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瀕死の私を助けてくれたのは、真紅の目隠しをした魔眼の騎士様でした。  作者: 笛路 @書籍・コミカライズ進行中


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42/51

42:私のヒーロー。

 



 ドSな雰囲気になったリオが、ネクタイの結び目に人差し指を掛け、シュルリと解いた。


 ――――ふぁぁぁ、かっこいぃぃぃ。


「マキ?」


 ぽやぁっとしてリオを見ていたせいで、ドSなリオが普段の優しいリオに戻ってしまった。

 体調でも悪いのかと聞かれたけども、すこぶる元気です。

 ボーッとなっていたのは見とれていたからだと話すと、リオの顔が真っ赤になった。


「二年半の間に、マキは変わったな」

「そうですか?」

「ん」


 恥ずかしさを誤魔化すために、手の甲で口元を隠して話すリオは、以前と変わらない気がする。

 私は何処か変わったんだろうか?


「なんとなく、積極的というか……凄く、攻撃力が強い」

「良くわかりましたね! 攻撃魔法得意なんです」

「いや違う……違うが、得意なのか……うん。怖いな」

「えー?」


 抗議したかったのに、それよりも、と話を変えられてしまった。


「無詠唱だが、どうやって習得したんだ? もう文献は残っていなかったと思うんだが」

「あ、らしいですね」


 魔法の詠唱は、なんか小難しい。

 普段使いするような生活魔法さえも小難しい。

 精霊にお願いしたり、魔法の現象を詠唱したりと長い。

 詠唱することによって、魔力を練り上げて魔法を構築しているのだとか。


 たぶん、この世界の人達はそれに慣れているというか、魔法を学ぶ時点でそう教えられているから、不思議にも感じないんだと思う。

 私は詠唱を教えられて、ただ復唱しているだけだったから、魔法が全然発動しなかった。

 そもそも、その詠唱で何が起こるのかいまいち想像がついていなかった。

 魔力を練り上げるというものも、あの頃は全く分かっていなかった。


 魔法は、想像を具現化するようなもの。

 それならば、言葉にしなくても、心の中や頭で構築すれば、出現してもいいんじゃないの?と思った。

 元の世界にそんなコミックがあったから。


「想像するだけで?」

「はい」


 無詠唱が出来たとディーノさんに話すと、悩みに悩み抜いて国王陛下に報告することになった。

 そして、私の希望もあり、特定の人物にのみ無詠唱を教えることを許可された。


「特定の人物にのみ?」

「はい」


 無詠唱が当たり前になると、犯罪も増える可能性がある。

 なので、表向きでは詠唱するようにしている。


「私の希望は、『リオにだけ』です」

「っ!? な……ぜ?」


 王都に行って、学院に通って、分かったことがある。

 リオのおかげで平和なのは、皆が知っていた。

 学院の面々は、目指す職業的にもとても良く理解している。だけど一部の生徒や一般の人には、やっぱり畏怖の対象なのだと。

 

「リオは、私のヒーローですから」


 別に祭り上げるとかそういうのではなく、リオに悪い感情を抱く人を一人でも減らしたかった。

 凄い人なんだぞ、優しいんだぞ、この世界を守ってくれてるんだぞ、って。皆に知らしめたかった。

 本当は私だけのヒーローがいいけど。


「でも、ごめんなさい。魔法騎士の上層の方たちには教えざるを得なくて……」

「マキ、ありがとう」


 リオに力強く抱きしめられた。

 

「マキのおかげで、生きている意味がいくつも出来ていく」

「もう、投げ出さないでくださいね?」

「ん!」


 リオの腕に更に力が入った。

 ちょっと苦しいけど、リオの覚悟みたいなものを感じるから、ちゃんと全部受け取ろうと、抱きしめ返した。

 

 


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― 新着の感想 ―
[一言] ネクタイシュルリ・・・じゅるり、おっとよだれがw ご馳走様です。大好物です。カッコ良すぎます。
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