プロローグ ―快楽の解剖―
――研究記録 No.001(後年記録より抜粋)
被験体:K(30代女性)
装置:拘束型触手
記録開始。
拘束型触手が四肢を絡め取り、解剖台に固定する。白い皮膚に食い込むように締めつけながら、粘膜質の表面がじわりと滲む。
胸部突起に吸引型触手を適用。
ジュゥと負圧音が響き、離れるたびにネチャリと湿音を残す。血流は急上昇し、紅潮が広がった。
外陰部小突起には振動型を適用。
クチャクチャと濡音が走り、腰部が反射的に跳ね上がる。汗が弾け、滴が解剖台に散った。
膣前壁には分泌型を挿入。
ぬちりと液が浸透し、内部で混じり合う音が小さく響く。分泌液と注入液が絡み、粘度を増しながら滴下する。
さらに蠕旋型が深部を拡張。
ギシギシと解剖台が軋み、体幹は大きく反り返った。透明な液が糸を引き、太腿を伝って床へ落ちる。
呼吸数:22 → 51
心拍数:114 → 197
全身痙攣周期:3.8秒
記録者の思考は冷徹だった。
「痛みは既に解明されている。だが快楽は、未だ未知の領域だ。
私自身の身体ですら、その扉を完全には開いていない。
ならば――私が記録する」
赤く跳ね上がった波形が示すのは、臨床の枠を逸脱した応答。
「この数値は異常ではなく、閾値の外側を示す証明だ」
……被験体:主任医師、久慈真理子(三十六歳)
以上、女医乃 深雪の研究記録より。




