最終章 ヒロインが色々終わってた件
最終章です。
「…あかつき、とってもすてき…」
ユリ…クロユリが頬をほんのり紅くして褒めてくれた。
だ、駄目だ…。色んな意味で駄目だ…。とりあえず叫びたい…「けしからん!!」と…。ほんのり紅いほっぺもヤバいし、褒めてくれるというのもヤバい…。だが!!それよりもドレスが…クロユリに似合い過ぎてて…。なんだか和風なんだけどドレス…みたいな感じで着物っぽいところが、膝裏まである長い黒髪のクロユリに良く似合うんや…。それに、今日はメイクをほんのりとしているのか、かなり色っぽい。いや、普段から憂鬱な雰囲気とか見た目とかで色気はタップリなんだけどね?それが倍増してるっていうね?
「クロユリもヤバいよ!!」
「やばい…?」
「めっちゃいいってこと!!」
いや、逆の意味にも使われるし意味ちょっと違うけど!!
「ありがとう…。一週間ね…あかつきのためにぜんぶ一からつくったから…」
ズ、ズッキューン!!!!パ○ラッシュ!!なんだか私、今だったら死んで良い!!この前のあの一週間はそういうことだったのね!!そうなのね!!ウォッチ!!
「おー!!アカツキにクロユリ!!」
シラユリちゃん登場である。盛大な遅刻だね、うん。最初のダンス終わっちゃったよ?あ、ちなみに私とユリは十分前ぐらいに…まぁ、舞踏会の始まる時間ピッタリに来て、ちゃんとダンスを二人で踊ったよ。さっきの会話は踊り終って、飲み物飲んでるときの会話ね。
「へー、アカツキ、可愛いね」
あんまりそう思ってない感じの適当な褒め方である。
「まぁ、私には負けるけど!!」
そういって顎を突き出してくるシラユリちゃんの着ている物は、金縁の真っ白な、お姫様が着るようなドレスである。
うん、似合うね。まぁ、実際にお姫様だから当然だね。余裕で私は負けてるね。どうでもいいけど、私の着ている物はオレンジのスレンダー?なドレスである。ちょっぴりおデブだから似合わないね、うん…。
「あ、アカツキにシラユリちゃんにクロユリちゃん。」
そう言ってこちらに近寄ってきたディアポロの着ている物は、黄色の派手なタキシードである。うわ、ダッセ!!
「そしてさようならディアポロ」
「やっぱりアカツキは冷たいな!!」
「踊る相手は見つかったの?」
「とりあえず、ミスルトゥさんに人形をもらって人形と踊った。」
「かなし!!」
「等身大だし、人間みたいに動くしいいじゃん!!」
ミスルトゥとは天才人形師と呼ばれる、この学園の生徒である。ミスルトゥの作る人形は驚くほど精密にできていて、非現実的なほどに美しいが、部品などはほとんど人間と変わらないと有名な、凄腕の人形師である。そして、ミスルトゥの作る人形は動く。そのわけはミスルトゥの能力にあって『操り人形』という能力だったはず。詳しくは忘れたが、ミスルトゥは普通の人には見えないし触れられないし、切れないし、みたいな糸を使って、重すぎたりしなくて実体のあるものだったらなんでも操ることができるのだとか。ミスルトゥの意思で動かすことも出来るが、自動で勝手に動くようにすることもできるらしい。
ちなみに本人の見た目も人形みたいで、運動は苦手だが勉強は一回見たら全て覚えるとかいう天才である。何それチートじゃん。と思ったそこのアナタ!!そうです!!彼こそが超乙女ゲー攻略対象者のミスルトゥ・ヤドリギくんです!!
でもさ…確かあの人って…。
「偏屈で気位が高い、と有名なミスルトゥによく人形をもらえたね」
値段もヤバいし、そもそも売ってくれることもほとんどないのに、貰う、って。
「いや…貰う、っていうか借りた…」
「え?マジで!?借りるなんてことできたっけ?」
「ミスルトゥと同室の子がね、口添えしてくれてさ…。監視付きで、ダンスを踊ったらすぐ返す、触れるときは手袋で、っていう条件の下で貸してくれた…」
同室の子つよっ!!ミスルトゥは誰の意見も聞かない、として有名なのに!!というか、ぜひその人形を見たかった!!
「やっぱり人形は綺麗だったの?」
「うん。本当に美しくて魂抜かれるかと思った」
素晴らしい人形を作るという噂は本当だったらしい。
「動きは!?スムーズ!?」
「超スムーズ。人間と変わんない」
スゲー…!!
