61話『一難去りまして』
いやはや、時の移り変わりというのは早いもので。
鬼畜厨二病角ありノッポのテルシフォンと、彼女率いる人攫い集団との一件を終えた俺に待っていたのは尋問と折檻、そして地下室送りという罰則の日々だった。
まあ、何が起きてあんな森がめちゃくちゃになるような惨事になったのかを突き止めるために尋問されるのはわかる。
当然だ、深夜帯に修道女が外をうろついたまま失踪、数日後に全裸で発見されたとなったら放っておけるわけないものな。怪しさ満点だもん、関与してなかった場合じゃあなんでの疑問が圧倒的に勝るもん。質問飛ばして尋問になるのも無理からぬことである。
尋問を受ける中でまたしてもメンタルギャン折れしてしまった俺はテルシフォン一派との遭遇に信ぴょう性を持たせるため、グラニウスとの間で行っていた行動と事の顛末をそれなりにひっそり、俺に非がないと感じられるよう誤魔化しながらもゲロってしまった。
でも案外教会の尋問マン達は有情で、何もかもをゲロった俺に対し『幼さゆえに男に騙されてしまった可哀想な幼女』という扱いをしてくれた。カマトトぶれなくなった代わりに悲劇のロリの地位を得た、怪我の功名である。
死刑は免れた。でも、死亡したグラニウスの部屋に調べに入った人らによってミルティア教の教義から逸脱したド変態極めた行為の足跡が見つかった上に許可なく消灯時間後に外に出歩いた事を詰められた結果、それなりに重い罰則を課せられて今に至る。
危ねえ。紙一重で教会破門という意味の分からないドロップアウトをする所だった。宗教の根幹を揺るがす異例の追放を受ける所だった。事前に俺めちゃくちゃ被害者ってストーリーを描いといて良かった〜。日々の善行が功を奏したな!
「しっかしまさか地下室送りとは。納骨堂のお隣さんになるとは思わなかったぜ」
まあ、重い罰則とは言ったが、俺に課せられたのは誰も管理したがらない納骨堂及び地下区画の清掃、管理。地下室と言っても別に外に出られない訳じゃないし人と会うのも制限されてない、ここは南国寄りな気候なので寒さも特に感じないしむしろ石で囲まれた空間はひんやりしていて心地良い。
ぶっちゃけ俺にとっては苦にならない罰則である。なんだったら深夜起きてても見つかるリスクが無いから夜更かしし放題だしな。やる事ないけどさ。
「掃除も、最初はめんどっちくて怠かったけど慣れるとなんて事ないしな〜。むしろ隅に溜まったホコリやら蜘蛛の巣やらが取れてツルピカリンになるのを見ると心がスーッとするぜ。元来俺は丁寧な生活を心がける素養があったのかもなぁ〜、女の体を手に入れたんだしいっその事どっかのメイドにでも志願してやろうかしらっと」
箒で床の誇りを集めながら鼻歌を歌う。漫画もゲームもない、娯楽らしい娯楽が少なすぎるこの世界でやる事があるのはとてもいい事だ。
決められた仕事に癒しを見出し、義務感ではなく達成感を求めて仕事に従事する。うむ、なんという真人間。前世までひっくるめてここまでマトモになったのはまじに人生初だ。冒険者を志すよりこういう仕事を手につけた方がいいのではなかろうか? 冒険とか魔獣退治とか、わざわざそんな危険な事する意味が分からんしな。
見てるかアレクトラ、お前だって誰かの為に役立てるんだぜ。生前成し遂げられなかったであろう人類との共存を俺が叶えてやったぞ、やったな!
