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サチコとマリコの時事ネタ漫才  作者: 藍埜佑


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第183話「MAGAが割れた!~イスラエル・ファーストかアメリカ・ファーストか、福音派の終末論と戦争の作り方~」

マリコ:(赤い帽子をかぶって登場)どうもー!メイク・アメリカ・グレート・アゲインでーす!


サチコ:とうとうそれをかぶってきたな。舞台に赤い帽子で登場すな。おまえは誰の支持者や。


マリコ:MAGAの帽子や!今日はMAGAについて語るからな、気合い入れてきてん。


サチコ:気合いの方向が間違ってるわ。それにその帽子どこで手に入れたんや。


マリコ:ネットで299円やった。


サチコ:ホンマもんは350ドルくらいするんやぞ。


マリコ:「メイク・マリコ・グレート・アゲイン」にしたくて買ったんやけど、そこまで印刷する技術がなかった。


サチコ:要らん情報や!まあええわ。今日はMAGA内部のドロドロについて話そと思てんけど、マリコ、今のアメリカで何が起きてるか、基本は分かってるか?


マリコ:分かってる分かってる!イラン戦争が始まってから、MAGA陣営がバラバラになってきてるんやろ。「アメリカ・ファーストや!」って言うてたはずのトランプさんが、イランに攻め込んで、「それはイスラエル・ファーストやないかい!」って身内から批判されてる。


サチコ:よう勉強してるな。で、その批判の先頭に立ってるのが、タッカー・カールソン。


マリコ:タッカー・カールソン!トランプの親友やったはずの人やな。その人がなんて言うたん?


サチコ:イラン攻撃が始まった翌日、「この戦争は絶対的に邪悪で、反吐が出るくらい間違いだ。これはトランプが決めたんやなくて、ネタニヤフがトランプをそそのかしたもんだ」って言うたんや。


マリコ:「反吐が出るくらい間違い」!?親友に対してそれ言えるのは、相当の思い切りやで。普通の人やったら「ちょっと気になるな」くらいで終わらすのに。


サチコ:カールソンはそれだけやなくて、攻撃開始の直前にもホワイトハウスを訪問して「踏みとどまれ」と直接言いに行ってたんや。


マリコ:直接言いに行ったんか!よくある映画の「待って!飛行機が飛んでしまう前に!」みたいなシーンやん。でも飛行機は飛んでしもうたわけか。


サチコ:そうやな。で、他のMAGA系の有名人も続々批判を出す。フォックスニュースのメギン・ケリーは「外国のために死者を出すべきやない、亡くなった兵士はアメリカのためやなくてイランとイスラエルのために死んだことになる」って。


マリコ:……それは、きつい言い方やな。命を落とした人とその家族のことを思うと。


サチコ:きつい言い方やけど、彼女が言いたいのは「なんのために死ぬのか、それが明確でない戦争に送るな」ということや。


マリコ:マジョリー・テイラー・グリーンも「MAGAはアメリカ・ファーストであってイスラエル・ファーストやない」って言うたんやろ?


サチコ:せや。彼女はもともとMAGAの超過激な推進者として有名やったのに、この戦争に関しては真っ向から反対の旗を立てた。


マリコ:かつての「超ガチのトランプ支持者」たちが、一斉に「これはアカン」って言い始めたんか。


サチコ:でもトランプさんはどう言い返したかというと「カールソンとケリーが言ってることは私の支持層の声を代弁してない。MAGAとはTrumpであり、それ以外が代表者ではない」って言い切った。


マリコ:「MAGA=トランプ」宣言や!「うちの会社の商標は私だ、お前らは勝手に名乗るな」みたいな。


サチコ:商標登録はしてへんけど、概念としてはそういうことやな。でもランド・ポール上院議員は「米国民はイラン攻撃に投票したわけやない。戦争権限は議会にある」とガチで反論した。


マリコ:憲法論まで持ち出してきたんか。「商標問題より先に憲法問題があるやろ」ってツッコんでる感じやな。


サチコ:上下両院の共和党は議会の決議案を否決してトランプへの忠誠は示したんやけど、水面下では「中間選挙への影響が心配や」って声が出てきてる。


マリコ:世論調査はどんなもんやったん?


