ヒロインのプロフィールが終わってた件
謎にダブルユリが中二病設定です・・・・。どうしてこうなった・・・。
「・・・・・・。色々誤解があって喧嘩がはじまった・・・・と・・・・。」
シラユリちゃんとユリ・・・・クロユリが話したあのバトルの理由を王女さまが、ため息をつきつつそう呟いた。
「そもそも、シラユリが両親の愛情を一人占めしていた、なんてことは断じてないぞ。」
「そうだよ!!というかクロユリの方が愛されてたし!!」
「お前は黙っておれ。」
「はーい・・・・。」
ぶうっ、とシラユリちゃんは頬を膨らませてそっぽを向いた。
「でも・・・・・お母さまもお父さまも、シラユリとは良くいっしょにお外に行ってたのに・・・・・僕はずっと家で・・・。」
「はぁ・・・・・・。それはお前の目は外に出れば怯えられる、と分かっていたからお前を傷つけたくなくて外に出さなかったのだろう。お前も外に出るようになってから分かっただろう。朱い目は怯えられると。」
「・・・・・・・・。使用人は・・・・・?」
「お前を守るために、両親が深く関わるなと命令していただけのこと。」
「じゃあ・・・・・どうしてかたわれは僕とあかつきの部屋に・・・・?」
「それは本人に聞け。」
ユリ・・・・じゃなくてクロユリがシラユリちゃんの方を向いてゆっくりと首をかしげた。
「なんで・・・・?」
「はぁ・・・・・。片割れがさ、珍しく仲良くしてる人間がいる、って言うのをディアポロから聞いてさ。どんな人間なのか気になっただけ。」
「えっ?オイラが原因!?」
「なにやってるんだディアポロ!!」
「本当にアカツキはオイラを批判したがるね!!」
どうせ、髪を切らせてもらってる間とかに話したんだろ!!話すなよ!!個人情報!!
「まぁ、欲しいな、と思うぐらいには愛情が湧いたけどね。」
「・・・・・・!!」
「残念ながら、女性に興味はありません。」
いや、悩んだ時期もあったけどね!?
「・・・・・・。あまりクロユリを刺激してやるな、シラユリ。ほら、アカツキがああいってるんだし、クロユリも安心だろう。」
「よかった・・・・。じゃあ・・・・かたわれはあかつきをとらない・・・・?」
「さぁ、どうだろ?」
「シラユリ!!」
「はぁ・・・・。取らない取らない。約束するよ。」
「よかった・・・・・・。あかつき、いせいだったらすきになれるんだよね・・・・?」
「え・・・?まぁ・・・・?」
なんでこんなタイミングに・・・。
「双子の誤解も解けたことだし、それでは。」
これまで、ダブルユリの方を向いていた女王さまがクルリとこちら・・・・ディアポロと私の方を向いた。
「わかっておるだろうが、クロユリの属性は闇だ。これの意味することがわかるな?」
え?なんかあったっけ?
「とうの昔に滅びた属性・・・・・悪しき属性ですね。」
王女様はゆっくりと頷いた。ディアポロって真面目に勉強してたんだね。一ミクロンぐらい見直したわ。
「そうだ。闇属性の能力は人の暗くて汚い所や死を象徴するものが多いせいか、昔から悪しき属性とされ、忌み嫌われてきた。しかも闇属性を宿す者が少ないためか、闇属性の者は差別の対象となり惨殺されてきた。そのせいか今、闇属性を持つ者はクロユリしかいない。闇属性は忌み嫌われてきたが、畏怖の対象ともなってきた。それは、闇属性の能力が最強とも言えるほど強いものが多いからだ。そして今、クロユリの属性が闇で・・・・・・しかもそれが『闇の手』だと民にばれたらどうなる?」
「『闇の手』!?」
驚いたようにディアポロが声を上げる。どうしよう。話についていけない。魔法の授業の実技じゃないところも寝てないで聞いとけばよかった・・・・・。
「ああ。あの『闇の手』だ。」
だからなに!?
「それは・・・・・・。」
もういいや!!聞くは一時の恥聞かぬは一生の恥だ!!どうにでもなーれ!!うん!!とりあえず手をあげよう。
「・・・・・なんだ、アカツキ・コスモス。」
「『闇の手』ってなんですか!!」
よっしゃあああ!!ちゃんと聞けた!!!って・・・・あれ・・・・?なんで沈黙なの?もしかして超・常識だった?いや、ちょっとクロユリもそんなに目を見開かないでよ!!
