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第41話 諜報員の思考

 もたもたしていると出血多量で死んでしまいそうなので、さっさと質問を始めることにする。

 

 最初に聞いたのは、僕がダンジョンマスターだと正体を明かしたときに、何を考えていたかだ。

 正体を明かしたのはこれが理由で、諜報員というある程度知識のある立場の人間が、ダンジョンマスターと名乗る相手に対してどのような対応をしようとするのか気になったのである。

 

 結果、諜報員さんは表向きでは僕のことを魔物だろうと断じつつも、胸の内では結構色々なことを考えていた事が分かった。

 例えば、逃げる手はないか、次に僕がどんなことをするのか、僕の本来の姿は何なのか(僕のことを人間に化けた魔物だと思っていた)、等々だ。

 

 中でも興味深いのが僕の戦闘力を分析していたことで、『動くナイフと盗賊撃退のときに見せた本人の戦闘力が合わされば、こいつに個人で勝てる相手は帝国には勇者以外に一人しかいないだろう』と分析していた。

 つまり、帝国には勇者以外に今の僕に対して脅威になり得る存在が一人いるのだ。


 引き続き質問をしていくと、その僕に勝てると分析された相手が、帝国の騎士団長であることが分かった。

 この人物、聞き出した内容によると騎士団長という肩書きだけでなく、血濡(ちぬ)れの黒狼(こくろう)という二つ名を持っている。

 実際はどれぐらいの強さなのかは知らないが、警戒すべき相手が増えたのは確かだろう。


 次に聞いたのは、王国にいた理由だ。

 諜報員というからには何か情報を集めに来たのだろうが、具体的にどういった目的で来たのか。

 僕を殺そうとした理由も気になる。


 ということで話を聞いていくと、とんでもない偶然が発覚した。

 この諜報員さんの役割は連絡係で、王都に潜んでいる他の諜報員から情報を受け取り、帝国に情報を持ち帰るのが目的だったらしい。

 が、その情報を渡してくれるはずの諜報員が、裏路地で拷問された形跡を残して死亡していたということを知ったため、安全のために一度王都から避難することにした。

 というのが馬車に乗るまでの経緯のようだ。


 多分、というかほぼ確実に情報を渡す係の諜報員を殺したのは僕だ。

 王城に潜入して情報を集めていたんだろうが……不運な奴だ。

 そのおかげで、僕は幸運を手にしたわけだが。


 続いて僕を殺そうとした理由だが、これは推測とさして違いはなかった。

 情報を持ち帰るという任務が続行されていたらリスクのある行動はしなかっただろうけど、一時的とはいえフリーだったため、あんな行動を起こしたようだ。

 動機は愛国心、か……これも僕にはあまり理解できない感情だ。

 国のためにすることが、自分のためになるとは限らないからね。


 最後に聞いたのは勇者関連の情報。

 正直、これに関してはダメ元だ。

 王国でも勇者の情報は中々掴めなかった。

 理由は、国が勇者をあまり王城から外に出さないようにしているからだ。


 当然といえば当然のことで、戦争の重要なカギとなる存在を世間に露出させたくはないだろう。

 魔王討伐のために、各地を冒険するような勇者とは違うのだ。

 

 帝国にとってもそれは同じはず。

 末端諜報員程度でそこまで詳しい情報を持っているとは思えない。

 あまり期待はせずに聞いていく。


 聞いた結果は、可もなく不可もなくといったところか。

 まず人数だが、正確な数は不明。

 が、一桁であることは間違いないようだ。

 王国ほど大勢召喚したわけではないらしい。


 次に帝国の勇者の能力についてだが、凄まじい身体能力を持っている事は間違いないようだ。

 が、流石に細かいスキル……王国の勇者と同じだと仮定すると、個別に強力なスキルを得ているはずなのだが、それに関する情報は得られなかった。

 人数の桁を知れただけでも万々歳といったところか。


 以上で質問タイムは終了。

 末端諜報員から得られる情報はこれぐらいが限界だろう。

 戦争の計画なんて知らないだろうし。

 

 続いてはお楽しみのリザルト確認といこう。

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