世話の焼ける奴、
何故俺を頼らない?
何故俺ではダメなのか?
俺では、第二王子という肩書きだけでは足りないのか?
若しくは第二王子だからこそ迷惑をかけまいと声をかけないのか?
分からない、分からない、分からない。
分からないのだが、俺を頼るつもりが無い事だけは分かった。
そして、先程竜の翼という有名な冒険者パーティーをまるで赤子を捻るかの如く、しかもたったの四人で倒したパーティーはレオとシャルロッテ曰くその服装からして間違いなくフランの関係者であるという。
そして彼女達もジュレミアとの関わりがある者達である事は銃という武器の宣伝からしても間違いないであろう。
そして、そんな彼女達を見て俺は思う。
財力、戦力共に俺の第二王子という権利は必要ない上に、むしろ帝国が絡んでしまったという事実は間違いなく足枷にしかならないであろう。
なんとなく、フランが俺を避けている理由が分かった気がした。
「ノア様っ!!どこに行こうとしているのですかっ!?」
そして俺が学園生徒専用観戦スペースから席を立ちフランの元へ行こうとした時側仕え兼執事兼幼い事から俺の近くにいた兄的存在のボーゼフがこんな時だけ目ざとく聞いてくる。
「俺もフランと一緒に向こう側で応援したいんだっ!一緒に応援させてくれと言っているのだっ!!」
全く、そのくらいいちいち聞かずとも一目見ればわかるだろうに。
だから俺の身体を後ろから羽交い締めするのは即刻辞めて頂きたいものである。
「何の為にこの学園生徒専用スペースがあると思っているのですかっ!?他の方ならまだしも王族であるノア様がこのスペース以外で観戦される事は許可できませんっ!!縛ってでも行かせませんからねっ!!」
「えぇいっ!!こんな時だけ無駄に真面目に仕事をしやがってっ!!普段のやる気のなさはどうしたっ!?離せっ!離せぇっ!!」
「とんだ言いがかりですねっ!?少しタバコ休憩が長いだけではないですかっ!それ以外は至って真面目ですっ!むしろ今ノア様が一般席で観戦されると私の仕事が明日から無くなってしまいますっ!」
「そのタバコ休憩一回の平均時間が小一時間以上だから言ってんだよっ!お前自身の為にも一回路上生活者になってみるのもいいのでは無いかっ!?」
そうすれば仕事がある幸せを噛みしめる事が出来るであろう。
コイツに真面目さを取り戻すにあたって必要なのはひもじさなのかも知れない。
「私の愛する妻と娘はどうなるのですかっ!?守るべき家族の為にも路上生活者になる訳にはいかないのですっ!!」
「あぁそうですかっ!もう分かったっ!!もういいよっ!!だったら逆に俺が王族を辞めるっ!はいもう今から王族辞めるっ!今から市民だから俺は向こうで観戦しに行くわっ!!」
「そんな屁理屈が通用するわけがないでしょうがっ!このバカ王子っ!!思春期に恋をした高慢な貴族の長男じゃ無いんですから落ち着いて下さいっ!!」
「………だ、だだ、誰が初恋だよっ………この俺がフランが好き過ぎて気になって仕方ないから今すぐ会いに行きたい、声を聞きたい、指先だけでも良いからその身体に触れたいなどと、なまじお見合いをしたり裏で一人大きな何かを抱えていて、それを俺が手伝う事で少しでも軽く出来ないかなどと思っていないからな?ま、まぁ今回に関してはお、大人しくここで観戦するとしよう」
「………ノア様、その言い訳は苦しいかと」
「い、いいいいいい、言い訳ちゃうわっ!!」
まったく、こんな時だけ勘がいいのだから油断も隙もない奴め。
ま、まぁ今回は俺が大人になる事で我慢してやるとしようではないか。
決して俺の好きな人がフランだとバレそうになったからとか、そういうあれじゃないからな。
コイツが子供だから俺が大人にならざるを得ないだけだからな。
世話の焼ける奴だぜ。
◆
「カミーラ、今まで辛かっただろう?でもこれも全てカミーラを思ってこそ俺たち家族は心を鬼にしてあえて突き離したんだ。カミーラなら出来ると信じていたからな。今のカミーラならばお父様もお母様も喜んで迎えてくれるだろうし、実際戻って来るように言っておられる」
「今のカミーラですって?………ふざけるのもいい加減にして欲しいですわね。結局あなた方が見ているのはわたくしではなくて今のわたくしの戦闘力、未知の魔術、新たな武器なのでしょう?それで良くもまぁそんな事を言えますわね。わたくしを奴隷商人に売った時は家の面汚しを廃棄出来てさぞかしスッキリしたのではなくて?」
現在決勝戦。
わたくし達黒の花達は難なくここまでたどり着く事ができた。
このレベルであればブラックローズのメンバー誰が出ても簡単に優勝出来たのではないかと思ってしまえる程のレベルの低さと言えよう。
そんな決勝戦の相手はわたくしの兄弟、兄ニ人に姉一人に妹一人、そしてお抱えの冒険者三名で構成されたメンバーである。
そしてこの決勝戦であるがフランお嬢様より「銃の宣伝は十分に出来たと思います。最後は好きなように戦って結構ですわ。ここまでわたくしの我儘に付き合ってくれて感謝致しますわ」と、好きに戦って良いという承諾を頂いている。




