クラウドの無双
昨日、1ヶ月を突破した本作は、読んでくださる皆様のお陰で、10,000PVを突破することが出来ました∑(゜Д゜)
また、ブクマと評価をいただき、VRランク81位となりました(´⊙ω⊙`)
本当に、ありがとうございます(^人^)
これからも、本作を読んでいただけたら幸いです!
今回は、ソロで行動する主人公のお話です(๑╹ω╹๑ )ノ
「こんにちはクラウド様。本日はお一人ですか?」
冒険者ギルドへ足を運んでいた俺に対し、プルクラさんが声をかけて来た。
通常であれば仕事の日なのだが、俺は本日年休を取得して休暇中なのである。
だから、当然ヴァンとスノウは仕事中だ。
シャインは学校だし、シグレはメッセージを送ったが返事も無く、フレンド画面もログイン表示されていない。
そんな訳で、俺は本日一人でNMをプラスしている。
「いつも何方かと一緒なので、珍しいですね。」
「そうですね。」
なんかプルクラさんが周囲を見回して、ソワソワしているような気がするが、気の所為だろうか?
「一人なので、何処かでレベル上げでもしようと思ってるんですけど、オススメの場所とか知りませんか?」
クエストをこなしてもいいんだが、みんなと一緒にクエストはやりたいからな。
少しでもレベルを上げて、みんなを驚かせてやろうと思っていたのである。
「……(私をデートに誘ってくれてもいいんですよ?
)そうですか。そうですよね。」
「プルクラさん?」
「う〜ん、そうですねぇ……タダと言う訳には……。」
成る程、情報にはお金が掛かるものだ。
タダで教えてもらおうなんて、ムシが良すぎるよな。
「えっと、幾らですかね?」
「(……そうではないのですが。鈍感さんなのでしょうか。)……それでは、今回は貸しと言うことで。後で、私のお願いを聞いて貰えますか?」
……貸しか。プルクラさん、どんなお願いがあるんだろう。
お金の方が、気楽だったんだけどな。
「分かりました。」
俺の返事に満足したのか、プルクラさんはいつもより笑顔になった気がする。
「ここから西に進んだ草原には、アントと呼ばれる蟻型モンスターが出現します。」
プルクラさんの話している、アントというモンスターは、ネットで調べて既に知っているモンスターである。
中型犬くらいのサイズの蟻であり、大して強く無い上に、経験値も多くない。
更に、アントは仲間を呼ぶ為、倒すのにもたつくと、直ぐに蟻に囲まれてしまうらしい。
低レベルプレイヤーは、アントの餌食になるそうだ。
とは言っても、アントは雑魚モンスターの為、遭遇しても即討伐といった感じのモンスターである。
「……それは知っていますが。」
レベル上げのオススメを聞いたのだが、何故アントの話に? アントでレベル上げなんて、どれだけ倒せばレベルが上がるんだ?
「アントは、特殊スキル『仲間を呼ぶ』があります。」
「それは知っていますけど、それとレベル上げの関係は?」
アントが仲間を呼んだところで、同種の雑魚が増えるだけだ。
それ程効率が良いとは思えない。
「他のモンスターは倒してしまった後に、移動するかリポップ待ちすると思いますが、アントならその場で戦い続けることが出来ます。」
確かに、永遠と仲間を呼び続けるので、移動時間やリポップ待ちの時間は短縮出来るが、それでもまだアントの経験値が少な過ぎる為、その案はどうかと思ってしまう。
しかし、プルクラさんがオススメとして紹介してくれたのだから、やらないのも失礼だろう。
「分かりました。アントと戦ってみます。」
「はい。クラウド様に幸運が訪れますように。」
プルクラさんの意味深な言葉に首を傾げると、頑張って下さいと笑顔で見送られた。
俺は、プルクラさんに言われた通り、西の草原フィールドに向かい、現在アントと交戦中である。
最初に遭遇したアントは、1体のみであったが、現在俺を取り囲んでいるアントの数は64体となった。
何故こんなに増えているかというと、話は俺がアントに遭遇した時に遡る……。
「取り敢えず仲間を呼ぶまで待つか。」
俺は遭遇したアントの攻撃をいなしつつ、アントの特殊スキルである、『仲間を呼ぶ』を発動するまで戦闘を引き延ばす。
アント一体の経験値は、この辺のモンスターで言うと、10分の1しかない。
「ジーー!」
アントが鳴き声を上げると、アントが突如現れる。
アントが特殊スキル『仲間を呼ぶ』を発動したのである。
「よしよし。その調子だ。」
俺は、まだアントには手を出さず、攻撃をいなし続ける。
「「ジーー!」」
2体のアントが更に特殊スキル『仲間を呼ぶ』を発動し、俺の周りのアントが4体になる。
「どんどん呼びな。」
その後も攻撃をいなし、4体のアントが更に仲間を呼び、合計8体のアントとなる。
その後も数を増やすアント達。
……16体、32体、64体。
そして、現在の状況に至った訳である。
そろそろ頃合いだな。
というよりも、増やし過ぎた気がする!?