「さてさてさあ〜て。ここの掃除も終わったし窓拭きも続けてやっちゃお〜。どうせ誰も来ないし、終わったら外に出てジャンキーな物でも食いに行っちゃうぞ〜るんるんっ」
「随分大きな独り言だな、シスター・セーレ」
「うおわひゃっ!?」
突然背後で人の声がしたので飛び上がりついでに距離を取って謎の人物に箒の柄の方を向ける。
「……って、シスター・ジュエル?」
「先輩相手にそんなものを突きつけるとは。良い度胸だな」
背後から声をかけてきた人物はいけ好かない先輩異端審問官のシスター・ジュエルだった。
素直に言って嫌いな相手なので口の形が自然とイの形になる。相性的に絶対悪いからこの人とは気が合わないし、それ以上にこの人は不死身である俺の特性を知らなかったせいで無駄に負傷を肩代わりしたっていう事実があるから余計こう、直に顔を見づらいというか。
チラッと相手の片腕を見ようとしたらジュエルはその腕を背中の方に隠した。なんだかなぁ、余計に気が重くなる。
「……あ、の。そういえば、その腕のこと、まだちゃんと謝ってなかったですね」
「私がいつお前に謝罪を要求した?」
「……」
「言っただろ、これは私が勝手にしたこと。セーレが気にするような事ではないと」
「……」
「今日は用事があって来たんだ。またあの時のように泣きわめいてくれるなよ。……本当に、気にしなくていいから」
む? なんか今、若干口調が柔らかくなったな?
そういえば顔面に聖水ぶっかけた時も普段の堅物みたいな口調とは異なった女口調で喋っていた気がする。そっちが素なのかな? 変にカッコつけた喋り方してるのは俺が後輩だからなのだろうか。
口調で権威を示すタイプ? だとしたら若干滑ってるからやめた方がいいと忠告したいな、声質が高めなのに言葉遣いカチコチにしてもギャップすぎてギャグにしかならないし。
「用事ってなんですか。私、掃除で忙しいんですけど」
「窓拭きを終えたら外に出てジャンキーなものを食べに行くのだろう? 許可も取らずに。罰則期間中だというのに反省の色が全く見られないな」
「げげっ。しっかり独り言聞かれてたパターンかよ……チクるんすか? マザー・リエルに」
「奴はお前に甘々だからな、この事を話しても待遇は特に変わらないだろう」
「甘々ァ? あの鬼ババが私に対して甘々とかどんなおとぎ話だっつー話すぎる。傍から見るとまるで愛されてるように写ってるんすねぇ、ひゃー女の演技力って怖えや!!」
「見た目の割にしっかりしていると思っていたのだがやはりお前は年相応に未熟だな。リエルの優しさが伝わっていないのか」
「なぬっ?」
リエルの優しさとな? なんじゃそのスパルタコーチの頭イカれた指導は愛ゆえにそうしているみたいな謎理論。愛とか関係なしにシゴかれてる側からしたら恐怖しか感じないってぇの。
あの人から優しさを感じたことなんて……あるにはあるけど、でもやっぱり優しさよりも怖さが勝つわ。絶対サイコパスだもんあの人、加虐嗜好の鬼サイコパス。間違いないです。
「まあそんな事はいい。セーレ、お前に新たな任務を与える」
「はい? なんすか急に。任務って?」
「ここの管理を任されて一月経っただろう? お前の罰則の期間は一ヶ月間、それを修了したのでそれを伝えに来たんだよ」
「知らなかったー、もう1ヶ月経ってたんすね。あっという間だったなぁ」
「罰則中だというのに好き勝手に外を出歩いてるからそう感じるのだろう。繁華街に出入りする修道女の噂、あれお前だろ。ミルティア教徒の品位を落とすなよ馬鹿者め」
「私だって証拠はないのに一方的な悪口やめれます? 泣いちゃいますよ? 当方10歳女児、泣かれたら厄介だと思いません?」
「年齢を盾にする女児がどこにいるんだよ。それよりさっさと支度を済ませろ」
「それなんすけど、なんで終了通知を伝えに来るのがシスター・ジュエルなんです? そこは普通、それこそマザー・リエル辺りが来るのが妥当だと思うんですけど」
「その事なんだがな。お前は今日付けで、私の班に配属される事となった」
ん?