私が感動の海に沈んでいると、ドレスの布をクイッ、と引っ張られる感じがした。
「んん?」
「あかつき…。僕とおはなししよ…」
「え、あ、うん」
ドレスの布を引っ張ってきた犯人はどうやらクロユリだったらしい。
「僕ね…あかつきとすっといっしょに居たいの…。それでね…気づいたんだ…。あかつき…僕と、けっこんしよう…?」
「喜ん…えっ!?」
「ふうふになったら、ずっといっしょに居られるんでしょ…?」
「いや…確かにそうだけど…。結婚っていうのは好きあった人同士がするもんなんだよ?」
たしかにこの国では同性婚も認められてるけどさ。クロユリの私に対しての感情は友情的な意味の好きでしょ。
「うん…。僕…あかつきがだいすき…」
「その好きは友情的な意味じゃないの?」
「それもある…。でも…だいすき…」
……。
申し訳ないけど、断るしかない。クロユリのことは大好きだし、大切だし、恋愛的な意味でももしかしたらちょっとは好きなのかもしれない。けど…私は女の子を恋愛的な意味でちゃんと愛せるかどうか…。手をつないだりハグしたりするのは全然平気だが、キスとかは…。それにクロユリはもっと素敵な人…攻略対象とか…と結婚するべきだ。
「ごめんね…。クロユリのことは大好き。…だけどね、クロユリは女の子でしょ…?私、女の子と結婚するのはちょっと…」
「え…?」
「ほんっとうにごめん!!」
「なに…いってるの…?」
「ごめん…」
「僕は…おとこ…だよ…?」
「は…?」
え…?ヒロイン…だよね…?
「もしかして…おんなのこだと…おもってたの…?」
「え…?女の子じゃないの…?」
「おとこだよ…?」
え…?『花園』ってBLゲーだったっけ…?
「もしかして…かたわれとかんちがいしてる…?僕は…『くろゆり・ばいも・ゆり』…だよ…?」
「男なの…?」
「おとこ…」
マジか…。見た目とか高くて澄んだ声とかから、女の子だと思ってたわ…。
あれ…?じゃあ、ヒロインって…もしかして…。
「かたわれはもともと、あかつきと同じへやになるはずだったけど、僕がゆずってもらったから…」
シラユリちゃんだー!!!確かに目の色とか性格とかからしてシラユリちゃんだ!!能力もシラユリちゃんの方が近いというかシラユリちゃんの能力の一部だし!!王女様の前で部屋を交換した、ってシラユリちゃんも言ってたし!!
って…。
「あっー!!」
思い出した!!前、花園の攻略対象は七人って言ったけど、八人だ!!隠しルートだったし、私は最後まで攻略できなかったから忘れてたけど、確かヒロインの双子っていう攻略対象がいたはず。名前は…。
「クロユリ!!」
「えっ…?そうだけど…。」
ああ、なんてこったい…。同じ部屋だったのとクロユリの一人称がユリだったから、クロユリがヒロインだと思い込んできてたわ…。ヒロインの一人称って自分の名前の呼び捨てだったし…。
「そういえばさ……クロユリの一人称ってユリだったよね…?でもさ、どうして急に僕になったの…?」
「え…?」
戸惑ったようにクロユリが目をぱちぱちさせた。そりゃあそうだ。女の子か男かという話をしていたのに、奇声をあげたと思ったら名前を呼ばれ、挙句の果てに謎の質問をされたんだから。
「いや…かたわれといっしょにいるときは…僕にしてるの…。どっちも、ふだんはじぶんの事をゆりって呼ぶから、ややこしいってはなしになって、ふたりともかえる事にしたの…」
ああ…。シラユリちゃんも普段は自分の事をユリって呼ぶのね…。で、双子が揃ったときは二人で違う一人称を使う、と…。
「それで……けっこんしてくれる…?」
ああ、そういえばそういう話だった…。
「うん…。もうちょっと大人になってから決めようか…」
色々整理が追い付かないし、まだ結婚できる年じゃないしね…。
「じゃあ、まってる…。いつまでも…ずっと…。ずっと…。あかつきが僕とずっといっしょにいてくれると心にきめてくれるまで…。でも…もし、あかつきがほかのだれかをえらんだら…」
ゆらり
いつのまにかクロユリの背後にいた闇の手が陽炎のようにゆらめき、そして消えていった。
近いうちに人形師の話を投稿しようかと思ってます。(投稿しました!!気になる方はぜひ読んで見てください!!題名は『オーマイガッデム!!乙女ゲームのライバル役に転生したけど、同室の奴(攻略対象者)が嫌すぎる件』です)
ヒロイン終わってたシリーズの番外編とか後日談とか書くかどうか悩んでます。あ、そうだ、あみだくじで決めよう。




