リアルでの殺人事件発生
仮想世界において、バラバラ死体と遭遇したクラウド達。
どの様な結末が待ち受けていらのか!?
俺達は、闘技場周辺での事件現場に遭遇した。
多くのプレイヤーは、「単なるプレイヤーキラーがいただけだ」と口にしていたが、俺は職業柄、プレイヤーキラーには敏感になってしまう。
この前の、チナツとバード、ルキの一件もあるしな。
ゲームを続ける雰囲気でも無くなり、俺達は本日はお開きにしてログアウトした。
「ん〜、身体が凝っちまったな。」
俺は、部屋の壁掛け時計に目をやると、午前3時だった。
そして、机の上に置いていた携帯電話がチカチカ光っていることに気が付く。
「警察署から? こんな夜中に?」
俺達警察官は、何か重大な事件事故が有れば、休み無く呼び出される。
まぁ、俺の現在の勤務先である堂平警察署は事件が少なく、俺達警察官の間では、オアシスと呼ばれている警察署だ。
電話が有ったのは10分前か。
NMにログイン中は、連絡が分からないところが不便何だよな。
運営に改善点として、ログイン中も現実世界からの着信が分かるようにと報告してみようかな。
さて、色々と余計なことを考えていたが?何か有ったのだろうか?
「もしもし。連絡遅くなりました。地域課の雲河原です。」
「雲河原係長。電話に出なかったことについて、後で始末書を書くように。」
げっ!? 巌地域課長だ。
巌地域課長は、ガミガミ五月蝿く、頭ごなしに怒る昔ながらの人である。
確かに電話に出れなかった俺が悪いのかも知れないが、10分後に掛け直してるだろ? 風呂に入って電話に出れない時間と変わらないだろうに。
何かにつけて、始末書! 始末書! 始末書! 若手も毎日のように怒鳴られているし、俺が前に若手のフォローに入ったら、何故か俺まで始末書を書かされた。
パワハラで訴えてやろうか? てか、絶対若手が監察官にパワハラを訴えているだろう。
監察官ってのは、警察組織のお医者さんみたいな存在だ。
警察組織内の膿を取り除いたり、改善したりする人達のことだ。
話がだいぶ逸れてしまったので、電話に戻るとしよう。
「聞いているのか雲河原係長!?」
「すみません。」
「全く。係長がこんなんだから、最近の若い奴らは使い物にならないんだ。」
そう言いますけど、巌地域課長だって、緊急の案件で連絡した時に、3時間も連絡が取れない時があったじゃないか! 自分のことを棚に上げやがって。
「非常召集だ。殺人事件が起きたから直ぐに来い!」
……マジか。
まさか、オアシスである筈の堂平警察署で、殺人事件が起きるなんて。
それよりも、殺人事件が起きたなら、さっさとそう言えよ!
俺は電話を切ると、直ぐに着替えを済ませ、愛車に乗り込んで警察署へと向かった。
警察署へ辿り着くと、後から風雅と大野さん、日影も出勤して来る。
「いやぁ、ログアウトして早々に巌課長の激怒で、気分最悪だよ。」
「お前もか。」
お前も同じ目にあっていたんだな同士よ。
俺達が指示室へ向かうと、現場保存班、聞き込み班、防犯カメラの確認班、被害関係者から聴取班等が既に割り振られていた。
俺と大野さんは、現場保存班。
風雅と日影は、聞き込み班。
「来るのが遅い! さっさと現場へ行け!」
巌地域課長の怒鳴り声を、右から左に受け流し、俺達は割り振られた仕事をこなすために、動き始める。
俺が覆面車両を運転し、現場まで向かう。
既に白黒のパトカーは、現場保存で使用している為、俺達が現場に着いたら、今現場にいる勤務員が覆面車両で動くことになる。
「殺人事件が起きるなんて。」
大野さんは、実務経験が長く無い為、殺人事件の現場に臨場するのは、今回が初めてなのだ。
