表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/14

 オークラルドでの初めての朝を迎え、ルナは窓の外の明るく白む景色を楽しんでいた。


 街の中心地を一望出来る光景に圧倒された。柔らかな#煉瓦__レンガ__#色の屋根や、ベージュ色に褪せた漆喰の外壁、大理石の彫刻を備えた建造物、遠くには複雑なアーチの屋根を持つ教会が見える。見下ろせば、波紋を模した石畳みと凍りついた雪の路を急ぐ人波があった。


 住み慣れた町とは一転して都会に来た事に興奮しているルナだ。身支度はとうに整っている。


 コンコンッと、寝室のドアをノックする音がした。返事をするとドアが開いた。


「おはよう、ルナ。早いね」


 早いねと言うフィンリーの方も、殆どの支度が整っている様に見える。ただ、ワイシャツに巻く前のネクタイを首から下げている。


 ルナの立っている窓辺まで歩み寄り、ルナが観ていた景色をなぞる様に確認すると、ネクタイを締めるのを#強請__ねだ__#る仕草をしてくる。


「おはようございます」


 軽く会釈して、ルナはフィンリーのネクタイを締める。人懐っこい笑みでルナを見下ろすので、ルナの視線はネクタイよりも上に行けない。


 ネクタイが締め終わると、フィンリーはルナの頬にキスをした。


「それじゃあ、下のラウンジで朝食を取ろう」


 ルナはこんなやり取りを恋人未満で繰り返して、難攻不落の様になってしまっているのは自分が悪いのかと、先を行くフィンリーの背中を眺めながら小さく息を吐いた。


 ホテルのラウンジでは、ウォルカーと今朝初めて会う女性が一人、先に朝食を取っていた。


 マティーと名乗る女性は、ウォルカーの恋人と紹介を受けた。柔らかいウェーブのかかる髪を後ろに巻き上げ、並んで座るウォルカーとの仲睦まじい様子に、ルナは憧れを抱いた。


 とても、とても自然な二人!!


 そう思うと、フィンリーには自分がとても歪な存在に思えて罪悪感を覚えた。


 いえ、今は……それをおくびにも出してはいけない。ルナは、出来るだけ#和__にこや__#かに振る舞おうと努めた。


「今日は僕たちはアパートを探しに行くから、君たちはルナの雑貨を買いに行くと言う事で」


 ウォルカーが、今日の予定について話し始めた。ここでその予定を知ったのはルナだけだった。大学寮からアパートに引っ越すという。


「それは、マティーさんに随分甘えてしまう事になります」


 と、ルナは断ろうとすると、マティーは快活な性格を表に出してきた。


「いいのよ、ルナ。私、どちらかと言うと鬱陶しいぐらいのお節介焼きなのよ。この話を提案したのも私。何日も前から回るお店を決めていて、とても楽しみにしていたのよ。私から楽しみを取らないでもらえないかしら?」


 そう話すマティーをルナは改めて見つめる。キラキラとした柔らかい目には力が宿って、そう……#命の光__・__#も、とても輝いて眩いくらい……こんなに安心させてくれる命の持ち主は、なかなか出会えない。


 フィンリーとウォルカーの恋人同士と言うわけにはいかないが、ルナはマティーの眩しさに心惹かれた。友人になれなくても、この人を知るのはどんなものだろうと興味を持った。


 フィンリーに恥をかかせるわけにはいかないと自分に言い聞かせ、今日一日、マティーと買い物に行く事にした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