「お前以外の班員にも三等審問官はいるが、歴で言えばお前が1番の新人だ。その分お前に振る仕事も多くなるが皆通る道だ」
「待ってくださいね。あれれ、なんか俺のポジション勝手に決められちゃってない? なんすかその話、ジュエルさんの班に配属になった? 誰の承認を経てそんな事になってるの???」
「承認? お前の配属先を決めるのに一体なんの承認が必要なのだ。私はお前の先輩であり、身分上ではリエルも私の下に位置している。何が疑問なのだ?」
「なるほどなるほどなーるほど。マザー・リエルより立場上ならまあ納得は出来る。とはいえ新たに疑問符がポップしちゃった。つまり、シスター・ジュエルが自分の意思で私を自分の班に加えたいと? そう判断したって認識で大丈夫です?」
「違うが?」
「違うのかよ」
「誰がお前のような向こう見ず無鉄砲幼女を欲しがると思うんだ。班員に加えて無駄死にされても迷惑だろう、班長である私の評価が下がるわ」
「すごいすごい、本人を前にしてあんまり言わない方がいい言葉がポンポン出てくる。嫌な奴でもサシで話したら大抵当たり障りない事しか言わなくなるのにこんなのおかしいよ」
「自分の猪突猛進ぶりを考えてみろ、私はなにか間違った事言ったか?」
「ええ間違ってますね。私の戦闘スタイルは理性と知性に満ちたインテリスタイルなので。向こう見ずとか対極にも程がある。自認はデータ系メガネキャラですからね私」
「言ってて悲しくならないのか? 理性と知性って、戦い方を抜きにしても知性の欠片もないだろお前」
「殴りますよ?」
「そら見た事か。言葉遣いも荒いしすぐに手を出そうとする、どこに知性を感じる要素がある?」
「ぐぬぬ」
確かに俺は頭も良くないし短気だし単純だが、自分からそう己を卑下するのと他人から指摘されるのでは感じ方が違うんだよな。ムカつきます率直に。でもなぁ〜、言い返そうにも言い返せる材料が無さすぎて何も言えないや。
俺が今ここに生きてるのだって不死身とかいう便利チートを持ってるからで、不死身の活かし方も死なないことを利用した単なる死に覚えパワープレイしかしてこなかったもんなぁ。
数多あるファンタジー作品の不死身系キャラ達と比較しても絶対俺が1番単純馬鹿なキャラしてるんだろうなって思うよ。いや、パッと頭に浮かんだ中で出てきたNARUTOの敵キャラには知恵比べで勝てそうだわ。なんか体が白黒になるやつ。あの暁の人とならギリ、オセロとかなら勝てそう。
長い長い幽閉生活の終わり、突然告げられた知らせに全くもって納得は出来なかったわけなのだが今の俺は極めて地位の低いやらかし人間であるわけで。業務上の役職云々ではなく、会社内でクビをギリ回避できる程度の大やらかしをしでかした一社員みたいなポジションなので文句を言える訳もなく、仕方なしに交流があった数名の修道女に軽く挨拶をして移動を始め数時間。
聖地ラフィールからそれなりに離れたシドンという街……というか村? に着いた。
シドンの教会に着くと早速口早に指示を出されて俺の私物なんてほぼほぼ入っていない荷を降ろす。
本当は一週間ほど前に既に俺の罰則期間は終わっていたのだが、教会の地下はオバケが出そう的なオカルトが蔓延ってたせいで誰もそれを伝えに来てくれず、ジュエルが仕事に赴くタイミングについでで俺を回収しにやってきたとの事らしい。報連相終わってるどころの話じゃないね? 俺じゃなかったら立ち直れないよそんな放置のされ方。
「宿舎に着いたらまずは自分の部屋にて待機する事。正午を回ったら昼食がてら班員との顔合わせだ」
「宿舎て。教会に部屋があるんじゃないんすかこういうのって。そこらの宿に止まるシスターとか聞いた事ねぇ〜」
「私達はこの街に駐在するわけではないからな。任務の為に一時的に待機するに過ぎないのだから、この街担当の者に迷惑をかける訳にはいかん」
