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俺と彼女らの7日間  作者: 瀬尾優梨
後日 真実はジジイと共に
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そして二人は

 今日も、フォルセス連合王国内フォード公国の公爵館では、にぎやかな声が響いています。いろんな意味で、にぎやかです。

 脳天気な公爵殿、お気楽な公妃殿、そしてその被害を一身に受ける苦労人な公子殿。今までその三人家族が中心となって動いていたフォード公爵館。そこに、つい最近一人の女性が加わりました。

 彼女は公子殿と同じく苦労人体質でしたが、幸運にも公爵殿や公妃殿に気に入られたおかげで、公子殿のようにげっそりやつれることはありませんでした。豪華な食事に上質な衣服。ひとつくしゃみすれば使用人やら公妃やらが飛んでくる。そんな、至れり尽くせりの毎日にむしろ戸惑っていたそうな。


 ですが、公子殿も女性もとても幸せそうでした。まだまだ婚約者なんて程遠い、友だちに毛が生えた程度の関係の二人です。公子様が声を掛ければ女性は瞬時に真っ赤になるし、ものを受け渡す際にちょっと手が触れあっただけで、熱されたヤカンに触れたかのように二人とも手を引っ込めるし、洗濯物として干していた女性のキャミソールを見ただけで公子様は赤面してこそこそとその場から立ち去るし。どちらも、初々しい以前に純粋すぎるようです、いろんな意味で。これからきっと、少しずつ仲を深めていくのでしょう。いつか、二人が本当の「婚約者」になるまで。


 そうそう、フォード公爵館内はかくようにまったりとしていますが、時折、公爵館の回りを不審な女性たちが徘徊しているそうです。「サランは大丈夫でしょうか」「姉様、心配しすぎよー」「かなり立派な館ですね。さすが公爵家です」「あのシャイボーイ、一度喝を入れたげようかしら」などといった会話が聞こえてきたと、近隣の住人は語ります。

 見るからに怪しげな美女四人組。ですが、屋敷の窓から例の女性が顔を出したり、庭で日光浴している姿を見かけると四人とも、ほっとしたように息をついていました。そして、口々に公子を呪う言葉や祝福の言葉を吐きながら、こそこそと立ち去っていったそうです。


 フォードの公子と新米魔術師。二人の未来は前途多難なようです。




 おわり 

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