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レイドボス〜決戦〜

プロローグ部分へと到達しました。

メインヒロインが登場します!

え? 洞窟に最後に来た少女がメインヒロインかって?

いえいえ、そんな訳ないですよ!


 俺達は、一斉にボス部屋へと突入した。


 ボス部屋は、薄暗いがかなりの広さがあり、辺りの壁に松明がいくつも設置されている状況だった。


 ガシャーーン!!


「きゃっ!」

「大丈夫かシャイン?」

「う、うん。」

 俺達の入って来た門は、大きな音を立てて、入り口を固く閉ざした。


「どこにボスが居るんだ?」

 ボス部屋の奥まで見通せるが、ボスの姿が見当たらない。


「こういうのは、広場の中央辺りまで行けば出てくるもんだ。」

 ヴァンの言う通りかも知れない。


 俺達は、ヴァンの言うように少しずつ広場の中央に向かって歩き始めた。


 先頭を歩くプレイヤーが広場の中央より、やや手前に差し掛かった時、俺達の目の前にボスが落ちて来た。


 いや、上から落ちてくるのかよ! いきなり出現なら分かるけど、先頭プレイヤーが走って広場中央を目指してたらペシャンコで一発deadじゃねぇか!


「で、でけぇ。」

「身体もだが、武器もデカイな。」

「こ、こんな奴に勝てんのかよ!」

 プレイヤーの多くが、ボスの見た目に萎縮してしまっていた。


「う、狼狽えるな! 前衛と後衛に分かれろ! 」

 ナイトもボスに萎縮し、足も声も震えていたが、何とか指示を出す。


 ボスの名前は、キングゴブリン。

 武器は、大剣(ビッグソード)

 プルクラさんからの情報通りだな。

 てことは、取り巻きも居るはずなんだが、見当たらないな。


「クラウド。『アタックアップ』。これでいつも以上に攻撃力が上がる。頑張ってね。」

「サンキューシャイン。」

 シャインは、俺とヴァンとスカイにアタックアップの魔法を掛けて、攻撃力を強化した。



「お、おう。」

 前衛のプレイヤーも迂闊に近付くことはせず、間合いを保って様子を見ていた。


 おいおい、お前ら何やってんだよ!?


「馬鹿野郎!! そこは奴の間合いだ!」

 俺は、咄嗟に大声を上げて指示を出す。

 敵の大きさと武器の大きさを見誤っている! そこは奴の射程圏内だ!


「え?」


「ギィギャーー!!」

 キングゴブリンの一太刀が、プレイヤーを襲い、一番近くに居たプレイヤーが吹き飛ばされる。


「ったく、シャイン。ヒールを!」

「う、うん。」

 このキングゴブリン、図体の割にかなり攻撃が速い!

 それに、あの図体と武器の大きさから考えるとかなりの威力もあるだろう。

 遠距離でジワジワ削る方が賢明か。


「う、うそ。」

 何でシャインはヒールを使わないんだ。


 どうしたんだ? シャイン早くヒールを。


「え? dead。一撃で?」

 先程、キングゴブリンの攻撃を受けたプレイヤーは、一撃でHPを全て持っていかれていた。


「おいおい、どうするよクラウド。」

「どうって、取り敢えず、遠距離で攻めるのが定石じゃねぇの?」

「賛成。俺でもアイツの攻撃に何度耐えられるか分かんねぇ。」


 みんな萎縮していて、動けていないな。

 ここは、一発入れて流れを変えないと。


「『サンダーブレット』!」

 俺は、掌をキングゴブリンに向けて、雷の弾丸を放つ。


「ギギィ!?」

 もうちょっとダメージ受けろよ! 今のでHPゲージが少しだけしか減らないのか。


「ダメージは通る。遠距離攻撃で削るんだ。前衛は無理に攻め込まず、確実に敵の攻撃を防御しろ! ダメージを受けた者は直ぐに後退して回復! 勝てない敵じゃない!」

 もっとダメージが与えられれば、士気を高められたんだが、今できる指示はこんなものだろう。


「「おおーー!!」」

 何とか、持ち直してくれたみたいだな。


「ギギギギギギーー!!」

 うるせぇ!? 雄叫び?


「うわぁ!」

 プレイヤーが突如前に吹き飛ばされる。


 な、なんだ!? 前に飛ぶってことは、後ろか!?


