テイム
更新が遅くなり申し訳ございません。
我は、ここ『紅蓮の巣窟』最奥ボスそしてナーガ系最強種のエキドナ。
人間基準で言えば我ら○○系最強種は最上級ランクSS魔物と指定されており、討伐金も莫大であるらしい。
まあ、今はそんなことどうでもいいのだがな・・・
で、我はさっきまでこの部屋でボウケンシャという職業の人間と戦っていた。
なぜそんなことになっているのか、だと?それはな、我は特に人間に対して何もした覚えはなくただこの部屋で静かに眠っていただけなのだ。そこに目の前の人間が侵入してきたのだ。本来、魔物というのは自分のテリトリーに入って来たものは排除しようとするが、我はあまり無駄な殺生は好まぬ。故に大体は警告するだけで敵を追い返してきた。魔物としては甘い考えだがな・・・
さっきも「其方らは、何者だ?ここは我の住処なり。即刻、退場願おうかの」と警告はした。しかし、右頬に十字の傷がある男はそんなことを気にもせずに‟我を討伐しにきた"と言い出し負った。そのことに我はカチンときてしまい嫌いな戦闘になってしまった。‟人間風情が我を討伐できるわけがあるまい!"と。
それから暫くは戦闘をしていたのだが、人間側が勝てないと踏んだのか仲間に状態異常魔法をかけ囮にした上に撤退しおった。
普段なら人間の為すことなんかを気にしたりなんかしないのだが、なぜか目の前にいる少年から目を離すことはできなかった。決して年下が好きとかそういうのではないぞ!!
強いて言えば、この少年からは不思議な魔力を感じるぐらいじゃな。
「おい少年よ、平気か?」
だからかこの少年に声をかけた。しかし、この少年から返事は返ってこなかった。
どうしたのか気になり、反対側に回り確認してみると魔法をかけられたせいなのか体をピクピクさせながらぐっすり眠っておるではないか。
暫く彼の傍で見守っているとやっと目を覚ました。
とりあえず声をかけてみるかの?
「少年よ、平気か?」
「ひぃ!!・・・なんだエキドナか」
なんだとはなんだ!!この小僧め!!
我はこれでも最強種だぞ!!!
まったく、これだから若いのは・・・
ん?我が内心怒っているのも知らずに声をかけてきよったわ、こやつ
「なぁ、エキドナさんよ」
「なんじゃ?」
「俺、どれくらい寝てたんだ?それと俺、お前に喰われるのか?」
「だいたい数十分じゃ。それとそれがお主の望みなら喰らってやるぞ」
「・・・」
こやつ、随分サッパリしておるの。普通仲間に囮にされたら怒るじゃろうし、復讐したいと思うじゃろよ。ましてや、今さっきまで戦っていたボスと同じ部屋、同じ空間におるのじゃぞ?普通は恐怖もするもんじゃろ?普通は!!
なのにこやつの表情からは恐怖も憤りさも復讐心も感じられぬ。いや、内心復讐心に燃えているのかもしれぬが・・・だが、我はこやつのこと気に入ったぞ
「なぁエキドナさんよ、俺はあいつらに復讐して弱い自分から脱したい」
「うむ」
「だからさ、俺の力になってくれないか?エキドナもここから出てみたいんじゃないか?」
「・・・」
こやつ意外と鋭いの
そう、我はこの部屋にいるのが飽きて来たのだ。だから、早く出たいのは事実。
しかし、誰にもわからないように胸の奥底にうまくしまい込んでいたはずなんじゃがな・・・
「いいじゃろう。力を貸したるわ」
「どうすればいい?」
「なら我に触れ、テイムと言ってみ。そしたら従魔として呼び出せるようになるぞ」
「わかった」
小僧はそう言うと我の頭に手を当て「テイム」と叫んだ。そんなに大きな声ださなくてもいいんじゃが・・・
すると、我の体内に小僧の魔力が流れ込んできた。が、その量が問題じゃった。
普通、主となる者が魔物をテイムするときにはそのサイズにもよるが自身が保有する魔力の1/4を注ぎ込みそれと共に自身の記憶も強制的に相手に植え付けてする。それ以上流し込めば、魔物側の存在自身を維持することができずに討伐されたみたいに魔石だけを残し消滅してしまうのじゃ。ある程度の魔物によっては消滅せず存在を維持することも可能じゃがな・・・それができるのは人間基準で言えばSSランクの魔物だけじゃがな。
しかし、こやつ・・・この小僧はそんなことも知らないのか自身が保有する魔力をありったけ我に注ぎ込んできおった。
そのせいで体中が敏感になり頬が紅色に染まるのがわかる。しかし、それでもこやつはやめようとはしない。
大量の魔力を流し込み始めてから暫くすると我と小僧に変化が起きた。小僧の左手に赤紫色で神徒獣と呼ばれる『不死鳥フェニックス』の模様が刻み込まれていた。神徒獣の説明はまた今度じゃな。
そして、我にはステータスを確認すると種族欄からナーガ種が消え『神徒獣の恩恵者』となっていた。それともう一つ我のスキルに【人化】というのが増えていた。
早速、人化スキルを試してみると自分の体が人間体になり赤髪のロングヘアー、瞳はライトブルーのまま、身長は多分170あるのかの?で、出るとこは出るといった姿に変わっていた。これには我も驚いたが、小僧自身も驚いておった。
「・・・・」
今も口を開けたままポカンをしている姿はなんだか愛らしいの。
我はそんな小僧に一言呟いた。
「これからよろしく頼むぞ、ヴィルよ」
と。
たぶん、彼には聞こえていないとおもうがの・・・