「ハッ!」
アントの数がだいぶ増えたので、攻撃を開始する。
斬る、斬る、斬る、斬る、斬る、斬る、斬る、斬る。
斬って、斬って、斬りまくる。
「全然減ってる気がしないんだが? 寧ろ、増えてる?」
幾らアントが雑魚モンスターと言えど、クラウドが20体倒している間に、残りの44体が更に仲間を呼ぶ為、合計88体となり、数が減るどころか増えているのである。
「……いつもパーティーで戦ってたから、自分の殲滅力を誤ったな。」
やってしまったと思いながらも、アントを倒し続けるが、アントは増え続ける。
サンダースラッシュやサンダーブレットは単体技だし、サンダーバーストで速度を上げても仲間を呼ぶ速度に追い付けそうになかった。
「これは、正に蟻地獄だな。」
俺は、抜け出せないこの状況を理解した。
いや、抜け出そうと思えば、一点突破で抜けられそうではあるが、そもそもレベル上げに来たのだから、倒せるだけ倒そうと決意する。
「ハッ! ヤァ! セイ!」
次々に切り倒して行くが、流石に囲まれているだけあって、アントの攻撃を受ける時もある。
しかし、アントは雑魚モンスターの為、一撃のダメージは大したことはない。
塵も積もれば山となるという言葉があるように、ダメージもほったらかしにしておくと、HPゲージが半分を直ぐに下回ってしまう。
タイミングを見計らって、回復アイテムを使用し、また直ぐに切り倒す。
「ふ〜、何体倒してかも分からないな。」
俺のレベルが1上昇し、レベル19となっていた。
「よし。後1レベルでレベル20だ。」
この蟻地獄に嵌って、嫌になり始めて来ていたが、レベルが上昇していると知り、テンションんが上がった。
キラン
「何だ?」
俺が相手をしているアントの色は、黒一色なのだが、俺の視界に、一瞬銀色が目に付く。
周りのアントを斬り倒し、銀色が見えた方を斬り開く。
「ジー!」
「何だコイツは?」
俺の目の前には、銀色の身体をした、アントの姿があった。
「メタルアント? ネットでもコイツの情報は無かったぞ。」
俺は、始めて見るメタルアントを警戒する。
「ジー!?」
「あっ!?」
なんと、メタルアントは俺に背を向けて逃走したのである。
「おいおい、逃げるのかよ!?」
俺は何とかメタルアントを仕留めようと、追いかけるが、直ぐに通常のアントが割り込んで来てしまい、メタルアントを見失ってしまった。
「……もの凄い気になるんだが。てか、お前ら邪魔なんだよーー! 『サンダーバースト』!」
俺は、メタルアントの追跡を邪魔されたことに腹を立て、サンダーバーストを発動する。
MPが無くなるまで、付近にいたアントを斬り倒す。
「はぁはぁはぁ……疲れた。全然減ってないし。」
空かさず、サンダーバーストで失ったMPを魔力回復薬で全回復する。
その時、俺の視界がメタルアントの姿を捉えた。
「見つけたぞ!! 今度は逃さん! 『サンダーバースト』!」
俺は、再びサンダーバーストを発動し、メタルアントまでの間にいるアントを切り倒す。
「喰らえ! 『サンダースラッシュ』!」
ハイ・リザードマンすら斬り伏せた、サンダーバーストからのサンダースラッシュだ。
メタリックな身体をしていても、これなら喰らう筈。
カンッ!