「・・・・・・・。アカツキ・コスモス、お前はどうやら大量の補習が欲しいらしい。・・・・とにかく、『闇の手』とは人の闇や死を凝縮した伝説の能力だ。その手に触れれば、生きる気力を奪われ、能力の発動者に命を吸い取られ、場合によってはこの世でもっとも惨たらしい死に方をする、と言われている能力のことだ。その『闇の手』はどこまでも能力者に忠実で、能力者が願ったこと全てを叶えようとする、とも言われている。」
はぁ・・・・。
「そして、その能力とまったくの逆の能力がシラユリの持つ、『光の手』だ。その能力も伝説とされているが、『闇の手』とは逆にその手に触れたものは、生きる気力に満ち、傷や病が癒え、死にそうな者も瞬時に再生すると言われている能力だ。こちらも能力者に忠実で願いを叶えようとするが、能力者が正しくないことをしようとすれば止める、とも言われている。『闇の手』も『光の手』も、能力とは言っているが一種の生き物のようなものだ。」
あれ?今気がついたけど、さっきのバトルで私やディアポロやシラユリちゃんがあの紫色の手に触れてたらヤバかったんじゃね?・・・・・下手に近づかなくて良かったー・・・・。というか・・・めっさ厨二病みたいだけど、現実なんだよな、うん。あとで頬っぺたつねっておこ。
「そして、二つの能力にはもう一つ特殊なものがある。」
まだあるのか!?もう十分でしょ!!
「それは・・・・・・死者の蘇生だ。」
え?それもう人の理からはずれちゃってね?
「とにかくだ。この二つの能力が本当に存在する、と多くの者に知られるわけにはいかぬのだ。」
なんで?別に良くね?
「・・・・・不思議そうな顔をしているな。それでは問おう。お前には大切な人がいるか?」
「はい。」
そりゃあ、両親とかね。
「では、分かるだろう。たとえば、その大切な人が死んだとしよう。そのとき、大切な人を再生することができると知ったらお前はどうする?」
それは・・・・・・。
「その能力を使って欲しいと思うだろう。それは誰でも一緒だ。だが、全員を再生することなど出来はしない。だから、この能力を知られてはならないのだ。」
・・・・・・・。
「つまり・・・・ここでの話はなかったことにして欲しい・・・・ということですね。」
「そういうことだ。それと・・・・アカツキはクロユリと同室だったな?」
「あ、はい。」
「そりゃあ、私が片割れにお願いされて部屋を譲ったからね。」
え?じゃあもしかして私はクロユリじゃなくてシラユリちゃんと同室になるはずだった、ってこと?
「はぁ・・・・勝手に入れ替えるな・・・・・。ともかくだ。アカツキはクロユリの能力が他の者に知られないように気を付けてほしい。」
あ、ウィッス。どうやりゃいいのかしらんけど。
「それでは・・・・・おっと、忘れるところだった。シラユリ、私を強制召喚するという変な物を勝手に作らないように。今回は役に立ったが、もし重要な会議の途中だったりしたらどうするのだ?迷惑なので、以後、勝手に作る事のないように。」
「はーい。」
シラユリのその言葉を聞くと王女さまは満足したように頷き、ふっ、と消えた。
「消えたっ!?」
「うん。消えた。」
「え、なんでシラユリちゃんそんな冷静なの!?」
「だってあの魔道具作ったの私だし。」
あ、確かに王女さまが言ってた、けど!!
「あの変なのどんな構造してんの!?」
「おばさんを強制召喚して、で、もういいかな?って私が思ったら元の場所に強制帰還させる構造。」
「ええっ!?」
なんじゃそりゃあ!?
「うん。いや、話し終わったかな?って思ったから。」
「へ、へぇー。」
な、なんつー自分勝手な・・・・。強制帰還させる前に確認しておけよ!!もう、言う事ない?とか!!いや、なんか悪役が人を殺す前に言うセリフみたいだけども!!
