかへん増え方やで!


サチコ:しかも75歳以上の高齢者1人が使う医療費は、現役世代の約5倍や。高齢化が進めば進むほど自動的に医療費が膨らむ「増加自動装置」になってる。


マリコ:「年を取るほど医者に行く回数が増える」のは当然やからな。それを全員で支えるには……もう保険料上がり続けるしかないんか?


サチコ:もしくは高齢者の自己負担を増やす。75歳以上の窓口負担を2割にする動きが進んでて、財政的には効果があるんやけど、アクセス阻害、つまり「お金がかかるから病院に行かへん」高齢者が出るリスクもある。


マリコ:そうなると「早期発見・早期治療」ができへんくなって、結果的に重症化して余計お金かかるっていう逆効果になるかもしれへんな。


サチコ:そこで「予防医療」や。健康寿命を1年延ばすだけで医療・介護費が約1兆円削減できる試算がある。


マリコ:1年長く健康でいるだけで1兆円の節約!これはでかいな。


サチコ:だから「健診を受けましょう」「歩きましょう」「野菜食べましょう」は、社会保障費の観点からもマジで大事なんやな。


マリコ:「1日1万歩は老後のための年金積み立て」ってことか。歩数計が年金通帳代わりになるんやな。


サチコ:なかなかええたとえや。あと、介護費も今12兆円が2040年には25兆円になる見通しやから、介護ロボットとかAIの活用も急務や。


マリコ:ロボットとAIか。前の漫才で脳チップの話をしたけど、介護ロボットなら現実的な問題やな。


サチコ:生産性が1%上がるだけで年金財政が劇的に改善するという試算もある。だから「経済成長」と「技術革新」は、年金問題にとって最大の解決策の一つや。


マリコ:「破綻は回避できてる。でも静かに劣化していく」という構造を変えるのが、成長と技術革新というわけか。


サチコ:まとめると、日本の年金は「壊れてへんけど、ちびちびガスが漏れてる」状態や。「パンクしてへんから大丈夫」やなくて「ゆっくり空気が抜けてる自転車」みたいなもんで、放っておくと走れんようになる。


マリコ:それで、空気を入れ直すための4本の柱が「労働参加率を上げる」「社会保険の適用拡大」「医療予防と自己負担見直し」「経済成長とAI・ロボット」やったんやな。


サチコ:おっ、マリコちゃんと整理できてるやんか。そして一番根本的な長期の解決策は出生率の改善やけど、これは結果が出るまでに何十年もかかる。


マリコ:「今すぐ子どもが増えても、その子が働き出すのは20年後」やもんな。でももっとSFみたいな話もあったんやろ?「人工子宮」とか。


サチコ:ああ、それが「人口技術による解決」というやつで、もし人工子宮の技術が実用化されて出生率が1.3から1.6に上がったら、2070年の扶養比率が1.1から1.4に改善するって試算がある。


マリコ:1.4!いまの1.9に近い水準まで戻れるんか。それ、すごいやんか!


サチコ:ただし倫理的な問題がものすごく複雑やけどな。「人間の尊厳」「格差拡大(お金持ちだけが使える技術にならへんか)」「家族観の変容」……。


マリコ:「お金持ちだけが子どもをたくさん産める」世界になったら、富める者はさらに豊かになる「超格差社会」になってまうな。


サチコ:だから技術だけやなくて「誰でも公平にアクセスできる制度設計」が必要や。技術と制度と倫理の三つを同時に考えなあかんのが、年金問題の難しいところや。


マリコ:「制度は生き残るけど、生活は苦しくなる」という未来をただ受け入れるか、「制度も生活も守れる未来を作る」か、の岐路に立ってるんやな。


サチコ:おっ、今日一番のまとめやったな。


マリコ:せやろ?今日は私、完全に覚醒してるで。ちなみに私の個人的な年金対策も発表してええか。


サチコ:ほな聞こうか。


マリコ:「NISAでお金を増やして、iDeCoで節税して、健康寿命を延ばすために黒門市場でいい食材を買って、コーンスープの備蓄は最終防衛ラインとして保持する」!


サチコ:それは割とまともな対策やん!ちゃんとボケろや!あと最後だけ余計や!


マリコ:でも一番重要なのは「子どもや孫世代が豊かに生きられる社会を今の大人たちが作る責任がある」ということや。年金問題は「老人のための問題」やのうて、「若い世代と未来世代のために、今の社会全体が解決しなあかん問題」やと思う。


サチコ:マリコ、今日は全篇通して鋭かったな。


マリコ:でもなサチコ、私が本当に心配してるのは、ここに来てくれてるお客さんの老後やで。


サチコ:おっ、珍しく客席に語りかけてきた。


マリコ:皆さん、NISAはもう始めましたか?iDeCoは?健康診断は?


サチコ:漫才の舞台でファイナンシャルプランナーみたいなこと言うな!


マリコ:でも真剣に言うてるねん。「制度は続くけど静かに劣化する」なら、自分で備えるしかないねんから。


サチコ:……それは確かにそうやな。


マリコ:ただし!私の最終奥義「友人の結婚式に行くたびにご祝儀を断って、その分NISAに突っ込む」作戦はお勧めしません!


サチコ:人間関係が全部崩壊するわ!友達おらんようなったら老後もっとしんどくなるやん!


マリコ:ほな「年金の心配は高校の同窓会で持ちつ持たれつ助け合う地域コミュニティを作って解決」!


サチコ:それはそれで大事やけど、そんな簡単やないわ!


マリコ:じゃあ最後は……「大阪万博みたいに新技術で未来を見せてもらう!」


サチコ:万博は終わったわ!


マリコ:じゃあ次の万博まで待ちます!


サチコ:何十年後やねん!もうええわ!


マリコ・サチコ:どうもありがとうございましたー!


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