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瀕死の私を助けてくれたのは、真紅の目隠しをした魔眼の騎士様でした。  作者: 笛路 @書籍・コミカライズ進行中


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39/51

39:リオの気持ちが知りたい。

 



 リオを煽りすぎた。

 本気で怒らせてしまったかもしれない。

 リオから漏れ出る魔力が、皮膚を刺すようなものになった。

 でも、目眩は起きてない。気分も悪くない。

 リオの前では絶対に倒れてはいけない。だから、抵抗魔法を発動し続けてはいた。

 だけど、抵抗魔法が動いている感じがない。

 解除しても、平気な気がする。


「マキの顔などっ! ……見たくはなかった。あの日の記憶がずっと脳内に焼き付いて消えない」


 あの日って、目隠しを取って眠った日のこと?


「あはっ……そんなにひどい顔でしたか」


 あ、駄目だ。ちょっと涙が出そう。

 リオから目を逸らしたくないのに。


「っ! そうじゃないっ」

「じゃあ、なんで?」


 ――――教えてよ。


「………………ここにいても、マキは幸せにはなれない」

「私の幸せは私が決めます。リオの気持ちを知りたかったです。でも、リオは教えてくれないんですね」


 ポタリと涙が溢れた。


 何を言っても、私の言葉はリオには届かないんだなと思うと、息が苦しくなってきた。

 気持ちを押し付けるのは、駄目だと思う。

 でも、リオ相手に引いてしまうと、リオはそのまま消えてしまいそうだから。二年半前みたいに、しこりを残したまま離れ離れになるのはもう嫌だったから。


「マキ…………」

「気持ちを押し付けて、ごめんなさい。本当は、リオが平穏に暮らせることが一番大切なんです。王都に帰ります」

「っ、一人で帰るのは危険――――」

「大丈夫ですよ。座学と実技ともに首席でしたから」


 単身でディバルダ聖山に入れるほどの力だと認められた。だからここに来られている。

 ディーノさんと来たのは、ただ単に道案内してもらっただけだった。

 

 ――――ディーノさんも優しすぎるなぁ。

 

「首席…………凄いな。魔法がない世界にいたのに。大変だっただろう?」


 リオが褒めるように頭を撫でてくれた。触れられる位置まで、近付いてくれた。

 それが嬉しくて、また涙が溢れた。


「リオに、逢いたかったから。またこうやって触れて欲しかったから…………頑張れました」


 リオが身体をビクリと揺らし、頭を撫でていた手を引いてしまった。


「っ、あははは。リオは狡いです。リオは酷いです。こうやって期待させるくせに、一歩先へは踏み込ませてくれない」

「マキ?」

「リオの本心には触れさせてくれない。なのになんで? なんで期待させるの? もう、無理…………」

「マキ!?」


 抵抗魔法を解除した。

 リオの両頬をガッと掴んで、無理やり視線を合わせた。


「目を閉じないで!」

「っ!? 無詠唱……だと?」


 動きを拘束する魔法を発動させる。

 色々と学んでいくうちに、詠唱をしなくても発動できると気付いた。魔法はなくとも、空想で魔法を作り出す不思議な世界で生きていたおかげだろう。

 

「やめてくれ……」

「リオ」

「もう誰も殺したくない。やめてくれ!」

「リオ、ちゃんと見て。理解して」


 私は死なない。リオの魔眼で死にはしない。

 リオの魔眼は、異世界人の私には効かない。


「…………平気……なのか?」

「平気なんです。ずっと思ってました。リオが目隠しを外した時、何にも影響がなかったんです。ただ魔法を覚えてあの時と変わったいま、何が影響するのか不安だったので、抵抗魔法は発動させました」


 でも、抵抗魔法が動くことはなかった。


 リオの瞳からボロボロと透明な雫が落ちだした。

 目蓋を閉じないように魔法を掛けたせいで目が乾燥してしまったかと、慌てて解除したけれど、リオは目蓋を閉じることなく、涙を零していた。




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