 俺が後ろを振り返ると、背後にはボスゴブリン1体の他に、ゴブリンソード3体、ゴブリンランサー3体、ゴブリンマージ3体が現れていた。


 HPが減少したら、取り巻きを呼ぶってことかよ!


「背後だ!」

 俺の咄嗟の叫びに、反応したのは、フードの者と長身の弓使いの女、最後に来た少女の3人だった。


「と、取り巻き担当は、背後に移動だ!」

 ナイトも直ぐに取り巻きに気が付き、事前に決めていた通りの指示を出す。


 挟み撃ちされたか。

 運営はかなり悪趣味な連中なようだ。


 背後に10名のプレイヤーが行ってしまい、キングゴブリンの相手を生き残っている19名ですることになった。


「俺が敵の防御力を下げる。『ディフェンスダウン』!」

 男性プレイヤーが、キングゴブリンの防御力を減少させる。


 いい仕事するじゃねぇか。


「『ファイヤー』!」

「『ウインド』!」

「『サンダー』!」

「『ファイヤー』!」

 後衛のプレイヤーは、MPの続く限り、次々と魔法を撃ち込んで行く。


「『サンダーブレット』! その調子だ! MP切れた奴は直ぐに回復しろ!」

 俺も遠距離攻撃を連続で放ち、キングゴブリンのHPを削る。


 その間も、キングゴブリンはダメージを受けながらも、前衛を攻撃し、前衛プレイヤーのHPを削っていく。


「『ヒール』!」

 シャインは、負傷した前衛プレイヤーや取り巻きを担当しているプレイヤーの回復に追われていた。



 ん?

 キングゴブリンの様子がおかしい? 何だあの構えは?


 それは、キングゴブリンのHPゲージが3分の1まで減少した時に起こった。

「ギィーーギギィ!」


 キングゴブリンは、遠距離攻撃を受けているが、怯むことなく前衛プレイヤーを無視して、後衛プレイヤーへと向かって行く。


「ま、マズイ!? 逃げろ!!」


「え?う、うわぁ!?」

 後衛プレイヤーは、次々とキングゴブリンの大剣の餌食となり、deadされてしまった。


「シャイン危ない!!」

くそっ!? 俺のところからじゃ、シャインのところまで間に合わない!!


「くっ!」

シャインも杖を構えるが、キングゴブリンのあまりの大きさに足が竦む。


「ギギギィィ!!」

「あぶなーい!!」

キングゴブリンの大剣がシャインへと振り下ろされる直前、スカイがシャインを突き飛ばす。


「きゃっ!? え? スカイさーーん!」

スカイはキングゴブリンの一撃が直撃し、deadされた。


「シャイン無事だったか。」

「う、うん。でもスカイさんが。」

「ああ、スカイありがとう。」

捨て身でシャインを守ってくれるとは、スカイお前のことは忘れないぞ。


標的を変えたキングゴブリンは、近くにいた別の後衛プレイヤーに狙いを付ける。


「く、くそっ! タダでやられるかよ! 『ディフェンスダウン』! がはぁ!」

 おお!! 名前は分からないが、ナイス働きだ。

 君の死は無駄にしないぞ。



 ……それにしても。


「くそっ! スタンして動きが止まるとか無いのかよ!」

「あの突進は反則だろ。あんなの止められないぞ。」

 俺とヴァン以外のプレイヤーも、キングゴブリンの行動に驚愕していた。


 地面には多数の人間の死体、いや、防具を身に纏ったアバターが転がる。


 本当の死体だったら、大事件だし、もっと血の臭いが充満していたことだろう。


 しかし、この大人数が地面に転がっている状況は中々恐怖心を煽る光景だ。


 俺の正面には、通常のゴブリンの5倍の大きさはある、キングゴブリンが大剣(ビッグソード)を今も振り回している。


 後衛の援護が無くなってしまい、キングゴブリンは前衛プレイヤーを襲い始める。


 キングゴブリンの大剣により、数名の武装した者が大剣で吹き飛ばされ、HPゲージが一瞬で持っていかれピクリとも動かなくなる。


「ちっくしょーっス! 俺の仲間をよくもっス! 負けないっス!」

 バーニングは、槍を巧みに操り、キングゴブリンにカウンターを決め、直ぐに離脱と、ヒットアンドアウェイを繰り返していた。


「これでも喰らえっス! 『ファイヤーピアス』!」

 バーニングの槍が炎を纏い、鋭い突きをキングゴブリンへと叩き込む。


「ギギィィィーー!!」

 キングゴブリンの攻撃がキャンセルされた? 一撃の威力が高ければ、キャンセルは有効なのか!?


