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9.




「………影夜」

「わーってるよ。来てんだろ?」


二人が見るのは、倒したメノウではなく、メノウたちがいた場所の更に上。


「人!?」

「………いや、あいつは」

「【死月】が消えてから活動し始めた奴ね」


空に浮かぶ人影。狐の面を被っており、顔は見えない。


「やぁやぁ! 久しぶりじゃないか我らが姫!」


一瞬で青海たちの前まで来て、無愛の手を握る。


「君が消えたという報を受けたときは驚いたよ」

「……」

「まさかこんな人間どもの巣窟にいるなんて!」


わざとらしい演技に、無愛と影夜は冷めた目をする。


「脅されてたんだよね。じゃないと君が人間なんかといるわけがない」


すると人物は演技を止め、


「邪魔は消さないとね」


笑顔を作り、青海たちの方へ手を軽く振る。


「っ!!」

「全員、大丈夫か!」

「なんとか!」


それだけで衝撃波が起こり、無愛と影夜以外が吹き飛ばされそうになる。


「あれれ?? 殺すつもりだったんだけどな」

「………あんた、何者よ」

「僕? 僕は【遊月(ゆうげつ)】。能力は【遊戯(ゲーム)】さ」


かつて無愛たちと行動し、【死月】の裏で活動していた十の【月】の一人。


【遊月】。本名、不和悠悟。能力により約百件もの殺人を犯した犯罪者である。


「………はぁ、面倒になった」

「ん。でも、【遊月】、いるなら、動きやすい」

「その前に止めろ。青海に今死なれたら困る」

「えー、あんなの頼るの? 弱くなったねぇ」

「殺すぞ悠悟」

「【月】を名前で呼ぶのは違反だよ!」


青海たちとこの三人の緊張感の違いは知り合いというのもあるのだろうが、何よりも殺気になれているからだろう。


「………あんたら、よくこんな殺気漏れてる奴と話せるわね」

「なれだろ」

「このくらい、普通、だよ」


普通ではないから言っているのだが、ほとんどを人に追われて常に敵意を向けられていた無愛からすれば、普通である。


「他の奴らは?」

「暴れたり隠れたり人間に混ざってたりだよ」

「………探す?」

「ダルいからしない」


仲間だった相手に情もないのか、と目を向けられる二人だが、心配などしておらず、


「なんかあったら連絡するだろ」

「あいつら、捕まるヘマ、するはず、ない」


信頼とはまた違う何か。


「そもそも、捕まったところで助ける必要ないからな」

「薄情ね」

「利害、一致、してる、だけ」

「仲間ってワケではねぇしな」


あくまで利害が一致しているからこその協力関係。そこに仲間という輪はない。


「僕が【死月】を姫と呼ぶのは個人的なモノだからね」

「『我らが姫』とか言ってなかったか?」

「【月】の大半は姫って呼ぶよ」

「………やめて、言ってる、のに」


プイッと顔を背ける無愛を見るに、本当に嫌なのだろう。


「あんた………【遊月】だっけ。これからどうするの」

「またのらりくらりと旅するよ」


人と長時間共に生活するのは嫌だからね。そう言って、背を向ける。


「………さすがに、殺人犯放置できるほどじゃないぞ」

「僕とやるかい?」


瞬間、向けられる確かな殺意。

怯まなかったのは、これ以上の殺意を向けられたことのある影夜と無愛、青海、笙人のみ。






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