あ、ちなみにこの世界の魔法は決まった能力しか使えないから、その代わりに魔道具っていうものが出回ってるよ。魔道具にはその能力が使える人の魔力が含まれてて、それを持ちつつ自分の魔力をちょぴっと流し込むと、一回きりだけどその魔法を使えるようになる、っていう便利な物。さっきのも瞬間移動とか、召喚とかの色々な魔法が複雑に絡み合ってる魔道具だと思う。でも、さっきのはかなり作るのが大変な物のような・・・・・。
「あ、改めて自己紹介するね。」
お、おう。そういえばシラユリちゃんは、この一週間ユリとして過ごしてきたからな。
「私の名前はシラユリ・ユリ。クロユリの双子ね。あ、一応王族。」
「よ、よろしく。」
「え、王族!?」
ディアポロが驚いたように声を上げた。
「え?さっきまでの会話で気づかなかったわけ?」
シラユリちゃんも叔母さんっていってたじゃん。
「い、いや、オイラ驚いて何がなんだか・・・・・。」
ああ・・・・会話だけついてきて脳がついてきてなかった・・・と。まぁ、私もにたようなものだしユリ・・・・ヒロインの正体が王族だってことをゲームで知ってたから、分かっただけなんだけど。
「えっ、あれ、じゃあオイラ、王族さんに散々無礼を・・・・。」
「いや、そういうこと気にしなくていいから。この学園は身分とか気にしなくていいんだしね。」
「あ、ああ・・・・よかったー。」
安心したようにディアポロはため息をついた。
「それじゃあ、今日は解散としますか。あと三時間で舞踏会始まっちゃうしね。」
え、マジで!?ヤバいやん!!用意さっさとしなきゃ!!
「じゃあ、舞踏会でn
「ちょーっとまったぁー!!!」
「なんだよ?」
私の言葉を遮るんじゃない!!ディアポロ!!
「危ない、危ない。忘れるところだった。」
何を?
「オイラがさ、ユリちゃん・・・・クロユリちゃんが居なくて、アカツキしか居ない時にこの部屋を訪ねたことがあったんだ。そん時にさ、紫色の手・・・『闇の手』にそっくりのものに襲われたんだけどさ、襲わせた犯人って・・・・・。」
一人しかいないやろ。
「ああ、クロユリでしょ。」
シラユリちゃんが平然と言う。
「だよね!!あの時にも思ったけどあってたんだ!!」
なんで嬉しそうなの?コイツ?あ、もしかしてオイラの推理あたってた!!よっしゃ!!みたいな?・・・・あ、そうだ。ゼッタイそうだ。
「あれ、本当にヤバいやつ・・・・惨い方法で殺されるとか、生きる気力がなくなるとか、寿命とられるとかは消されてたけど、あの手はクロユリからアカツキが取られる・・・・いや、別にアカツキはクロユリの物じゃないけど・・・・危険性があった場合に、奪おうとした者を黄泉に引きずり込むように設定されてたんだよね。」
ああ・・・・。セコムって奴ですね・・・・。ものっそ怖いけど・・・。
「え?じゃあオイラ、下手したら死んでたってこと?」
「まぁね。」
あ、一つ矛盾見つけた。
「あれ?シラユリちゃんには発動して無くない?」
「ああ、それは光の手で抑えてたからね。」
「なるほど。」
便利だね。
「・・・・別に・・・ころすつもりはなかったの・・・・。よみのくにで、やみのてにおしおきしてもらったらすぐ帰すつもりだったの・・・・。それに、あきらめたらすぐかいほうしようと思ってた・・・。」
だからあの手はあんなにあっさり離したのね。なるほど。
「あーよかったー。すぐ諦めて。黄泉の国なんかオイラ、まだ行きたくない。」
ふぅっ、とまたもや安心したようにディアポロはため息をついた。
「ねぇ・・・・・あかつき・・・・・ぶとうかい・・・・あとちょっと・・・・。」
あ、ホントだ。あと、三十分・・・・・三十分!?あれ!?さっきシラユリちゃん三時間って言ってたよね!?あれから二時間半もたってたっけ!?
「シラユリちゃん、あなたの時計、ずれてるよね!?」
「え?あーほんとだ。ものっそずれてる。」
「ヤバいよ!!みんな!!さっさと着替えよう!!」
さ、最悪だー!!舞踏会に間に合わねー!!
クロユリが・・・・喋って・・・・ない!!