18:ここ、異世界なんだなぁ。
サーフボードの説明をリオにすると、怪訝な顔をされた。たぶん。
目隠しでよく見えないけれど、そんな気がした。
「この板で波に乗る……乗ると言うのか」
「うん。波乗りって言葉があるんです」
「魔法なしで、水の上に立てるのか」
――――そこ?
本当にここは異世界で、リオは異世界人なんだなと実感した。
一輪車が何の為にあるのかと聞かれても答えられなければ、厚底ブーツの利点も答えられず、スケボーには乗れず、アタッチメント式の工具類の使い方は一言で理解され説明する暇も与えられず、ジュース用のペットボトルがなぜ熱耐性がないのかも説明出来なかった。
「役立たずでごめんなさい」
「マキ? いや、とても助かったんだが!?」
しょぼんとしていたら、リオがあたふたと慌てていて少し笑ってしまった。
「ふっ。もう昼をすぎているな。一度小屋に戻ろう」
「はい!」
ひと息つこうとなり、紅茶を飲んだ。例の王様のやつ。
恐ろしいほどに、美味しい。
普通に入れた紅茶が普通じゃない味がする。
「っ…………はぁ。おいしい」
「はははっ。そんな風に飲んでもらえるなら、たくさん取っておけばよかったと、本当に後悔しているよ」
クスリと笑い、唇で弧を描きながら紅茶を飲むリオは、端的に言ってカッコイイ。
目隠しがめちゃめちゃ怪しさと、何なら厨二病感も出してるけど、カッコイイ。
「お……お昼ごはん、作って来ますね!」
「ん、ありがとう」
パタパタとキッチンに走り、貯蔵庫の中を確認する。
トマトやセロリを見つけたので、キャベツや人参なんかも入れて、野菜たっぷりミネストローネを作ることにした。
お鍋に多めに作って、夜はそれを転用しよう。
ロールパンに横からナイフを入れ切り開いて、レタスとハムとチーズを挟んだ。元からあったマヨネーズっぽいタレはちょっと味気なかったけど、まあいいかなぁ。
あとは熱したフライパンで潰しながら焼く。
なんちゃってパニーニの出来上がり。
「熱いから気をつけてくださいね」
「んっ……ん? ぺっちゃんこ」
「あはっ!」
パニーニを触ったリオが、本気で困惑していた。
もしかしたら、この世界にはないかもなーなんて思いつつ作ったけれど、リオの反応からするに、やっぱりなかったみたい。
それにしても、『ぺっちゃんこ』という言葉が異様に可愛く思えるの、不思議。




