陰から支える秘密部隊、
すみません、文字数間違えて投稿してしまいましたので再度投稿し直します。
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何故ここにフランが来ないのだ。
ここ最近のアイツはあからさまに俺を避けている気がする。
いや、気がするではなく実際に避けている。
そう確信したのはフランがサロンへ頑なに、頑として行かない事が続いた頃である。
中等学部までのフランは凛としていて近寄り難い雰囲気を醸し出していたのだが何故か俺だけにはたまに素の表情を見せてくれ、気が付けばそれが堪らなく愛おしく感じる様になっていた。
そう、俺はフランの事を好きになっていたのである。
そしてその頃のフランは毎日欠かさず放課後はサロンへ来ており、そして俺もフラン目当てでサロンへ行くようになった。
幸せだった。
そして高等学部になるとフランに婚約を申し込み、卒業と同時に結婚して幸せな家庭を作るものであると勝手ながら想像していたし、実際そうなると思っていた。
しかし、高等学部へ上がるとフランは何故か俺と二人になろうとしないのである。
それだけならまだしもまるで俺を避けるかの様に行動する為一度問い詰めて見ればレオの筋肉バカが原因と知り色々あったがその誤解も解けたにも関わらず、フランは一向にサロンへ来ようとせず、あいも変わらずこの俺を露骨に避けているのである。
ここまで来ればいくらバカでも自分が避けられていると気づくものである。
はっきり言って辛かった。
それ以上に愛する者の笑顔が日に日に無くなり、どこか陰がある様になって行く様を見ている事しか出来ない自分に腹が立った。
そんな時俺はやや強引に、使いたくはなかったが俺の第二王子という権力をチラつかせて遠足の班をフランと一緒にした。
久しぶりにフランの素の表情が見れた。
それはあの日の様に俺へ向けたものではなく奴隷娘に向けたものであり、俺はそれを盗み見る事しか出来なかったのだが、それでも飛び跳ねたい程嬉しかったしその表情を見て更に好きになった。
しかし、その嬉しさも遠足の帰りに見たフランの涙と決意に満ちた表情で霧散した。
むしろ今現在苦しんでいるフランに気付いてあげる事も出来ず呑気に、フランの素の表情を見れて嬉しいなどと思っている俺が余りにも無力で、無様で、嫌悪感すら覚えたものである。
何が第二王子である。
そんなもの、愛する者の一人救えないのならば俺から言わせて貰えば何の意味を持たない只の飾りである。
だから存分にこの立場を使わせて貰う事にした。
まずフランを陰で支える秘密部隊を設立し、レオとシャルロッテを加えて情報交換をお互いにした後、それを元に帝国中に張り巡らせている草達に第二王子の名を使い偵察を命令した。
そんな時にフランがお見合いをしたという情報が入って来た。
帝国お抱えの草ですら当日までその情報を入れる事が出来なかった事からドミナリア家の本気が伝わって来る。
誰だ、誰だ、誰だ、誰だ、誰だ、誰だ。
帝国の貴族にその様な人物がいればすぐ様フランのお見合い相手が誰か分かる筈であるにも関わらず一向にお見合い相手の情報が入って来ない為日に日に焦りが大きくなっていく。
そんなある日、臨時講師で一日講師をする事となったアレックスという者がとんでもない事を発言した。
フランのお見合い相手がこの瞬間確定した。
何が王国騎士団団長であるか。
成人しているとは言え一回り程の歳下の娘を捕まえて婚約者候補など只のロリコンではないかっ!!
居ても立っても居られずアレックスという者へ抗議したのだが見事に返す刀で切り替えされ、感情のままで咄嗟に俺もフランと婚約すると言ってしまった。
フランにこの俺の気持ちが伝わってしまったのではないか?
王族として感情に流されて発言してしまった事実よりもフランに自分の気持ちを気付かれてしまったという事の方が今の俺にとっては重要となってしまうあたり恋は盲目であるとは良く言ったものである。
しかしフランは俺の発言を売り言葉に買い言葉で出た言葉としか認識しておらずホッとする反面、少しでも俺の事を気にかけていたのならば、もう少し俺の事を意識するであろ状況にも関わらずこの結果に虚しくもあった。
しかし、今現在俺は正式にフランへ婚約の申し込みの手続きをしている。
フランを他国の者になどへ渡しはしないし、他国へ逃がしはしない。
しかしフランのお見合い相手が王国の者であると分かった数日後、王国国王が何者かに襲われていたという事件が王国へ派遣している草達により伝わって来る。
その情報をレオ、シャルロッテと纏めて行くと間違いなくフランないしフランが陰で動かしている組織の仕業であると分かった。
決め手はやはり金色の立派なドリルという国王による証言である。
そしてその日以降国王はまるで人が変わったかの様に良き国王として王国を導き始めたのである。
そう、それはまるで元奴隷商人であるジュレミアの様に。
そしてそのジュレミアを調べてみればフランの動かしている組織が関係していることが分かった。
一体、フランは何を目指しているのか?そして奇襲とは言え国王へ襲いに行き見事に逃げて来る程の組織を創り出し一体どれ程の強大な敵を想定しているというのか。