「意外と常識的な意見だなぁ〜。私に対する横暴さが嘘みたいだ、人によって態度変えるタイプです?」
「残念。部下の宿泊代は私が全額払うつもりだったが、セーレは私からの厚意を受け取らないと。嫌われたものだ」
「シスター・ジュエルまじ大好き尊敬してますこの世で一番尊敬してる人物まじで」
「まあこの街の物価はさほど高くもないし、数日泊まる程度であればお前の稼ぎでも財布は痛まないだろう。一人分の資金が浮いてこちらとしても都合が良い、お前の立派な心意気には感謝しておくよ」
「ねえ待ってごめんなさい。土下座でもすればいいですか? お仕事なんて一切してなくて溜め込んでた貯金もご飯代で底尽きてるんですって。とっくに財布は大打撃を食らってるんですって。まずいでしょ、こんなたっかい服に袖通してるのに浮浪者なんてやってたら」
「自業自得じゃないか」
「泣きますよ?」
「泣けば?」
「うわああああんっ!!!」
「本当に泣きわめく奴がいるかっ!? ちょっ、周りの人が見てるからっ! 泣き止みなさい! 冗談だから!」
軽い言い争いを嘘泣きで収束させ、俺の維持と尊厳を守り抜きつつ憎たらしきジュエルの金を着服する事に成功。その後は言われた通り自分の部屋を借りてベッドにダイブ。
いやー、地下室の廊下はかったいし空間自体もひんやりしててホコリ臭いしでそれなりにストレス溜まってたんだよな〜!!
やっぱ現代人視点から見たら大昔も良い所だろって世界観とは言え、陽の光が当たる清掃された部屋ってのはストレス皆無でくつろげて最高だぜ。ベッドもふかふかで気持ちいいし。うーん、気持ちいい。このまま目を閉じたらきっと熟睡しちゃって昼の集合には間に合わないんだろうなー。何気にもう丸一日起きっぱなしだしな〜……。
「お! ま! え! は!!! 初任務、初仕事の最初の会議で大寝坊カマして遅刻する者が何処にいる!!!?!? やっぱりこんな子供が異端審問官など務まるわけがないんだ!! リエルは間違ってる! 上層部も間違ってる!!! 全員間違ってる!!!!」
予想はしてたけども。いやはや、ポカポカ暖かい部屋で目を閉じたら当然一時間後の集合に間に合うわけなんてなかったね。うん、熟睡だった。人の怒鳴り声で飛び起きたのなんて人生初めてだったよ。前世を合わせても。
「お前は異端審問官としての自覚はないのか!? 責任感とかそういうのは感じないのか!? 子供だからって無責任なのが許されるとでも思ってるのか!? 思っているんだろうなぁ気持ち良さそうに毛布を抱きしめてヨダレ垂らして眠っていたものな!?」
「人の寝てる所見ないでくださいよぉ。いびきとかかいてました?」
「いびきはかいてなかったが! というかなんだその態度は反省してるのか!? 一発殴ってやった方がいいのだろうか!?」
「すぐ暴力に訴える。今どき、暴力系ヒロインは流行りませんよ〜ジュエッちゃん」
「以前にも増して全体的に舐めてるな〜!!」
「いちちちぢぢっひょっぺちぎえぅ〜!?!?」
てっきりゲンコツでも食らうのかと覚悟していたが、ジュエルは俺に拳を落とす代わりに頬を強く、かなり強く引っ張ってきた。ちぎれそうなくらいに。
「まあまあその辺にしたら? その子、朝からずっと寝ずにここまで来たんでしょ? 馬車での移動って眠気を誘うものなのに一睡もしてこなかったんだから、少しくらい寝坊したってさ」
「そうやって甘やかしたらすぐ調子に乗るんだこういうガキは!」
「ガキって」
肌の黒い女の人がなんとかジュエルの怒りを収めようと困ったような笑顔でまあまあとジェスチャーを取る。
ふむ、何気に初めてこの世界でちゃんと前世界でも居そうな黒人風の人を見たな。って事は、探せばアジア人風の人も居るのだろうか? 賊一味に居たスーツ女はこの世界原産の人間じゃないっぽいから例外として、見てみたいわ。日本とか中国とか韓国っぽい異世界人。
