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第一話、第二話、第三話

第一話 緑色の殺意


「奥さんのところの庭は本当にきれいだわ。特に芝生が」


ご主人は隣の奥さんに褒められていた。雌猫のミロはご主人に抱かれながら、そのやり取りを眺めていた。


「ミロの庭の芝生はきれいだね」


同じく抱かれていた隣の雄犬、チワワのメロンも褒めてくれた。


、、、


その夜。ミロは隣の庭に人の気配を感じた。窓の方へ歩み寄って庭を見た。 月の薄明かりの下で、隣の奥さんが芝生にペンキを塗っていた。


(人間のすることはわからない)


ミロはご主人が自分にも色を塗らないことを祈りながら、目を閉じた。


翌日、ミロは窓で日向ぼっこをしていた。 庭で声がするので振り向くと、隣の奥さんがメロンの名前を連呼しながら探し回っていた。


(いつも一緒なのに)


やがてミロは茂みの中に身を隠しているメロンを見つけた。


(何か事情がありそうだ)


ミロは隣の奥さんに気づかれないようにメロンの元へ向かった。


「君のご主人に渡してほしいんだ」


布にくるまれた重そうな物を、前足で差した。


庭では隣の奥さんがまだ、メロンを探していた。




第二話 名探偵の膝の上で


名探偵と呼ばれている紳士の膝の上に、あたしはいた。テーブルにはお茶とクッキーが並んでいたが、あたしには関係なかった。

その日は謎解き大会。名探偵は犯人を間違えた。あたしは爪を立てて抗議した。 膝から降りると、ソファの下にあったある物を口にくわえて探偵の足元に置いた。


その場にいた一同が息をのんだ。血のついたハンマーがあったからだ。


隣の奥さんは、芝生に緑のペンキを塗ったことを旦那さんに注意されて口論になり、旦那さんを殺害した。


「私はこのままいなくなるわね」


昨日のことだ。飼い犬のメロンは、奥さんが隠していた凶器のハンマーをあたしに見せると、別れを告げた。


あたしは雌猫のミロ。 親しい友人がいなくなった。陽が沈んでもしばらく、窓から離れられなかった。



第三話 不謹慎ですが


そもそもあたしは、この家では飼われていない。 新しい飼い主が現れるまでの短い期間だけ、置いてもらっている。 今の飼い主の奥さんには、もうじき入院しなければならない事情があった。


そんな中、新しい飼い主が現れた。独身男性で一軒家。お寺の住職だ。


手堅い。


あたしは素直に喜んだ。だけど幸せな時間は続かなかった。


ご主人は可愛がってくれたが、マニアックな結界を張る練習を始めた。あらゆる方法を駆使した挙句、外に出られなくなった。自己嫌悪に陥った住職は「無念」と言い残し、自ら命を絶った。


あたし、ご飯まだなんですけど。 不謹慎ながら、そう呟いた。



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