「そうだな。現場の状態を保存することも大事だが、現場に被疑者が戻ってくる可能性もあるから、周辺の警戒も怠らないようにな。」
被疑者は、自分の犯行を見ようと戻って来ることもあるからな。
特に放火魔は、自分で付けた火を見るのが好きな奴がいる為、現場に被疑者がいる可能性が高いと言われている。
「お疲れ様。交代に来た。」
俺達は現場に到着し、先に現場保存をしていた警察官と交代した。
因みに、現場は人通りの少ない空き家の敷地内である。
この空き家は道路沿いに位置し、道路沿いにはブロック塀等は無い。
現場には、赤色灯を点灯したパトカーが多数あり、普段は人が殆ど出歩いていないのに、赤色灯の明かりに群がるように、多くの人が集まっていた。
「大野さん。俺は一度現場を見てくるから、ここをお願いね。」
「はい。」
俺は現場に到着するなり、犯行現場を確認するために空き家の裏手に向かうことにする。
黄色い規制テープを潜り、中へと進むと田黒の姿を見つけた。
「おう。お疲れ様。田黒も呼ばれたか。」
「あっ!? 雲河原係長。寝てたら鬼電で起こされましたよ。」
刑事課の宿命だな。
俺は、田黒と一緒に被害者の確認に向かう。
「エゲツない殺し方ですよ。きっと犯人は相当ストレスが溜まっているのか、被害者を憎んでいたのか、正気の沙汰じゃないです。」
田黒が被害者に覆いかぶされていたブルーシートを捲ると、無残な被害者の姿があった。
被害者は、スーツ姿のサラリーマン風の男性だ。
名前は、沢野 弘。
顔面が潰され、頭部、胴体、右腕、左腕、右足、左足が切断され、血溜まりが出来ていた。
何だか、ついさっき同じような光景を見た気がするんだが。
事件概要について、田黒から簡単に聞いた。
田黒によると、偶々通りかかった人が、空き家の裏手に目を向けると、人の足の様なものが横たわっているように見え、不審に思って近付き、このご遺体を発見したそうだ。
この付近には、防犯カメラなんて物は設置されておらず、防犯カメラの確認はかなり遠くのカメラになってしまう。
カメラからの追跡捜査は、難航しそうだな。
「この状況で考えられるのは、血溜まりがあることから、切断したのは、この場所になるってことだな。」
「てことは、この場所で被疑者は被害者を襲って、切断したってことですか?」
「いや、それは分からない。何処かで被害者を襲い、この場所まで連れて来て切断した可能性もあるからな。」
被害者の普段の経路が割り出せれば、襲った場所の特定も出来るだろう。
俺は、自分の考えを田黒に話しながら、下に目を向けると、道路から発見場所まで遺体を引きずった痕跡を見つけた。
道路から敷地内への入りの場所付近を見回すと、携帯電話が落ちていたのが目に付き、拾い上げる。
携帯電話の画面を見ると、ロックが掛かっていなかった。
待ち受け画面を確認すると、顔が潰されて分かりにくいが、被害者の顔と家族と思われる者が写っていた。
俺は、そのまま通話履歴を確認する。
俺はここにくる前に、指示室で被害者の氏名と被害者家族の氏名を見ていたのだが、最後に通話していた者の名前は、『取引先』となっていた。
通話は、今から1時間くらい前に受けていたものだ。
この『取引先』ってのから、何度か着信が来ていたようだが、マナーモードだった所為で、誰にも気付かれなかったのか。
その時、取引先から着信が来た。
一瞬、出るかどうか悩んだが、何か情報があるかも知れないと思い、通話ボタンを押す。
「もっしも〜し。ねぇ、弘さん何かあったの? 悲鳴みたいのが聞こえたんだけど?」
女の声? 悲鳴を聞いているのか?