サチコ:こっちが一番のポイントやねんけど、イラク戦争の時に支持率が80%超えてたのと全然違って、今回のイラン攻撃は最初から「支持より不支持が上回る」という前例のない状況や。ピュー・リサーチの調査では59%対38%で「間違った判断」。


マリコ:最初から!?最初から「これはアカン」って思われてるのに戦争してるんか。


サチコ:しかも共和党支持者の中でも、「MAGA信奉者以外の共和党支持者」は36%が戦争反対って言うてるから、一枚岩やない。


マリコ:「MAGAの中でも割れてて、共和党全体でも割れてる」のか。


サチコ:で、このまま長引いたら中間選挙でどうなるかっていうと、2006年のイラク戦争の時みたいに共和党が大敗する「第二の波」が来るかもしれないって分析がある。


マリコ:2006年のイラク戦争の時か。あの時は2008年にオバマさんが当選するっていう「戦争疲れが政権交代を生んだ」パターンやったな。


サチコ:しかも今回は最初から反対が多いから、そのパターンが早まるかもしれへん。ガソリン代が1ガロン約1ドル上がって、それだけで共和党支持者の31%が「戦争はコストに見合わない」って言い始めてる。


マリコ:ガソリンで「あかん」になるのか。「思想よりも財布」というのは万国共通やな~。


サチコ:「腹が減っては戦も出来ぬ」ならぬ「ガソリン高くては支持も出来ぬ」やな。でも、なんでそんな反対が多いのに、まだかなりの人が支持し続けてるのかっていうところが今日の核心やねん。


マリコ:それは何でなん?


サチコ:まずキリスト教の福音派。ここが面白い、というか複雑な話やねんけど。


マリコ:キリスト教福音派!トランプの一番の岩盤支持層やな。白人福音派の70%がトランプを支持してるって聞いたことがある。


サチコ:そうや。で、なぜ彼らがイランへの戦争を支持するかというと、「終末論」が絡んでる。


マリコ:終末論!「世界が終わる時代の予言」みたいなやつか。


サチコ:「ディスペンセーショナリズム」って言うてな、人類の歴史は神の計画の通りに進んでいくという信念で、その計画の中でイスラエルが重要な役割を果たすと解釈されてる。イスラエルに関わる大きな出来事が終末を告げて、イエス様が再び地上に来る「再臨」につながると信じてる。


マリコ:えっ、つまり「イランと戦争してイスラエルを守ることが、イエス様の再臨の準備になる」と思ってる人がいるってこと?


サチコ:その通りや。彼らにとってこれは地政学的な問題やなくて、聖書に書いてある「神の計画」の一部なんや。だから費用対効果の計算が通じへん。


マリコ:「神の御心ならお金とか命とか関係ない」ってことか……それは反論しにくいな~。「ガソリン高くない?」「神の御心や」で終わりやん。


サチコ:しかも、ピート・ヘグセスっていうイラン爆撃の現場責任者の国防長官が、キリスト教ナショナリストで、背中に中世の十字軍のエルサレム十字と「Deus Vult(神の御心)」ってタトゥーを入れてるんや。


マリコ:タトゥー!現役の国防長官が「神の御心」って背中に刻んでるんか!国防総省って「軍事の省」やのに、背中に「神の御心」って書いてあるリーダーが指揮してるんか。なんか怖ない?


サチコ:それだけやない。軍の監視団体によると、一部の部隊指揮官が兵士たちに「トランプ大統領はイエスに油を注がれ、イランにハルマゲドンの烽火を上げ、イエスの地上への帰還を告げる使命を受けた」と語ったとされてる。


マリコ:ちょっと待って……「大統領はイエスに油を注がれた使命者で、この戦争はハルマゲドンの始まりや」って、戦場に送られる前に部隊指揮官から言われたら、どんな気持ちになるんやろ。


サチコ:それに関して「Military Religious Freedom Foundation」っていう監視団体に200件以上の苦情が来てるって言われてる。「こんな終末論的な話を上官からされた」っていう現場の兵士たちからの声や。


マリコ:「アメリカの軍隊が宗教的予言に基づいて動いてる可能性がある」ってことやよな。政教分離はどこに行ったんや。


サチコ:そこが専門家も一番懸念してる点や。「神学的終末論が実際の軍事政策に影響を与えるという前例が確立されつつある」って分析がある。


マリコ:こわすぎる!「戦争の理由が聖書の預言」やったら、停戦の理由も「聖書の預言が完成した」とかになってまうんちゃうか。


サチコ:一部の福音派議員が「聖書によれば、大統領はイスラエルを間違えてはならない唯一のことだ。大統領はイスラエルを間違えることはできない」って言い切ってる。


マリコ:「大統領がイスラエルに関して間違いを犯すのは宗教的に許されへん」ってことか。もうこれ宗教国家やん。


サチコ:アメリカは憲法上は政教分離やけど、宗教が政治に与える影響は日本とは桁違いや。で、MAGA信奉者の心理はさらに別の層がある。


マリコ:まだあるんか。


サチコ:MAGA支持者の特徴は「政策評価じゃなくて文化的帰属意識」で支持してる点や。


マリコ:文化的帰属意識?


