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畑でおやつ。ピクニックみたいで最高だわ

***



ブロロロロ~と、バイクで出発した二人の背中が小さくなる。

切られた髪が風に乗り一本飛んできて、フェンはそれをパシッとつかんだ。


手のひらにのせて眺めると、金の髪は細く柔らかく、透けるほどの美しさを纏っていた。

謝罪で切ったのか?罪滅ぼし?いや、それにしては、なんだか楽しそうにしていたぞ。

あいつからは嫌味も同情も感じられない。

普通剣で切るか?

国宝だぞ。

世界に、ただ一人しかいないと言われる伝説の髪だぞ?いや、たとえ普通の髪だとしても、女があんな適当に切るなんて信じられない。


「意味わかんねぇ…」


思わず呟く。視線を感じはっと顔をあげると、周囲の男どもが俺をじーっと見ていた。


「あ?んだよ、見てんじゃねえよ」


「フェンさん、それ食べないんですか?」


「は?」


「いらないなら俺にください」

「おい抜け駆けすんなよ。俺だって食べたいっつーの!」

「名前なんて言ったっけ?」

「サンドイッチ!」

「そうそれ!フェンさんサンドイッチ分けてくださいよ!」

「いや、俺だ!」


揉みくちゃになって、我先にとムサイ男どもが迫ってくる。ぐわっと何本もの腕が籠に向かって伸びてきて、フェンは慌てて籠を抱えて飛び退いた。



「ばっ…さ、触んじゃねえ!」


「えーだって要らないんでしよ?」

「ゆづかの飯!新作!それが一つしかないとかフェンさん狡いっすよ!」

「食わせろ!」


(お前らは血に飢えたゾンビか何かか!)


目の色を変えて追いかけてくる男達と、籠の中のサンドイッチとやらを見比べ、俺は大口を開けるとそれを一気に詰め込んだ。


「うわーーー!食われたーー!!」

「ゆづかの飯は食わないって言ってたくせにー!!」


男達は頭を抱えて嘆き悲しんだ。


(バカヤロー、争いの火種になりそうなのを残しておけるか)


不本意ながらもモゴモゴと咀嚼する。パンパンに膨れた頬が落ち着いてきたころ、その旨味が口内に広がった。


「うまい…」


こんなに柔らかいパンは食べたことがなかった。なんの力も入れずとも、口の中でしゅわっととろけ、甘みと麦の味が感じられる。


挟まっていた具材は卵であった。細かく砕き、見たことのない白くまったりとしたソースで和えられている。ぷるんとした白身とホロリとした黄身。それらは口の中に纏わり付く感じがするが、一緒に入っているキュウリとレタスがみずみずしく、まったりさを和らげさっぱりと仕上げてくれていた。パンに良く合っている。


「なんだこれ…」


やばい。一つじゃ足りない。もっと食べたい。

そこまで考えてからブンブンと首を振った。


いや、腹が減っていたからだ。


(だから、こんなにも美味く感じるんだ……)


みんなが美味いと伝えたとき、嬉しそうにする彼女の顔を思い出し、とても複雑な気分になった。






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