「ジー!」
メタルアントに、ダメージを受けた様子は無かった。
「はあ!?」
自身の最大攻撃であるサンダーバーストからのサンダースラッシュを受けて、ビクともしないメタルアントに間の抜けた声が出てしまう。
「ジー。」
メタルアントは、動かずに俺の様子を見ていた。
「何なんだよコイツは? 絶対倒してやる!」
俺は剣を構え直し、次々と攻撃を繰り出す。
カン! カン! カン! カン! グサ! カン! カン! カン! グサ!……。
「お前どんだけ硬いんだよ!?」
メタルアントの身体の硬さに嫌気がさして来るが、先程の攻撃で、2回だけ手応えを感じていた。
「斬って斬って、斬り続ける!」
カン! グサ! カン! カン! グサ! カン! カン! カン! カン!……。
「ジー!」
今まで動かなかったメタルアントが、遂に動きを見せた。
まさか、また逃げるんじゃないだろうな!?
「ジーー!」
メタルアントは、先程とは違ってクラウドへ向かって、体当たりを繰り出した。
「うぉ!? 攻撃もしてくるのか! いい加減に倒れろ!」
俺の繰り出した攻撃がグサッと音を立て、メタルアントの姿が消滅する。
「やった!?」
メタルアントは、ダメージが通りにくい代わりに、HPがかなり低く設定されているのか。
俺がステータスを確認すると、レベル23に急上昇していた。
「はぁ!? いきなりレベル23? まさかさっきのメタルアント。」
低レベルでモンスターを倒したなら、いっきにレベルが上昇することも分かるが、現在のクラウドはレベル19から23に上がっており、この辺のモンスター(アントを除くが)を、数百体倒したのと同じだけの経験値を得たことになる。
「プルクラさんのレベル上げにオススメってのは、こういうことだったのか。」
プルクラさんには、感謝だな。
「それにしても……。」
俺は、メタルアントを倒すのに必死で、アントを放置してしまい、アントの数が更に膨れ上がっていた。
もう、500体くらいいるんじゃないだろうか?
俺はアントを斬り倒しながら、増えすぎてしまったアントをどう処理するか悩みながら、メニュー画面をチラ見する。
別にログアウトしてしまうという手が無いわけでは無いのだが、一定時間このアントの大群をフィールドに放置することになってしまうのだ。
一応、フィールの奥の方まで来て、周りに他のプレイヤーが居ないのは戦闘開始前に確認はしているのだが、通りかかったプレイヤーが居たら可哀想である。
何か、突破口は無いかと自分のステータス画面を確認すると、職業が『勇者』から『魔剣の勇者』へとクラスチェンジしていた。
「そうか。レベル20を超えたからクラスチェンジしたんだな。」
クラスチェンジしたことで、ステータスも大きく向上しており、クラスチェンジボーナスでスキルポイントを20獲得していた。
「これは、……これなら行ける!」
俺はスキルポイントを20を消費して、新技を覚える。
「喰らえアント共! 魔剣技『ブルージェット』!」
俺は剣を地面に突き刺し、魔剣技ブルージェットを発動する。
地面からは、青色の雷が空へ向かって迸り、次々とアントを呑み込んでいく。
周囲に居た、100体近いアントは今の一撃で全て消滅する。
「……これはヤバイな。」
一撃で100体を仕留める大技なだけあって、一度で全てのMPを持っていかれてしまった。
「消費MPも半端ないな。」
俺は直ぐに魔力回復役を使用し、再び周りに集まって来ていたアントの群れにブルージェットを発動する。
アントを殲滅宙に、メタルアントが3体現れたが、1体は逃走されてしまった。
「ふぅ〜、やっと終わったか。」
全てを倒し終えた俺のレベルは、30に達していたのだった。
「今日は疲れたからもう帰るか。」
クラウドが大量のアントと戦闘中に、それを目撃していたプレイヤーが、「アントに囲まれて詰んでる弱小プレイヤーを見た。」と、あちこちで言いふらし、笑い者になっていたのだが、ログアウトしたクラウドが知る由もない。
「どうやら上手くいったようですね。」
その話を耳にしたプルクラだけは、一人満足そうな笑みを浮かべていたのだった。
今回のおまけ
クラウド;さぁ、朝でなく、夕方になってしまいましたが、「今日は何の日コーナー」です!