「あ。えーと…………珍しい? アタシの、肌色」
「んぇ?」
何も考えずにジーッと黒人さん(この呼び方って失礼だったりするのかな)を見ていたら彼女は俺に声を掛けてきた。
「あまり見ないもんね。ここら辺じゃ」
「見た事ないってことも無いっすけど、まあ珍しくはありますよね。確かに」
「……」
「そんなん言ったら私の歯ぁの方が万倍珍しいと思いますけどね」
そう言って大口を開けて自分の歯を見せてみると、この場に居た全員が目を丸くして各々違うリアクションを見せた。
「どっすか、この歯。子供食べる前のペニーワイズみたいでしょ」
「ペニーワイズ、というのが何なのかは分からないけど……」
「じゃあアレだ。人相的に私ってホオジロザメに似てるでしょ? 歯茎むき出しにして笑ったらきっとそっくりだと思うんですけども」
「ホオジロザメ……?」
伝わらないか。そうだよな、異世界語でホオジロザメってなんて言うのか分からないからそのまま日本語発音したけど伝わるわけないよな。
「まあアレっすわ。早い話、アニメならこのギザ歯もきっと萌え要素として受け入れられるけど現実だと不気味さしかないってわけで、そんな奇妙奇天烈凶悪パーツを持って生まれた私に比べたら黒い肌とかそこまで珍しがるものでもないでしょー的な」
「ぶ、不気味とは思わないけど」
「本当に心の底から言ってます? 私の同室の人、深夜に私と顔を合わせたら飛び上がって怖がりましたよ。それが普通の反応だと思いますけど」
「そ、そっか……」
む……? なーんか微妙な空気。今の会話のどこにシリアスめな湿度を出す要素があった? 俺が鈍感なだけで、何かまずい話題だったのだろうか。
「私が見てたのはただ単におっぱいおっきくて形もエロくて、なのに大胆見せスタイルだったもんだからうひょーって下心ありきでガン見してただけなんですけど……」
「えっ??? ……えぇ?」
このままだと厳かな雰囲気で会議とやらで始まりそうだったので、とりあえず俺が黒人さんを凝視していた理由を話してみる。案の定困惑の表情を浮かべられたが、黒人さんは少し考える素振りをした後にクスッと笑った。
「変な子。同じ女同士なのにそんな感想を抱くの? 君ってそういう趣味?」
「はいってとりあえず答えときますけど、それで引かれる場合は否定させて頂きますね。さあどっちだ、引くのか引かないのか」
「正直引いてはいるかな」
「私は至って健全ノーマル性癖者です。……いや、男とそういう行為をするより全然女としたいな。どうしよう、心と建前が裏腹すぎる」
「あははっ。こりゃまた逸材を連れてきたねーシスター・ジュエル? 変な子を拾う悪癖はまだ健在か」
「言うなワルワラ。自分でもコイツを班員として迎え入れる判断を下したのは失敗だったと悔いていた所なんだ」
「第三者目線で見たら確かに今の私はかなり激キショい事言ってるなって分かりますけども。そういうセリフは本人のいない所で言いましょう? 泣いちゃうぞ私、またしても。幼女の涙腺は自由自在だからな」
なんとなく空気が弛緩したのを感じたのでおどけたセリフを吐いたらジュエルに髪をぐしゃぐしゃされた。これはどういう意図のスキンシップ? ゲンコツとかじゃないんだね、分からん分からん。気の良いおじさんがキッズにやるやつじゃんこれ。
そんなこんなで部屋に集まった5人、各々が卓を囲うように座り場が仕切り直される。
班員ねぇ〜、こんな何も分からない流れで顔を合わせて良いものなのかね、そういうの。なんか先が思いやられるが、特に気にせず流れに身を任せてみるか。どうせ俺は下っ端の雑用、気にする事なんて何一つ無いんだろうしな。




