表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おはよう、不登校  作者: ひめりか
2/9

416号室

 翌日は一人で学校へ向かった。二人とも気を使ってくれたのかもしれない。

 早めに家を出ていたため教室には数人しかいなかった。

 しばらくして奈央は来たが、その日充希は来なかった。

 帰り際、奈央が俺のところに来た。

「憲、あのさ……。今日、充希来なかったじゃん」

「ああ、風邪でも引いたのかな、昨日は元気そうだったのに」

「あのさ、それなんだけど、充希、倒れたみたい」

 頭が回らなかった。


 その日、学校からそのまま電車で病院の最寄り駅へと向かった。

 来たことのない駅だったので少し興奮した。だが、それを言ったら奈央に怒られそうだと思ったので口を噤む。

「充希はどこが悪いんだ?」

「そこまでは聞けなかった。とりあえず着いたら聞いてみよう」

「そうだね」

 歩いて十分程で病院に着いた。面会カードを受付で書き、奈央がエレベーターの四階を押す。

「416号室」

 白い扉の前に立ってノックをする。

 充希の声が返ってきてドアを開ける。

「一人部屋なんだね」

「そうなの、他は空いてなくて。少し高いんだけどね」

 憲は思い切って聞く。

「充希、どこか悪いのか?」

「あーそれね、私癌なの、白血病っていうんだけどね。ごめんね黙ってて」

「え」

二人で唖然とする。癌という言葉の重みを感じた。詳しくは知らないがとても有名な病気だ。よくない想像が働く。

「それって治るの?」

 奈央が疑問を口にする。

「分からないけど、あまり良くないみたい。さっきまでバタバタしていて、ようやく落ち着いたところなの」

「ごめんね、そんなに忙しいときに」

「ううん、来てくれて嬉しい」

 その後の二人の会話は良く覚えていない。ただ呆然としていた。だけど、どこからか治るんだろうという思いがあった。

 暫くして奈央が帰る様子だったので、一緒に帰ることにした。

 部屋を出るときに見た充希は、寂しげに感じられた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