畑でおやつ。ピクニックみたいで最高だわ
「なんだこれ?」
「カボチャに人参にタマネギ。あとジャガイモだよ」
「なんだよ野菜じゃねーかー」
「おやつじゃないのかよー」
籠を覗いたみんなはがっかりする。
「こらこら。食べてから文句をいってよ?絶対おいしいから」
「こんな薄く切った野菜を食って本当に美味いのかよ」
不満げに1枚カボチャをとり、パリッと噛んだ男の子はしばらく味わった後何度が瞬きをすると、ハムスターのようにパリパリパリと口に入れていき、すぐに次のタマネギを手に取った。
「なんだこれ、うまー」
一人が喜ぶと、次々と手がのびる。
カウルはジャガイモを手に取りパリンと音を立てた。
「これジャガイモなのか?こんなの初めて食べたぞ」
「んふふふふふ。そうです!ポテトチップスって言います!」
「なんだこれ。食べる手が止まらない!」
喜んでいるみんなを「そうでしょうそうでしょう」と見回した。
この大量の野菜をスライスするのに、わたしは右腕を筋肉痛になるほど働かせましたからね!
正直、この世界の野菜の品質はあまり良い物ではなかった。
辛みが強く、火を通しても食感が悪いタマネギ。
青くささが強く、芯がのこってしまっているにんじん。
甘みがなくて水っぽいカボチャ。
そのまま料理に使っても、中々美味しく変身してくれない。
だからわたしは、それらを全部揚げてしまうことにしたのだ。
使いにくい食材を消費できるし、余分な経費は掛からないし一石二鳥だ。
準備が必要だったのは大量の油。
元々菜種油を使っていたので、プーリーに菜花があるのかと聞いたら菜の花畑があると言うではないか。
すぐにそこへ案内してもらい、菜の花の種を収穫すると、昨日一昨日と油の抽出に勤しんだわけだ。
菜種油は種をフライパンで煎って、砕いてから絞るだけ。工程はさほど難しくないが、大量となると根気がいる作業であった。
「塩とカボチャの甘みが良い感じだ」
感心しているおじさんに、わたしは頷く。
「これクセになるんですよ~」
みんな汗をたくさんかいたから塩分がしみ渡るだろう。わたしはジャガイモを手に取りパリンと噛みくだく。サクッとした後に、じんわりと感じる油と塩み。そのあとにほのかな野菜素材の味。このジャンキーな感じ堪らない。
たまにはファーストフードとかお菓子食べたいよね。
ああ、自家製ポテチ最高~。
わたしは何も食べず、一人で隅でムスッとしているフェンに声をかけた。少しずつではあるが、日々わたしの作った食事に賛同してくれる人は増えていたが、フェンは、いまだに料理係の作ったものしか食べてくれない。
今朝のメイン料理はわたしが作ったため、フェン
はお腹いっぱい食べていなかったのわたしは見ていた。
「あの、フェン…」
「無駄に話しかけんなブス」
フンと顔を背けたフェンから、きゅるるるとお腹が鳴ったのを聞き逃さなかった。
わたしは喜々として、もう一つ用意していた籠を取り出した。
「あの、これどうぞ。フェンに食べて貰いたくて作ったの」
広げてみせたのは、サンドイッチだ。
朝はわたしが焼いたパンを残されてしまった。ちゃんと主食を食べてないから、お腹がすいているはずだ。
この世界では、保存が利くように堅めに焼いたパンを、スープやミルクに浸して食べるのが主流であった。どうしても柔らかいパンが食べたいとわがままを言い、今朝はわたしがコッペパンを焼かせてもらったのだ。
早朝から城中に広がるパンを焼く匂いは、寝起きの胃袋を刺激した。
出来栄えは大成功で、こんなふわふわなパンを食べたことはないと大好評だった。フェンには今度こそ食べて欲しくてリベンジとなる。
具材は卵。卵は1つしか使えなかったから、細かく刻んだキャベツとキュウリでかさ増しし、マヨネーズも手作りとなる。
マヨネーズにも卵を使ったらプーリーに怒られてしまったのだが、卵サンドイッチを試食させたら「ぐぅ」と唸り許してくれた。
「こんなに美味いと文句も言えん」といわれ、わたしは破顔した。
そんな経緯があり、わたしはずいっとフェンにサンドイッチを突き出した。




