第二十一歯 がんばれ兄ちゃん
王妃であった彼の母親は倹約家であったが、父親は湯水のごとく金を使った。プライドの高さか豪胆な性格かが、家族を越え彼の周りの家臣、その親戚まで衣食住の全てを王が賄うとさせた。
いつしかそれは数十万の民の数十%にひろがり、国の借金はただただ増えた。父はそれを国民に負わせず王家の負うべきものとした。
不思議と他国はもものけ国に融資する。幼き涼風にその理由はわからなかったが、担保となる何かが我が国、いや我が血統にあったらしい。いずれ利子率はかなりのものであった。
借金まみれの王家では威信も埃にまみれる。今の涼風の髪のように、美しきがくもり輝きがにぶる。
王妃の母が亡くなったとき、父の『おせっかい』は激しさを増し、国民の半分までが国からの生活補助費を受け取っていた。国民は次第に働くのをやめた。
あっけなく国は傾き、やがて兄が狂った。
涼風が理解しているのはここまでだった。
涼風はしかし、それでも自分が父親を恨むおもいが芽生えない事実を冷静に見つめていた。
歪んだ形ではあれ、彼は王として国民を愛し、国民のために生きることで自分の喜びを増やそうとした。
何より父は母を愛し、子供を愛し、もてるもの全てを自分たちに渡そうとした。
妻の死から一層金遣いが暴走したのも、寂しさが彼の正義を暴走させたにすぎない。愛華は夫の前に王である父の思慮の無さ浅はかさを嘆き軽蔑したが、涼風にはそんな不器用で人間らしい生き方が好ましく思えた。
そんな父親であったから、涼風は生まれてこのかた金銭に困ったことはなく、たった数十枚のコインを落とさぬよう握りしめるなんて初めての経験なのだ。
これからは金がいる。
生きるためには金がいる。
「あと三年しかねぇからな」
涼風は低い声で唸るように呟いた。
「正確には二年と354日だね」
オオババは嬉しそうににんまりと笑うと、
「思い出すねぇ。あの日、腹に穴があき身体の血が抜けきったようなあんたが、私の腕を掴んで言ったんだ。『<生>をくれ』って。
久々に感じたさ。あの狂犬みたいに血走った眼差し....」
舌で唇を嘗めながら、オオババは涼風を下から上まで見た。
「1500年ぶりぐらいの良い男だよ。
だから私はあんたに血をわけ、肉を与えたのさ。」
「あぁ」
「三年さ」
「あぁ」
「それが過ぎたら、あんたは私に」
「喰われる」
オオババはにんまりと笑う。
涼風は何食わぬ顔でそこに立っていた。
「嫌かい?」
「いや、問題ない」
涼風はコートをバサリと羽織ると、金貨の入った革袋をポケットに入れ
部屋を立ち去った。
ドアをあけるとき、涼風は廊下の暗闇に向かい「三年あれば、妹に全てを渡せる」と言った。
他国がもものけに金をかしたのは
もものけに眠るとされる魔法関連の何か(兵器とかなんか)を狙っていたため
涼風はそれを蛍に託そうとしている
的な




