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転生悪役令嬢は闇の秘密結社を作る  作者: Crosis


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教えて頂きたいものである。





「最近王国がキナ臭い動きをしておりますがいかが致しましょう?」


白に統一されており、見事な彫刻や建築技術により美を作り出された部屋、その中心に横片側に八脚の白い椅子を備え付けられている長机に白いシーツがかけられている。


その机には今現在一七名が着席しておりその中の一人、部屋の奥机の上座に当たる一脚だけある他の椅子よりも明らかに豪華な作りの椅子へ白と金で装飾された衣服を着飾った青年が足を机に投げ出し座っている。


しかしその青年の態度を咎める者などこの中には誰もいない。


むしろ敢えて咎めていないと言っても良いだろう。


傲慢さを増長すればする程小さな違和感を気付く事もなく簡単に操りやすい傀儡として扱う事が出来るという者である。


最悪その違和感、傀儡でしか無いという事に気付き権力を利用し噛み付いて我々を処刑などしようものならばこの青年の持つ肩書き、聖教皇という肩書きを剥奪し弟君を即位させれば良いだけの話である。


将来的には年端もいかぬ時から洗脳し信頼仕切って疑うという事すら考えもしないであろう弟を即位させる事は決まっている為遅いか早いかの違いでしか無いので今この何も知らず踏ん反り返っている青年に現実を突きつけたとしても何も問題ない。


「放っておけ。最悪王国が我々聖教国を攻めて来たところで神の使徒である我らがいる限り負ける訳がないしどんな事が起きようと我が聖教国が滅びるなどと言う事など絶対にない。」


まるで我々が勝つ事が当たり前であり負ける事など無いと微塵も疑いすらしないこの青年を、つくづく馬鹿であると思ってしまう。


本当にこの馬鹿の言う通りどんな事が起きようとも神の加護の元絶対に滅びる事が無いと言うのであれば軍事にここまで税金を使う必要は無いし、極端な話をすれば教皇も我々も国を作る国民も要らないのである。


だが現実は国という身体を作る血肉となる土地と民が無くては国家として成り立たず、国という肉体を動かす脳である我々や皇族がいなければ国を運営して行き継続して行く事が出来ず、我が身を守る剣と盾である軍が無ければ他国に簡単に蹂躙されてしまうのである。


その事をこの馬鹿はまるで分かっていない。


だから馬鹿だと陰で見下され、だから前教皇を毒殺した後教皇として弟が育つまでの傀儡としておいていたのである。


そもそもこの歴史だけが無駄に長いせいで遂には国を名乗る程の権力を持った世界的にも信者が多い宗教、キーリ教なのだがその実態は何も知らない市民を騙して金をむしり取る詐欺集団であるとここにいる馬鹿以外には周知の事実である。


神の奇跡があると言うのならば私を不老不死にした上で全知全能にして欲しい位である。


それどころか難病や飢餓に苦しむ人々にすら神の奇跡とやらは起こらず、一体いつになれば救いの手を差し伸べてくれるというのか。


宗教として我々が行う事と言えば神の教えと称した誰でも分かるような常識を、その事に疑問視を持たれない様に思いつく限り記載され「神は偉大である、だから教えを守ればいずれ何とかしてくださる、だから寄付しよう」と思わせる経典と、年数回行われる祭りという名の大規模な寄付集め会である。


もともとこのシステムはトップだけが、今で言う教皇だけが儲ける仕組みであったのだが長い年月と共に教皇の周りも高い権力と財力を手にできるようになり、ついに先代教皇の代でその立場が逆転したのである。


しかし、この事実に私は妻と子供たちが領主の息子に殺されなければ気づきようが無く、未だしがない離れの村の牧師を愛する妻、そして子供たちとともに細々と、しかし幸せに満たされながらやっていただろう。


一体妻と子供たちがどれ程の悪事を行ったというのか。


もし神がいるとするのならば何故罪も何も無い、貧乏でも良い行いをしようと慎ましくも献身的に生きてきた妻や子供達が死んで、領主の息子のクズが今ものうのうと生きているのか私が納得できるよう教えて頂きたいものである。


私の妻と子供たちは金貨三枚の価値でしかないのか、たった金貨三枚で領主の息子の行いはもみ消されてた上に何事も無かったの如く暮らせていけるのかと。


私が納得出来る様に今すぐにでも教えて頂きたい。


そして私はこの時やっと真実に気付く事が出来た。


神などいないと。


そこから私はこのキーリ教の事を今までとは違って疑いの目でもって調べ上げた。


その事によって分かった事は、やはり神などいないという事である、と。


それと同時に私はキーリ教へ復讐する事を誓ったのである。


その復讐もようやっと最終段階まで来たのだが焦りは禁物であるとぐっと堪えて時期を待つ。


もうすぐ妻と子供たちの無念を晴らす事が出来るのだ。


だからこそより一層慎重に。


「そうですか、そうですね。我々には神の加護が御座います。教皇様の仰る通りであるかと。それと教皇様、本日はもう一点、話す事がございまして、まず初めにこちらを見て頂きますようお願い致します」


そう言うと教皇から数えて四番目に座っている60代後半であろう男性が席を立ち教皇の所まで行くと何かを教皇に見せる。

誤字脱字報告ありがとうございます。^^ありがとうございます。

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