作者;いやいや、もう夕方だから、誰にそのネタを話せばいいんですか!?
クラウド;そ、それは、作者が悪いんだ!
作者;そ、そんなこと言わないでよ!? こっちだって頑張ってるんだよ! 泣いちゃうよ!?
クラウド;いい大人が泣くな。みっともない。
作者;いいから、早く教えてくれよ。
クラウド;開き直りやがったな! まあいい。今日は何の日かと言うと、……そうだな。『肉の日』と『クレープの日』だ。
作者;なんで間があったんだ?
クラウド;他にも記念日なんだが、説明が面倒だった。
作者;手抜きしてんじゃねぇよ!?
クラウド;黙れ。斬るぞ?
作者;どうぞ、続けて下さい。
クラウド;肉の日は分かるよな? 只の語呂合わせだ
。2(に)、9(く)。今日は肉が安いから、夕飯は肉料理の家が多いだろう。仕事帰りの旦那さん、部活帰りの学生さん。喜べ、今日は肉が喰るぞ。たぶんな。
作者;確かに、スーパーの肉は安かったですね。
クラウド;それから『クレープの日』ってのは、クレープを巻いた形が『9』に見えるからだそうだ。
作者;へ? それなら、9日と19日と29日、月に3回あるんじゃ?
クラウド;正解だ。
作者;帰りにクレープ屋さんに立ち寄れば、きっと割引されてますよ! 甘党の方はクレープ屋まで!
クラウド;ついでに明日の分もやるぞ!
作者;はい? 何で明日の分まで?
クラウド;明日のストックが無いからに決まっているだろうが!? さっさとおまけを書いてないで、次回の話を書きやがれ! この駄目人間が!
作者;よかろう。クラウド。作者に暴言を吐いたんだ。相応の覚悟は出来ているんだろうな?
クラウド;な、何だと!? ま、待て! 今のは無しだ!
作者;それが謝る人間? の態度か?
クラウド;お、俺が悪かった。ごめんなさい。
作者;次はないぞ。
クラウド;心得た。……初の「明日は何の日コーナー」。
作者;明日は、『3分間電話の日』だ。
クラウド;な、俺の台詞を!?
作者;何か文句でもあるのか?
クラウド;い、いえ! ありません!
作者;1970年1月30日、公衆電話からの通話料金が、それまでは1通話10円の時間無制限だったのが、3分で10円になったんだ。
クラウド;昔は10円で無制限だったのか!?
作者;そうだ。今では3分10円と、かなりの値上げだな。
クラウド;公衆電話って、あまり見かけたくなったよな?
作者;携帯電話が普及した世の中では、利用客が少ないからな。
クラウド;それで数が減ってしまったのか。
作者;それでも、携帯電話が圏外なんてことになったら、公衆電話は大活躍だ。公衆電話は無くてはならない存在なんだよ。
クラウド;そ、そうなのか。
作者;公衆電話ボックスなんて、雨宿りに最適じゃないか!
クラウド;おい。公衆電話ボックスを雨宿りに使うんじゃない!?
作者;いや、絶対に雨宿りに使った経験のある人は大勢いる筈だ! 俺がそうであるように!
クラウド;なんて、公衆電話利用者に迷惑な奴なんだ。
作者;いや、利用者が来たらちゃんとボックスから出ていたぞ。
クラウド;そ、そうか。




