40、仲間と(7)
聖女の地球でのこととシュンのかかわりは?
聖女様から地球での襲撃のことを聞いた。
空間を割いて現れた濃い紫の塊。
不気味としか言えない。
いや、不気味だった。
近くにいた仲間たちはその塊を見えなかった。
いや、何かがいたと感じたが見えなかった。
カオルさんには言えないがこの事件、シュンは近くにいた。
近くといっても2km先の展望台だったけど。
山が崩壊した直後、無意識に自分が何かをしたのを感じた。
濃い紫の塊に包まれようと人間に手を差し伸べた。
その人間はその手を手繰ってその中から脱出した。
そして引き寄せた。
そこに助けが来た。
助けた人間を助けにきた誰かに託した。
託さないといけないと感じた。
託した相手はおそらく地球神。
あの時、助けたのが聖女カオル様だったのか。
でも差し伸べた手を手繰れたということは彼女は空間を操れるのか?
鑑定には出なかったけど。
私の無意識に発動した能力に共鳴したのか。
いずれ話さなくてはいけないことだ。
あの後、シュンたちは救助活動のボランティアに参加している。
行方不明のカオルを懸命に探す家族や友人を見ている。
あの誰かに託してよかったのか疑問に持った。
しかし、カオルを守れる存在でもあった。
何故ならば濃い紫の塊を消滅させたのがその誰かだったのだから。
次はカオルが助かるとは限らない。
このことを話してよいのかは相談だな。
何故私に地球神の加護があって聖女カオルにないのかも気になる。
ケイ=ポチ王女との会談は賢者の執務室で行われる。
10分前には王女も執務室前にやって来た。
護衛には遠慮してもらった。
まあ、護衛より王女の方が強いのだが。。。
彼女は席に着くなり言った。
「私は日本からの転生者です」
王女のいきなりのカミングアウト。




