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瀕死の私を助けてくれたのは、真紅の目隠しをした魔眼の騎士様でした。  作者: 笛路 @書籍・コミカライズ進行中


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40/51

40:箍が外れる。

 



 紅い宝石から零れ落ちる雫は、とても美しくて床に落とすのがもったいないと思った。だから、リオの頬を何度も拭った。

 そうすると、リオが擽ったそうに目を細めた。


 ――――きれい。


 ちょっと背伸びしたくらいじゃ届かないから、包んだ両頬をグイッと引っ張って顔を寄せた。


「マキ……」

「すき」

「っ………………」


 あとちょっとで触れ合うと思ったときだった。

 リオに両腕を掴まれ、引き剥がされてしまった。


 ――――あ。


 思いが通じた気がしたのは勘違いだったのか、と唇を噛んだ瞬間、リオが唇を重ねてきた。

 温かくて、柔らかい。

 口づけは徐々に深くなり、熱いものが唇を割り開き侵入してきた。


「んっ……」

「……マキ、鼻で息して」

「っ、ん……ふ…………」


 初めてのキスは、予想と違い、どえらく淫らな感じだった。

 そして、まさかのそのまま寝室に運び込まれた。


「ずっと、こうしたかった」

「…………」


 リオにきつく抱きしめられ…………。


「リオ?」

「…………」

「…………まじか!」


 リオが、リオだけが寝た。

 それはもう、すやすやと。気持ちよさそうに微笑んで。

 

 ――――なんでやねん!




 ♦♦♦♦♦




 マキが出て行ってから、ずっと寝不足の日々だった。

 だからといって、ベッドに押し倒して、抱きしめて、今からだ!というときに寝落ち。


「ぶえっつにぃ。おこってませんっ」


 ベッドの中でこちらに背を向けてブチブチ言っているマキが、恐ろしいほどに可愛い。

 身体を密着させると、くるりと寝返りを打って、胸にしがみついてきた。


 ――――何だこの可愛い生き物は。


「マキ、大丈夫か? 目眩は?」

「色んな意味で気分が悪いですけどっ! 目眩はありません。体調は悪くないですっ」

「はははは。それなら、今から抱いてもいいか?」

「っ!? ストレートすぎるっ!」


 顔を真っ赤にして慌てるマキはとても可愛らしい。


「私は、マキの全てを愛したい」


 黒いサラサラとした髪を撫でる。まるでシルク糸のような手触りで、いつまでも手櫛をしていたいほど。

 黒曜石のような瞳は、吸い込まれそうなほどに深く美し色だった。

 クリーム色の柔肌に手を滑らせると、マキが鼻で「んっ」と可愛らしく喘いだ。


 全てが愛らし過ぎて、箍が外れそうだ――――。


 


 スヨスヨと少し不思議な寝息を立てているマキの頭を撫でる。


 この娘を大切にしたくて、遠ざけた。

 だがそれは私自身はもちろん、マキまでも苦しめた。

 お互いのベクトルがズレていた。


 本当は側にいて欲しかった。

 マキには、それがバレていたのかもしれない。

 

「マキ。私はマキの人生の全部に、責任を持つ」


 マキの言葉は、私の弱い心を貫いた。

 

『私の人生の全部に、責任持ってください』


 あのときマキの声はとても震えていた。

 魔力からは、恐怖を感じているときのような揺らぎが滲み出ていた。

 

「マキ。私の人生の全部で、君を愛し続ける」


 直接本人には言わない。

 この娘を縛り付けたくないから。

 スヨスヨと眠り続けるマキの頬に口付けを落とし、抱き寄せた。




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