サチコ:「忘れ去られた人々」という意識やな。グローバル化や産業の空洞化で職を失ったり、学歴がなくて都会には馬鹿にされてると感じてる白人中下層の人たち。彼らにとってトランプは「自分たちの代わりにエリートを罵倒してくれてる代理人」なんや。


マリコ:「俺らが言いたいことを言ってくれてる」というカタルシスか。


サチコ:だから戦争の正否より「トランプが強く屈しないこと」自体が支持の理由になる。しかも情報は既存メディアを「フェイクニュース」と見なして、右派のポッドキャストとかSNSしか見てへん。そのエコーチェンバーの中では「戦争がうまくいってないように見えるのは、ディープステートが邪魔してるからや。トランプは実は深謀遠慮でやってる」という物語が回ってる。


マリコ:「失敗に見えることも、実はディープステートとの戦いの一部や」っていう解釈か。どんな状況でもトランプが正しいことになってまう「完全防衛システム」やな。


サチコ:それを「4Dチェス理論」って言うて、「普通の人には理解できない次元の高い戦略をトランプは実行している」というやつや。


マリコ:「4Dチェス」!4次元のチェス!私みたいな凡人には理解できへんやつや!せやから負けてるように見えても全部計算通りで、最終的には完全な勝利になってる、みたいな。


サチコ:批判が来るほど「やはり彼は正しい、でなければこんなに叩かれるはずがない」という逆説的確信が強まる構造もある。


マリコ:「批判は証明」か。それは論理的に反証不可能やな。「お前が悪い証拠は?」「悪い奴ほど称賛される。つまり称賛されてないトランプは悪くない。QED(証明終了)」みたいな。


サチコ:この構造があるから、普通の「これは間違いやろ」という批判が効かへん。で、ここで一番大事な問いがある。「アメリカはこれからどこへ行くのか」。


マリコ:確か3つのシナリオがあるんやろ?


サチコ:そうや。シナリオAは「短期終結・勝利ナラティブの確立」。数週間から数ヶ月で戦闘が縮小して、「核開発を抑止した、イランの軍事能力を削いだ」と宣伝できれば、MAGA連合はとりあえず維持される。でも長期的にはカールソン系の「反介入的ナショナリズム」が思想として育ってて、トランプ退任後の「ポストMAGA右派」になる可能性が高い。


マリコ:「今回は丸く収まったとしても、種は撒かれた」ってことか。


サチコ:シナリオBは「泥沼化・中間選挙での共和党大敗」。戦争が長引いてイランも降伏せず、米兵の死者と戦費だけが積み上がる。これがイラク戦争後の2006年のパターンで、当時も開戦3年後に共和党が大敗して2008年にオバマ政権が生まれた。今回は最初から支持が低いから、その流れがもっと早く来る可能性がある。


マリコ:「イラク戦争は3年かかったのが、今回は最初から反対が多いから1年で同じことになるかもしれへん」と。


サチコ:しかも試算では下院で30議席規模の議席喪失、場合によっては上院多数も危うくなるって言われてる。


マリコ:30議席!下院の多数派がひっくり返るかもしれんのか。


サチコ:シナリオCは「国内分断の半恒久化」。どのシナリオでも、「白人福音派とMAGA中核」の支持は崩れへん。でも「二つのアメリカ」の分断がさらに固定化する。都市部・高学歴・若年層・非白人・無宗教の人たちと、地方・低学歴・白人・キリスト教保守の人たちの分断が、もう選挙では埋められへんくらいに深まる。


マリコ:「一つのアメリカ」ではなくて「二つのアメリカ」がそれぞれ全然違う現実を生きてる状態が続く、と。


サチコ:外交・戦争の長期戦略よりも、「文化戦争・宗教対立・陰謀論が安全保障政策をも左右する」不安定な状態が続く可能性が高いってことやな。


マリコ:サチコ、ちょっとまとめてもええか。今日の話の核心はなんやと思う?