「もしもし。」
「あれ? 弘じゃない? 誰ですか?」
「私は、堂平警察署の雲河原という者です。」
「え!? 警察!? 弘に何かあったんですか!?」
「その前に、貴方のお名前と弘さんのご関係は?」
「恋人のエナです! それより弘さんは!?」
おかしいな。
被害者の沢野弘の結婚しているし、奥さんの名前はエナでは無かった筈なんだが。
「恋人さんだったんですね。沢野弘さんの件で大事な話があります。警察署で詳しい話を聞きたいのですが、堂平警察署まで来れますか?」
「一体何が!? 分かりました。直ぐに行きます。」
「先に一つ伺いたいのですが、貴方と通話中に、悲鳴が聞こえたんですよね?」
「そうなんです! 弘さんとは、顔を見ながら通話してたんです。そしたらいきなり弘さんが苦しそうな顔をして、その後悲鳴が聞こえたんです!」
沢野弘とこのエナって人は、お互いが見えていた訳か。
「弘さんの顔以外に、何か映っていましたか?」
「確か、堂平タバコ店って暖簾が映ってましたけど。」
俺は道路沿いを確認すると、現場である空き家の斜め向いに、堂平タバコ店を見つけた。
現場はここで間違いないようだな。
俺は通話を終え、堂平警察署にエナという人物が向かうことを知らせたのだった。
今回のおまけ
神;もしもし? あれ巌課長電話に出ないな。
雪;困りましたね。
風雅;いつも電話に何で直ぐに出ないんだ! って怒鳴ってる癖にな。
日影;私も始末書書かされました。課長も始末書ですね。
神;書かないだろうな。……書かせたい気持ちはあるが。
雪;それよりも、どうしましょうか?
風雅;課長が無断欠勤しましたって報告してやろうぜ!
日影;そうです! それがいいです!
番匠;賛成っス! マジであの課長ムカつくっス!
神;連絡が取れないと、休みの理由が分からないから困ったな。
風雅;それより、幹部会議の時間だぞ? どうするんだ?
雪;係長の出番ですね!
神;俺が行くのかよ?
風雅;階級順で行ってお前だろ!
神;はぁ〜、昇任なんてするもんじゃないな。
署長;巌課長はどうした?
神;すみません。連絡が付きませんでした。
署長;幹部として弛んでいるな。部下に示しが付かないじゃないか。
神;は、はい。
署長;巌課長には、私から厳しく言っておこう。
1時間後。
巌課長;いやぁ、通勤中に事故渋滞に嵌まってしまったよ。
神;……巌課長。朝電話したのですが?
巌課長;運転中に電話なんて出来る訳が無いだろうが! そんなことも分からんのか!
神;運転中はそうですが、渋滞で止まっていたんですよね?
巌課長;渋滞でもノロノロ走るだろうが! 違反になるだろうが! 馬鹿者め!
神;(我慢だ。我慢するんだ俺。)。……遅刻するなら、職場に一本電話を入れるのが筋では無いですか?
巌課長;一々停車していたら、更に遅くなるだろうが
! 少しは考えろ!
神;(やはり、コイツに常識は通用しないようだ。何で組織は、こんな人間を課長クラスの階級にしてしまったのだろうか。)
武道訓練
巌課長;たまには運動しないとな。ホレ、大附掛かって来い。
大附;やぁ〜。
巌課長;弱い、弱過ぎる。そんなヘッポコ警官何ぞ要らないぞ!
神;大附。こっちに来い。
神は、更衣室に大附を連れて行き、垂に付けている名前を付け替える。
大附;係長!? 流石にバレますって!?
神;大丈夫だ。アイツは俺達のことなんて碌に見ちゃいない。
巌課長;何だ大附? また俺に挑むのか? いいだろう。
神;やっ! めーーん!
巌課長;ば、馬鹿な!? もう一度だ!
神;どおぉぉぉぉぉぉぉお!!
巌課長;ぐっ!? 調子に乗りおって!
神;こてぇええええええええええええ!
巌課長;貴様!? よくもやりおったな!
その後も巌課長は、何度も神に打ち込まれ、足腰が立たなくなった。
巌課長を放っておいて、更衣室に向かう面々。
神;あーースッキリした。
大附;係長。ぼ、僕、後で課長に殺されないでしょうか?
神;アイツは、自分より弱い人間にしか突っかかれない男だから大丈夫だよ。
大附;は、はぁ。
巌課長;だ、誰か手を貸してくれ! 大附があんなに強かったなんて。もうアイツとは関わらん。
道場の板の間の上で、巌課長は1時間動くことは出来なかったのだった。




