意外と家庭的!?
「ここ...でいいんだよな。」
振り返って雛菊に確認する。
雛菊はコクンと頷いた。
「お邪魔しまーす。」
恐る恐る扉を開けと、そこはリビングのような造りになっていた。
玄関と床の区別がないのだ。
しかしオレは、靴を脱いで家に上がった。
なんとなく、靴のまま上がるのは気が引けた。
家に入り、ぼんやりしていると雛菊は、さっさと少し泥のついた上履きを脱ぎ、リビングの奥のキッチンらしきところへ駆けて行った。
そして何か白いものを手に持ち、再び上履きを履いて外に出て行った。
オレも再度、上履きを履いて外に出てみた。
先ほど、靴を脱ぐときに気付いたのだが、オレらは学校指定の上履きのまま森やらを歩いていたようだった。
外では雛菊が、机の足に付いた泥を手に持った白いタオルで拭き取っている。
そういえば、先ほど扉を開けるときに一時的に放置しておいた机の存在を忘れていた。
雛菊は早くも泥を拭き終えたらしく、テキパキと机を家の中に運び入れてしまった。
だが、すぐに戻って来るとオレに、さっき使っていたタオルを差し出した。
タオルはきれいに洗ってあった。
「サンキュー。」
オレは彼女にお礼を言い、それを受け取った。
----------
「ご、ご飯...どうしますか?」
そういえば、昼ごはんすら食べていない。
外はもう暗くなりつつある。
「どーすっか~?」
オレは料理を作れない。
「その...よかったら、わ、私が何か作りますけど...?」
「おぉ。お願いできますか?」
「は、はい。...何がいいですか?」
「オレ、嫌いなものねーからなんでもいいですよ。」
「じゃ、じゃあ、できるだけ早く作れるものに...。」
「そうだな。腹減ったし...。」
で、彼女が作ったもの。
普通のたらこパスタ。
僅か、15分で完成。
「あ、あの...。なんかすみません...。
しょ、食材の中にこれが入っていたので...。」
と、彼女が取り出したものは普通のスーパーで普通に見かける、パスタとたらこソースのパッケージだった。
あの、パスタを茹でて、ソースと絡めるだけでできちゃうお馴染みのやつ。
...。
ここは本当に異世界なのか?
もしかして、ただのドッキリとかじゃねーだろな?
そもそも、ここには“魔法”ってものがあるんだろ?
なのにそれらしいもの1回も見てねーんだけどー。
さっさと魔法ってやつを見せてみろ―。
あー。そうか、そうか。
本当ははそんなものねーから時間稼ぎでもしてるのか―。
なるほどー。
「さ、斉藤君。食べないの?」
「あ...。いや、食うよ。」
おっと...。
今のところ、元いた世界と特に何も変わらないから、ついこの世界に対して文句をたらたらと...。
彼女の作ったパスタは、普通に美味しかった。
麺が固すぎるでも、柔らかすぎるでもなく、普通に。
彼女は料理はそこそこできるらしい。
聞いたら本人が言っていた。
「上手じゃないけど...。」
とも言っていたが。




