似た雰囲気の彼女
「じゃあ、改めて自己紹介するね。アレナです。よろしくね!」
「スーミル……で、すッ!」
俺の前の席の子、焦茶色の長いストレートな髪に朱色の瞳を持つ、アレナ。
アレナの友達で、頬を真っ赤に染めて彼女の後ろに隠れているのが、青紫色の髪を持つ、スーミル。
そして3人目。
漆黒の髪に黒い瞳。
長い髪が左目を隠し禍々しいオーラを放つ子へ、俺らの視線は移る。
「……えぇっとね、この子はサナちゃん。ちょっと変わってるけど、悪い子じゃないよ。」
少しだけ困ったような笑みを浮かべ、本人の代わりにアレナが紹介してくれた。
「えぇっと、私は<火魔術>と<水魔術>。スーミルは<土魔術>。サナちゃんは<風魔術>と、あと<土魔術>が少し出来るんだっけ?」
アレナがサナに確認するが、彼女はずっと床を見つめたまま微動だにしない。
「アハハ。悪い子じゃないんだけどね?」
乾いた笑いの後、苦笑いを浮かべたアレナ。
突如、サナがバッと頭を動かしてそんなアレナを見つめる。
「もー。怒らないでよ、サナちゃん。」
今度は可笑しそうにクスクスと笑うアレナが、やっぱり雛菊に似ている気がした。
「で?ユウマくん達の使える魔術は?」
拗ねたらしい、また床を見つめ始めたサナから俺らに、視線を戻したアレナが聞いてくる。
「俺は一応 <火魔術> <水魔術> <土魔術> <風魔術> だな。」
「わ、私は<水魔術>だよ。」
「わ、わ、私も<水魔術>で、す。」
美代と雛菊も、それぞれ答える。
……って、アレ?
美代は<水魔術>と<空間魔術>、雛菊が<小魔術>じゃなかったか?
――うん。ま、どうでもいいか。
その後は新学年初日の為、的に向かって各々の魔術を打つだけだった。
俺が4属性の魔術を使うことにアレナを含む周りに驚かれたが、俺的には雛菊が【水球】を打っていた方が驚いた。
その後の授業も新学年初日の為、内容は大抵が前学年の復習。
そんなこんなで学校一日目は終了した。
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「<小魔術>は異端なんだよ。」
夕方。『家』に帰ってきた途端、雛菊が言う。
「うん?」
「<空間魔術>はまぁグレーだけど、<時間魔術>と<時空魔術>も異端なんだよ。」
「だから、麻美花ちゃんは<水魔術>が使える設定なんです。」
「うーん?何で異端なんだ?」
「……<小魔術>は詠唱が無いから。だから無限の可能性を秘めてる。原子を弄れば錬金術だってできるんだよ。目に見えない程小さなものを扱う魔術だから。」
「へぇ。すごいな。」
精々、氷ができるくらいだと思っていたんだが……。
――でもそうか。よく考えてみれば他にも用途があるんだろう。
そういえば、雛菊の弓は<小魔術>で色を抜いて目に見えなくしているんだっけ。
「でも無限の可能性を秘めているからこそ、昔の過ち――国が亡びた悲劇を繰り返す可能性があるって、昔の人は怯えたんだよ。」
「だからは<小魔術>異端。脳みそに入れられたチップが、この国の人達をそう洗脳しているんです。」
「うん。だから――――」
雛菊が俺の前にピョコンと立つ。
「ゆうまも<小魔術>使って、氷を作っちゃダメだよ?」
真っ黒な長い髪を揺らし、雛菊は微笑んだ。




