バトルロイヤル決勝戦
「いよいよバトルロイヤル決勝戦の開幕です! 決勝戦は、第1グループのクラウド対第2グループのメガネくんとなります!」
アナウンスの声が会場中に響き渡り、観客達の視線は、特設ステージにいるクラウドとメガネくんへと注がれる。
「予定通り決勝で会えましたね。」
「そっちは危なそうだったな。」
「お恥ずかしいです。」
「まぁ。無事に決勝戦で戦えるんだ。全力でやりあおう。」
少しの会話を終えると、両者は武器を構えた。
メガネくんは、杖の先端をクラウドへと向けている。
メガネくんの職業は、賢者というレア職業であり、完全な遠距離タイプである。
「それでは、決勝戦……開始!」
試合開始の合図と共に、俺一気にメガネくんへと接近する。
メガネくんと離れていては、俺の剣が届かないからだ。
「そうはさせませんよ。『ダークストーム』!」
「ぐはっ!?」
メガネくんの杖の先端からは、黒い色をした突風が発生し、俺を吹き飛ばす。
俺は態勢を立て直して地面に着地すると、直ぐに次の行動に移る。
「『ブルージェット』!」
「『ダークシールド』!」
俺は地面に剣を突き刺し、魔剣技を発動した。
少しはダメージを与えられると考えていた俺だが、黒い繭の様なものを展開したメガネくんに、俺のブルージェットは防がれてしまう。
「燃えろ! 『ダークフレイム』!」
「させるか! 『サンダーブレット』!」
メガネくんの放った黒い炎に対して、俺は電撃で相殺を試みたのだが、俺の電撃はダークフレイムに呑み込まれてしまう。
「チッ!? 本職には及ばないか。」
相殺に失敗した俺は、迫るダークフレイムを回避する。
「逃がしませんよ。『ダークウイング』!」
俺の回避した先に、メガネくんが放った黒い風の刃が迫る。
「くっ!? 『サンダーバースト』!」
数発の黒い風の刃を受けてしまったが、ギリギリで強化魔法を発動し、高速異動で魔法を回避した。
その後も、メガネくんはダークウイングを撃ち続けてくるため、中々メガネくんに近付けない。
俺はサンダーバーストにより、徐々にMPが減少していく。
このままじゃ、メガネくんのMPよりも、こっちのMPの方が先に切れたら終わりだな。
MPが無くなりサンダーバーストが切れたら、メガネくんの魔法を回避するのは難しいだろう。
数発は、喰らうのを覚悟して突っ込むしかないか。
俺は覚悟を決め、メガネくんへと距離を詰め始める。
「近付かせませんよ! 『ダークサイクロン』!」
メガネくんは、自分を中心に魔法を発動した。
「くっ!? 台風状態じゃねぇかよ。」
距離を詰め始めていた俺は、強風によって近付けない。
「くそ! 『サンダーブレット』!」
試しに電撃を放つが、ダークサイクロンによって弾かれてしまう。
「近付かせませんよ。」
メガネくんは、そのままの状態でダークフレイムを放つ。
近付くことも出来ず、距離を保っていても遠距離攻撃されることから、クラウドには打つ手がない状況と、観客達は思っていた。
「『ブルージェット』!」
「同じことです。『ダークシールド』!」
地面からの青い稲妻を防ぐために、メガネくんは再び黒い繭の中に隠れた。
「今だ! 『タケミカヅチ』!」
俺は、残りのMPを考えて、勝負に出ることにしたのだ。
「何をしても無駄です……よ。いない!?」
ダークシールドを解除したメガネくんは、クラウドの姿を見失う。
「『サンダァーー」
上空からの声に、メガネくんが空を見上げる。
「スラァーーッシュ!』」
「!? 『ダーク」
ダークシールドが間に合わないと悟ったメガネくんは、杖でクラウドの魔剣技を防ごうと構えた。
俺は、大量の雷を纏った剣を地上まで振り下ろす。
「……し、勝負あり! バトルロイヤル決勝戦! 勇者はクラウド選手です!」
俺は、握り拳を天高く突き上げた。




