*後書き*
聖安戦記・第二部「偽王の骸」はこれにて完結です。
前二作「荒国に蘭」「金色の螺旋」とは異なり、大人になった作者が今の好みを詰め込んでイチから作り上げた作品でしたが、いかがでしたでしょうか。
各話の解説は自サイトのブログに載せていますので、そちらをご覧いただくこととして。ここでは全体的な話を書いておきます。
◆書きたかったこと
当初より、この作品で書こうとしたのはただ一つ。麗蘭と魁斗が恋人同士になるまで……です。
この一点以外はわりとどうにでもなれと言いますか、二人が結ばれるためにはどういう筋書きにしていこうか、という具合にストーリーを考えていきました。
作者が子供の頃から、麗蘭と魁斗は惹かれ合い恋に落ちる設定だったのですが、そこまでの過程を書き切るということは、創作活動中の一つの大目標でした。
二十六話「重なる運命」でついにそうなるのですが、ここまで書いた時の感慨深さといったら、もうたまらないものでした。
想いが通じ合った後は、付き合いはじめのカップルということで幸せを満喫しまくっています。最終話に至っては、麗蘭も国を継ぐとか光龍としての使命とか忘れて、魁斗のことばかり考えている感じです。でも、そう長くは続きません。樹莉が別れ際に魁斗に残した言葉とか、蘭麗の気持ちの整理とか、何やら黒神の思惑が働いていそうだとか、不安要素をいくつか残しているのがこの先の伏線です。
今作は魁斗が麗蘭に求婚するまで。二人の関係がより深まっていき、どんな困難にぶち当たっていくかは、第三部以降で書いていきます。
……ところで、求婚までが早いですよね。魁斗は勘レベルで何か感じ取り、生き急いでいるのかもしれません(不穏)。
◆作者の趣味が爆発
上記の大テーマ「主人公カップル誕生」以外は、作者の趣味を詰め込んだためとても愉しく執筆していました。
樹莉が堕ちる経緯などは、本シリーズにしては結構ダークで、読者さまにドン引きされないかなあと相当心配していたのですが……趣味を取りました、ごめんなさい。
清らかで誇り高い美少女が、汚れに汚れてどん底まで堕ちる設定とか。複雑な親子関係(祖父だと思ってた人が父だった)とか、良いですよね。そういう感じです。
キャラが辛いとそれに引きずられて執筆も辛くなります。でも辛いのが愉しいというか。樹莉や荐夕がかわいそうだなあと思いつつも、読み返しては自分で愉しんでいたり。
◆この先のこと
今回第二部は、魁斗をメインにしたお話でした。次は第三部で瑠璃が主役級のお話です。
構想では黒神とのラストバトルが第四部なのですが、場合によっては三・四を統合するかもしれません。
第三部は瑠璃がどうなるか、以外はほとんど考えておらず、プロットほぼゼロスタートの状態です。ここに行く前に、麗蘭の前世の話とか、外伝をいくつか書いておきたいなあという気もします。
第一部「金色の螺旋」の後書きを書いたときと同様、新連載はいつになるかわかりません。最悪、ないかもしれません。でもここまで来たら最後まで書き切りたいという気概はありますので、多分いつかは投稿されるでしょう……
今回、連載自体は一年かからないくらいでしたが、相当長い間書き続けていました。途中に「荒国に蘭」のリメイクや別シリーズ作品を挟んだりしましたけれども、執筆自体は2015年の秋頃からしていた記憶が。
執筆疲れも感じてきましたので、しばらくは「金色の螺旋」の同人誌化に注力したいと思います。
新作については少し休憩を入れて、次に何を書くかじっくり考えたいと思います。
どの作品でお目にかかれるかはわかりませんが、今後ともお付き合いいただければ幸いです。
最後になりましたが、私の魂を詰め込んだ作品を最後までお読みいただき、ありがとうございました。