「ざまぁみろっス!」


 バーニングにやられたキングゴブリンは、標的を変えて別のプレイヤーへと襲いかかろうとしていた。



「ひいー、い、いやだーー!」

 その光景に恐怖し、逃げ出そうとした者は、武器を投げ捨てて入ってきた扉の方へ走り出し、背後に控えていたゴブリンランサーに突き殺されてしまう。


 俺達が入って来た入りの門は硬く閉ざされており、このキングゴブリンを倒さなければ、開くことは無い。


 恐怖でそのことも忘れてしまっていたのだろう。


「逃げるな! 打ち合わせ通り、陣形を組んで挑むんだ!」

 ナイトが剣を掲げて指揮をするが、皆、恐怖に足が竦んで動くことが出来ない。


 いくらこの世界が仮想世界と分かっていても、怖いものは怖いのだ。


 俺だって、現実世界で危ない現場は何度か体験しているが、この光景は流石にちょっとと思う。


「動けよお前ら! これじゃ全滅するぞ!」

「最初のレイドボスがこの難易度って、このゲーム糞じゃねぇかよ!」


 俺の周りのプレイヤーは、身体は動かないが、口だけはよく動くようだ。


 情報収集等の事前準備を怠った結果だろう。

 俺も、次からは情報共有してボス戦に望むことにしよう。


 それと、ナイトは指揮してる割に、一度もキングゴブリンに近付いていない。

 情け無い……俺が最初から指揮した方が良かったか?

