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乙女ゲームのサポートキャラに転生したら、ヒロインが色々終わっていた件  作者: 君影想


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ヒロインの顔面が終わってた件


 ある少女を十分ほど前に見たとき、私は気づいた。「この世界で私は主人公になれない」と。どこかの誰かは「お前の人生なんだからお前が主人公だろ」と言うかもしれない。でも、違うのだ。そういう問題ではない。ただ、この世界がそういう風に出来ているのだ。私は主人公の『サポート役』。あくまで主人公の恋愛をサポートするためだけにいる存在だ。……今までの言葉で私の現状が分かった人もいるかもしれない。


 そう、私は………


「乙女ゲーム転生キターーーーーーーー!!!!!」


 サポート役だけどね!!ああっ!!なんちゅう役得!!だってさ!!だってさ!!イケメンと触れ合わずにイケメンを観察できるんだよ!!良くね!?イケメン好きだけど、触れ合うのはちょっと無理な私にはあり難い事この上ない!!ヒロインちゃんをガンガンサポートしていきたい、んだけど…。肝心のヒロインちゃんが見つからないんだよね、うん。さっきの「ある少女」っていうのは『ライバル役』ちゃんなんだよなー。舞踏会で攻略対象の一人を思いっきり殴ってるのを発見したんだよね。


 私が転生したこの世界は多分だけど『花園』っていうゲームのだと思うんだよね。確かだけど攻略人数は八人、ライバルは攻略者ごとに用意されてた、と思う…。世界観としては魔法が存在する中世ヨーロッパ、みたいな…。それで確かヒロインは王家の出身だけど、世間を知るため、身分を隠して男爵家の娘として寮に入り学園に入園する、という感じのストーリーだった、はず…。ちなみにサポート役な私は寮でヒロインと同室になった子爵家の娘、という設定…というか実際に子爵家の娘だけど、同室になるかは知らん。だって今は入学祝いの舞踏会中だからね。部屋の振り分けはこの後だ。


 本当にどうでもいいが、この舞踏会は王女が主催である。つまり、ここにはかなりの大物がいたりする。なのコスモス家次期当主の私はここでコネを作っておくべき、なのだが…。なにか粗相をしたら怖いのでやめておいてる。つまり逃げね、うん。あ、この世界は女だろうが男だろうが当主にも王にもなれるよ。


 それと、さきほどチラッと触れた魔法の事だが、属性と内容があり属性は九個あって「火」「水」「草」「土」「風」「音」「光」「無」と伝説上のみに存在する「闇」がある。内容は数えきれないほどあるらしい。その属性と内容は生まれつき決まってたりする。たとえばヒロインちゃんだと「光」属性の「癒し」で、さきほど見かけたライバルちゃんだとかは「火」属性の「火の竜」だった気がする。攻略対象は全員忘れた。私の場合は「風」属性の「噂」だったりするんだよね。色んな人の噂が頭の中にながれこんでくる。私は頭が悪いのは絶対この魔法のせいだと思う。だって情報量がヤバすぎて他のことが一切頭に入らない。

 って、マジでヒロインが見つからないんだけどどうしてだろう。ヒロインちゃんはこの世界で唯一の黒髪だし、美人だし、明るくて無邪気な性格だし、で目立つはずだし、それに、サポートキャラの私や攻略対象と出会うイベントがあるはずなんだけど…。


 あ……。あの子かな…?黒髪だし…。でも…。まぁ、いい。とにかく話しかけてみよう。


「あ、あの…?」

「……なぁに?ゆりに話しかけてるの…?」


 ユリ…。ヒロインのデフォルト名だ…。やっぱりこの子が…。


「どうして何も言わないの…?ゆりにここを出てってほしいの…?」

「そ、そうじゃなくてっ!!」

「おこってるの…?」

「ごめんなさい…」


 どうやら怖がらせてしまったらしい。…あれ?ヒロインってこんな子だったっけ…?ゲームのヒロインはもっと明るかったような…?


「あの…どうして下を向いているんですか…?」


 下を向いているせいで、長い黒髪が顔を覆っちゃってるから顔が見えないんだけど……。


「なんで上をむかなくてはいけないの…?」

「いや、顔をみたいなーと…」


 ヒロインかどうか確認したいので…とか言えるわけない…。


「怖くないの…?」

「はっ!?」


 なにが?


「いや、どこもユリさんは怖くないですが…。」

「ほんとう?ゆりの顔を見たしゅんかん、にげたりしない…?」

「は、はい……。」


 え?なんで?顔面が不細工すぎるとか?でも、ヒロインって美少女設定だったよね?


「じゃあ、いいよ…。ゆりの顔を見せてあげる。」

「は、はい……。」


 ごくり…。


「ウウっ!!!」


 思わず自分の目を抑えて蹲ってしまった。


「やっぱりそうなのね…。ゆりの目がこわいんでしょ?」

「いえいえいえいえ!!!」


 いや、そうじゃなくて……


「ユリさんが美人すぎて!!目がつぶれるかと!!」

 

 ゲームで散々見て来たけど、リアルは破壊力が違った!!


「び、じん……?」

「言われた事ないんですか!?超美人ですよ!!!」

「そうなの…?あかい目はあなたはこわくないの……?」

「怖い…?というか物凄く綺麗です!!」


 確かヒロインの目は金色だったはずだったから設定と多少はずれるけどね!!!それでも綺麗なものは綺麗だよね!!!


「ありがとう……。あなた、名前はなんていうの?ゆり、とっても気になる…。」

「光栄です!!私の名前はアカツキ・コスモスです!!!」

「こうえい…?よろこんでるの…?だったらゆり、うれしい…。あかつき…おぼえたよ…。あなたもこの学園にはいるのね……?」

「はい!!これからよろしくお願いいたします!!」

「ふふふふ…。よろしく…。けいご、いらないよ…」

「あ、あざっす!!!!」

「あざす…?」


 よっしゃあああ!!!ユリちゃんをガンガンサポートするぜぇえええええ!!!この子のためだったらなんでもできる気がする!!



 * * * * * *



「あかつき、同じへやだね……。ゆり、とってもうれしい…」


 なるほど…。これがゲームの強制力か……。


「どうして無視するの…?ゆりがきらい…?」

「いやいやいや!!違うよ!!とっても嬉しい!!!」

「そうなの…?よかった…。」


 そういえばさ、ヒロインちゃんって攻略対象たちと会ってるのかな?あそこでほとんど全員と出会いイベントを済ませるはずなんだけど……。つーか、私の前世の記憶がこのゲームの記憶しかないのはどうしてだろ…。


「あのさ、ユリちゃん。さっきの舞踏会でフィアーノルレザンとか、スノウとかって人に会ってない?」

「……?だれ……?あかつき、知り合いなの?」

「いや、知り合いでは…」


 画面越しでは知り合いだったけどさ…。


「よかった…」


 え?なんで?


「あかつき、これからずっとよろしくね…」

「ずっと…?え、あ、よろしく」

「うん。ずっと、ずっと……」

「はぁ…?」


 この学園ってたしか六年間だよね…?それに部屋は一年に一回変わるはずだし……。まぁ、いっか。



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