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腐った世界で異世界生活(ライフ)  作者: たんぽぽ
第4章 異世界の学校
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お嬢様の本音

「ちょっと良いかしら?」



放課後、帰ろうとしたら声を掛けられた。

――うん。彼女が私に、前々から声を掛けたがっているのは知ってた。

でも長年の癖なのか、授業が終わったなら早く帰りたい。



「手早く終わらせて?」


持ち上げていた鞄を下ろし、席に座り直す。



「なっ!!」


(平民の癖に生意気な口の聞き方だわ。)

(とりあえず、話を聞いてくれるみたい。)

(嫌われてはいないみたいで良かったわ。)

(ドキドキ〈緊張〉)

(ウィル……。)

(う。負けたわ……。)


「あ、ごめん。私平民だからさ、堅っ苦しい話し方は苦手なんだよね。」


一応謝っておく。

機嫌を損ねたら、貴族の令嬢だけに色々と面倒くさそう。


カグヤさんは女性ながら同じクラスの5-A。つまり武術クラスの貴族側で、男子共みたいな“体目当ての汚れた欲望”を向けてこなかった内の一人。まぁ、女にそんな感情向けられても困るけど。


男は武術。女は魔術。

軽い洗脳によるそんな風習の中で、彼女はある意味異質。

って言っても彼女は魔術の才能が無いからこそ、真面目に武術の腕を磨いているらしい。



「フン。私が寛大な心を持っていたお陰で、命拾いしたわね?」


カグヤさんは腕を組み、不機嫌そうにそっぽを向く。

しかしその心は……。


(そもそも何で平民ごときが、このクラスにいるのよ。)

(彼女に距離を置かれては駄目。平民だけどここは穏便に事を進めなければ……。)

(落ち着け、落ち着け。)

(さっさと謝るなんて、少しは良いところもあるのかしら?)

(ウィル…。)

(平民の癖に、大きいのはズルいわ。)



貴族だからかな?

上手く立ち回る為なのか、心の声は多め。



「で、用件は?」


聞かなくても分かってるけど、心が読めるってことを悟られないように敢えて聞く。



「貴女、私の下に付きなさい。平民なのだから、色々と大変でしょう?」


(貴女が私のもとに来れば、ウィルは必然的に私のものよ。)

(平民ごときが私の下に付けるだなんて、何て幸運な事でしょう。)

(平民なのだから、色々苦労してるハズ。きっとこの提案に乗るわ。)

(ウィル。今度こそ手離したりしないわ。)

(ウィル。ウィル。ウィry)

(ウィルは、胸の大きい女性が好きなのかしら……?……ま、まさかね。)



「心配してくれてありがと。でも、今のところは問題ないから大丈夫。」



カグヤさんはウィンハル君が好き。だからこそ例のいじめっ子グループに指示を出し、ウィンハル君をいじめていた。


――ウィンハル君にも、自分を好きになって欲しいから。


愛情の強要。


でもそれじゃ、彼に伝わりっこない。

というか、逆に嫌われるでしょ?


ま、彼女はそういう所に疎いみたいだけど。

本当の意味で、相手の気持ちを理解していない。


――なんか、クソ虫みたい(笑)


でも、彼が好きという気持ちは本当。

危なっかしくて怪我ばかりするウィンハル君を守りたいから、強くなりたいと願ってる。




「こ、この世界をなめてはいけませんことよ?わ、私の下へつけば――。」


「うん。大丈夫だから。」


断られるとは思っていなかったみたいで、ウィンハル君を取り戻す為に必死で頭を捻るカグヤさん。


「じゃ、私は帰るね。」



隙ありッ!!

私は逃げるように教室を出た。





「あ!ちょっと、お待ちになって!」


カグヤが追いかけて教室を出るが、美結の姿はもう無かった。





「あ、あの……。」


「何ですの?」


後ろから声を掛けられ、カグヤは振り向く。



「ひゃぁ><」


弱々しい声を上げたのは、紺色のフードを被ったピンク髪の子、ミーリャ。

中腰になり、頭を抱えてしまっている。



「私に何か用かしら?」



腕を組み、カグヤは不機嫌そうにミーリャを見下ろす。

ミーリャは腕の隙間から彼女を見上げ、弱々しい声で言葉を紡ぐ。



「あ、あのですね。……美結……ちゃんと、と、と、友達になれば、良いと思い、ます。……そ、それで、解決すると、思いま、すッ。」



言い切ると、こっちも脱兎の如く逃げてしまう。




「もぅ。これだから平民は……。」


忌々しげに呟く彼女。








「トモダチ……か。」


しかし、クルリと背を向け歩き出す彼女には、嬉しそうな笑みが浮かんでいた。


難しい。

他人の心は全く理解できないです……。


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