サチコ:どうぞ。


マリコ:「アメリカ・ファーストを掲げた人たちが、気づいたらイスラエルのために戦争してた」という矛盾が、MAGA内部で爆発してるということやと思う。


サチコ:そう、ほぼそれや。


マリコ:でも同時に、その矛盾がすぐには崩壊しない理由が、「終末論」と「文化的帰属意識」と「4Dチェス理論」という三つの防波堤で守られてる。


サチコ:そうやな。でも防波堤も、ガソリン代が上がって死者が増えて戦費が膨らんでいったら、少しずつ崩れていく。特に「MAGA信奉者以外の共和党支持者」が最初に離れる。


マリコ:「中間選挙はMAGA中核より、その周辺の人たちで決まる」と。


サチコ:選挙はいつも周縁部で決まるからな。熱烈な支持層は何があっても投票に行く。でも「まあトランプでええか」と思ってた人たちが「やっぱりあかんかも」になった瞬間が分岐点や。


マリコ:日本はこれ、他人事として見てたらあかんやろな。


サチコ:ホルムズ海峡の話は何回かやったけど、原油の9割が中東頼りの日本にとって、アメリカがイランと戦争を続けることのコストは直接に電気代とガソリン代に来る。


マリコ:しかもアメリカが内部分裂してたら、日本への「一緒に対応してほしい」という圧力が、よりわがままな形で来るかもしれへんな。内部がガタガタの国ほど、外に強く出て矛盾を隠そうとする、みたいなことが起きるんちゃうか。


サチコ:その観察、鋭いで。内部の分裂を外部への強硬姿勢で埋めようとするパターンは歴史上よくある。


マリコ:「困ったら外に向けて怒鳴る」は人間も国家も一緒か。


サチコ:そして一番の問いに戻ってくるんやけど、この前の180話で「どうやったら戦争はなくなるねん」っていう話をしたやんか。


マリコ:縄文時代から現代まで串刺しにした話やな。


サチコ:今日の話で一つ分かったのは「終末論と戦争が結びついた瞬間、人間は止まらへんくなる」っていうことやな。「これは神の計画だ」と信じたら、費用対効果も損得も通用しへん。


マリコ:「人が合理的に考えられなくなる条件の一つが、強い宗教的確信」か。


サチコ:だから戦争をなくすには「経済的損得」「情報の正確さ」「法律と制度」だけやなくて、「宗教と政治が結びつく構造をどう扱うか」という、もっと根の深い問いがある。


マリコ:「神の御心」を背中に刻んだ国防長官が、「神の御心」に従って命令を下す世界……その世界で「いや、それは合理的に考えたらあかんやろ」ってツッコんでも届かへんよな。


サチコ:だから前の漫才で言ったやろ。「笑い」が人間に残された抵抗やって。


マリコ:神の御心には笑いは通じへんのかもしれへんけど、笑える人間はまだ「立ち止まって考えてる」証拠やと思う。


サチコ:「ハルマゲドンの烽火」って言われながら笑えてる間は、まだ人間やな。


マリコ:よっしゃ!ほな私も「神の御心」を背中に刻みに行くわ!


サチコ:何入れるつもりや。


マリコ:「Deus Vult」やなくて「コーンスープ熱望」!


サチコ:まったく意味が違うわ!しかもラテン語ちゃうし!


マリコ:私の終末論は「コーンスープの缶が全部消えたら世界が終わる」や!備蓄しとけよ~~~!


サチコ:あんたのハルマゲドンは自販機の撤去やったな、前の漫才で。


マリコ:そうや!自販機撤去がもたらす終末!「街角のオアシスが消えゆく日、マリコは最後の一本を手に入れられるのか」!


サチコ:スケールが違いすぎる!福音派の終末論と自販機の終末を同列に並べな!


マリコ:でもどっちも「最後の瞬間のために備えとく」っていう精神は一緒やろ!


サチコ:ローリングストックをハルマゲドンの準備とは呼ばへん!もうええわ!


マリコ:ちなみに私の「America First」は「マリコ・ファースト」や!全ての判断において私の利益が最優先!


サチコ:それは単なるわがままや!外交方針でもなんでもない!


マリコ:「Mariko First、Corn Soup Always」!これが私のスローガンや!


サチコ:意味もリズムも政策も全部ない!もうええわ!


マリコ・サチコ:どうもありがとうございましたー!



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