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第17話 レオンとポール

 レオンが負けを認めて、泣いてるの見て。俺の心の中は安堵しかなかった。レオンが振るった拳をガードした腕はかなり腫れていた。

 (子供のくせに力が強すぎる、正面からやりあったら負けてたな。俺も半年しか親父から武術習ってないから喧嘩の慣れたヤンキーと変わらない程度の強さだ。

 パンを渡せばいいのに体が勝手に攻撃態勢に移ってしまった。どうやら体は孤児の習慣が染み込んでいるらしい。確かに元の体ならこの世界の水で腹を下していた。

 それにしても魔法を体感してみると本当に怖いものだ。この世界では魔法を使える人と使えない人の戦闘力の差は激しいのだろう。俺も魔石結晶を手に入れないとイラーリたちを守らないと)

 レオンに地面に落ちたパンを渡し、帰ろうとするとレオンは立ち上がりパンを食べながら着いてきた。どうやら一緒に行きたいらしい。俺と同じように寂しかったのかもしれないな。そう考えると少し親近感を感じる。


 

 家に帰ると3人は普通の家に驚いていた、ほかの孤児たちはボロボロの家に住んでいるのに対してこの家はドワーフたちに直して貰ったおかげでかなりましだ。

 勧誘した2人の子供は男の子がリックで女の子がリーナと同じ6歳ほどの子供だ、孤児院を追い出されてばかりで何もできない状態だったらしい。

 (俺が勧誘しなかったら冬を越せなかったのかもしれないな)



 レオンは負けたことがショックだったのかすっかりと借りてきた猫のようにおとなしくなってしまった。

 「レオンはどうやって魔法を覚えたの?」

 レオンは質問をされるとビクッと体を震わせた、こっち見ないで小さな声で話し始めた。

 「両親が冒険者だったから運よく魔石結晶を手に入れて俺に使ってくれたんだよ。両親が死んでから王都から兵士が来て俺を捕まえようとするから逃げ回ってた」

 (親が冒険者だったのか。この世界の孤児って冒険者の子供が多いのかもしれないな。国も孤児院から魔法を使える子供を兵士に育てるために集めてるのか? レオンもいい子かもしれないな。一匹狼だったのはグループに入ったら迷惑を掛けると思ったのか)

 「レオンも大変だったな」

 レオンは嬉しいのか耳をぴくぴくと動かしてる。

 


 昼を過ぎてもイラーリたちとクリスは家で待っても帰って来なかった為何かあったのかと心配してるとウィズが一番に帰ってきたが勧誘は失敗らしく一人で帰ってきた。

 ウィズは俺の腕が腫れているのを見て話も聞かずにクリスを探しに行った様だ。

 (ウィズはクールに見えるけど心配性だな)

 ウィズはクリスを連れて帰ってくると色々と問い詰められた。レオンの仕業だと知るとウィズはレオンをずっと睨みつけていた。レオンは喧嘩したときの勢いはなく、ただ押されていた。

 「ウィズ喧嘩はするなよ。この程度大した怪我じゃないから」

 釘を差すとウィズは不服そうに頷く。レオンも大した怪我じゃないと聞いてほっとしていた。

 (喧嘩してもウィズは勝てないよ。レオンの方が痛いんじゃないか?)



 クリスはウィズと違ってかなり落ち着いていた。クリスは腕に手を当てると何か暖かい物が腕を包んでいくのを感じた。痛みもすぐに引いていき、腫れも治ってしまったようだ。

 治癒魔法を目のあたりにすると身体魔法と違って目に見えてる分凄さを感じやすい。身体魔法元の世界の人間にも居そうだが治癒魔法は絶対にいないと断言できるからだ。

 「この子にやられての?」

 クリスはレオンを見て聞いてきた。

 「ああ、身体魔法が使えるって言ってたレオンって奴だ」

 ウィズとクリスは身体魔法が使える子を連れてきたと聞いてかなり驚いた。

 「え? レオンと喧嘩したの?」

 

 「パンを奪おうとしたからちょっと懲らしめただけだ。思った以上に強かったな」

 クリスは開いた口を手で塞ぎながら信じられないといった様子だ。ウィズもまさかレオンとは思っていなかったのかびっくりしてる。

 「兄さんって魔法使えるの?」 

 ウィズは驚きすぎてるクリスの代わりに質問してきた。

 「多分使えないよ。さっきのような魔法の感覚がない」

 (記憶の中のアルスも魔法を使った覚えはない。魔法が使えない人間が魔法使いに勝てるのはかなり稀のようだ。確かに隙を突かないと勝てなかった)

 「普通勝てないよ。やっぱり兄さんはすごい」

 ウィズにすごいすごいと褒められるとうれしいが、反面レオンが可哀想だ。

 「もうやめてやれ、レオンが落ち込む。レオンもこれから一緒に暮らしてく家族になるんだ。それとこっちはリックとリーナだ。二人とも孤児院を追い出されたばっかりだ、荷物運びとかできないだろうからこれからはクリスと一緒にご飯を作ってもらおう。詳しい話は全員が集まってからだな」

 




 しばらく経つとシークが12歳ほどの子供を連れて帰ってきた。

 「アニキ、一人連れてきました」

 連れてきた子供はパンを齧りながらこっちを見て話しかけてきた。

 「俺ポールって言うんだけど、お前がアルスか。仕事があるらしいな、俺も混ぜてくれよ。とりあえず飯食おうぜ」

 ポールはにやにやとした表情で話しかけてきた。どうやらなめられてるらしい。

 (まだ子供だからな、これから暮らすのに揉めると面倒だ)

 「よろしく頼むよ。それと仕事は俺の言うとおりに働いてもらうから。飯は少し待て、まだ全員帰ってない」

 ポールは俺の言うとおりにするのは面白くなさそうだが大人しく頷いた。

 シークはウィズが誰も連れてきていないことを知ってずっとウィズに自慢していたが、俺がレオンに勝ったという話を聞いてすぐに自慢しなくなりこっちを褒め始めた。

 

  

 しばらくするとイラーリは誰も連れずに帰ってきたが話はちゃんと通したらしい。準備終えたらこっちに来る4人グループを引っ越すらしい。

 夕飯に野菜スープとソーセージなど出ると新加入の4人は嬉しそうにがっつく。ポールとレオンに仕事や決め事について話しながらご飯を食べた。

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