 まぁ今回指揮しなかった俺が言うことじゃないな。



 ヴァンからこのゲームには、若者が沢山ログインしていると聞いていたが、最近の若い奴らは、やっぱり弛んでるし、物事の順序が分かってないな。


 どうせ、最初のレイドボスだから簡単に倒せるだろうとタカをくくっていたのだろう。


 まぁ、このゲームをやっている理由(建て前)である、俺の教育力の向上と若者特性の把握には丁度いいな。


 少しは参考になっている。……筈だ。


「おい。クラウド動けるか?」


「ん? 誰に聞いてんだよ? ヴァン。行けるに決まってんだろ。」

 俺が考え事をしていると、パーティー仲間のヴァンが声を掛けてきた。


「俺がボスの大剣を銅盾(カッパーシールド)でガードして隙を作る。その隙に。」


「オーケーだ。行くぞ!」

 俺は、銅剣(カッパーソード)を持つ手に力を入れて、ヴァンとと共に駆け出す。


「来いや醜いゴブリン野郎!」

 ヴァンが挑発すると、キングゴブリンの大剣がヴァン目掛けて振り切られる。


「うおぉぉぉーー! 俺の防御力を舐めるなよ!」

 ヴァンは腰を少し落として、キングゴブリンの大剣を銅盾で受け止める。


 ヴァンの両足は地面を抉りながら、数十センチ後退させられるが、他のプレイヤーの様に吹き飛ばされることなく、キングゴブリンの攻撃を受け止め切ることに成功する。


「行けクラウド!!」

「ナイスだヴァン!! 後は任せろ!!」

 俺はヴァンの背後から姿を現し、キングゴブリンが大剣を受け止められた隙を見逃すことなく突っ込む。


「喰らえ! 『サンダースラッシュ』!!」

 俺はキングゴブリンのガラ空きになっている脇腹目掛けて、俺の保有するスキルで一番攻撃力のある魔剣技を放った。


「よっしゃ!」

「やったか!?」

 つい口から出てしまった言葉だが、大抵この言葉を言った時は、やっていない時だろう。


「ギイィィィ!!」

 案の定、キングゴブリンは生きていた。


「大ダメージを与えることには成功したな。」

「そうだな。」

 俺達の攻撃により、生き残っていたプレイヤーの士気を高めることには成功したようで、他のプレイヤー達もぎこちないながらも、動き出し始める。


「これなら大丈夫そうだな。」

 安堵したのも束の間、キングゴブリンは、残りHPが僅かとなり、明らかに攻撃力と攻撃速度が上昇した。


 おいおい、ゲームにありがちな展開だな。


 火事場のバカ力ってやつか。


 強化されたキングゴブリンの攻撃により、生き残っていたプレイヤーが次々と吹き飛ばされて、動かなくなっていく。


「……不味いな。残りのメンバーは僅かだ。このままじゃ全滅しちまう。」

 ヴァンの言う通り、キングゴブリンを倒すことは厳しい状況だな。


 その時、俺の背後から物凄い速さでキングゴブリンへと向かう人影を見た。


「続いて。」

 その声は、凄く澄んでいて、とても綺麗な声をしていた。


 俺はその声に反応して、直ぐにその人の後を追う。


「ギギギィィアア!!」

 キングゴブリンに気付かれ、俺達がアタックした時よりも素早く、威力のありそうな一撃が降り注ぐ。


「ふっ!」

 その人は、物凄い速さでキングゴブリンに向かっていたのだが、更に加速して、その一撃を回避する。


「やぁーー!!」

 その人は、素早い連続攻撃で、キングゴブリンのHPを削って行く。


 しかし、その人の攻撃速度は凄まじいものだが、一撃一撃の威力が軽いようで、キングゴブリンの攻撃をキャンセル出来ず、キングゴブリンの次の攻撃が放たれようとしていた。


「危ない!! 間に合え! 『サンダースラッシュ』!!」

 俺は、その人へキングゴブリンの攻撃が放たれる前に、キングゴブリンに魔剣技を放つ。


「ギギィァァァァ!!」

 キングゴブリンは消滅し、クエストクリアの文字が大きく表示された。


 勝った。

 最後の一撃は、上手くカウンターが決まったな。

 かなりの手応えだった。


「「うおぉぉぉぉぉ!!」」

 一瞬の間の後に、生き残ったプレイヤー達の歓声が上がる。


「やったなクラウド。」

「ああ。……君のお陰だよ。ありがとう。」

 俺はヴァンに返事をした後に、素晴らしい動きをして、勝利を導いたプレイヤーへ手を差し出してお礼をしようとした。


「ナイス攻撃。貴方が居なかったら私もやられていました。こちらこそありがとうございます。」


「俺はクラウドだ。」

「私はスノウと言います。」

 俺はこの人の後ろ姿しか見ていなかったが、彼女はとても綺麗な顔をしており、銀色に輝く長髪と瞳、すらっとした体型をしていた。


 俺は、彼女を美しいと思った。


 ゲームとは分かっていても一目惚れしてしまった。


 勿論、彼女は、このNew Me(ニュー ミー)というゲーム世界のアバターで、現実世界の姿ではないのだろうが。


スノウのイラストです↓

挿絵(By みてみん)

今回のおまけ


スノウ;あれ? 私達が取り巻きと戦ってるシーンは?


作者;汗汗汗


巨乳の弓使い;心配しなくても、ちゃんとあるんでしょ?


作者;ダラダラダラ


少女;私の活躍が無いなんて許さないですよ〜。


作者;ひゅーひゅー


スノウ;口でひゅーひゅー言って、誤魔化さないで下さい。


巨乳;嘘でしょ? 本当に出番ないの?


作者;いや、出番はですね。


巨乳;だって、私の名前『巨乳』とか『長身』とか『弓使い』だよ! 何この扱いの差は? スノウは名前が出たじゃない!


少女;そんなこと言ったら、私なんて少女ですよ! なんか処女みたいじゃないですか! ちゃんと美少女にして下さいよ〜。


作者;あ〜名前ですよね。次出る予定なんで。


巨乳;本当だろうな? 出なかったらその顔、射抜いてやるからな。


少女;まだ、私のこと少女にしてるんですか〜? 蹴り上げますよ。


作者;どこを?


少女;えい。


作者;ちょっ! @rじぇkんmf×◯△!!??


美少女;ですよねぇ〜。私の活躍も書かないと〜また蹴りますからね。


スノウ;その辺にしてあげようよ。


作者;スノウさん神です。優しい。


スノウ;私の登場が遅かったのは、根に持っていませんからね。


作者;……ご、ごめんなさい。


スノウ;いえいえ、謝らないで下さい。早く私に男性を紹介してとは言いませんので。


作者;スノウさん、結構グイグイ来ますね。


シャイン;ん? なんかライバル登場の予感が。

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