情報のお礼
今年最後の投稿です。
今回は、イベントの挑む前のお話です。
「おはよう風雅。」
「おはよう神。明日のイベントが楽しみだな。」
朝からテンション高いな風雅は。
「そうだな。明日は気合入れないとな。」
とは言え、俺も明日のイベントが楽しみである。
「それにしても、神はよくあんなに情報を手に入れられたよな。俺なんて、聞き込みして得た有力情報は、ヨボヨボの婆さんから聞いた、「明日は草原フィールドが騒がしくなる日じゃ。50年前の今日は、草原フィールドにゴブリンが溢れかえったんじゃよ。」って情報だけだぜ。」
確かに、風雅の得た情報だけじゃ、このイベントの全容は分からなかっただろうな。
「それだって、何も情報が無いよりマシだろ。」
「まぁそうだけどさ。でも、ネットでかなり調べたけど、ガセネタが多かった。神の得た情報と同じようなのもあったが、一人でこれだけ情報を集められた奴はいなかっなよ。お前の情報量はおかしい。ズルしてるんじゃないのか?」
俺は、普通にプルクラさんから聞いただけなんだけどな。
ギルドで聞き込みしてる奴は、他にも居るんじゃないのか?
「ズルしてないぞ。プルクラさんから聞いただけだ。」
「……プルクラさんから情報を得ようとしたプレイヤー達も、俺と同じ情報で終わっていたぞ?」
そうなのか? 何が違ったんだろう?
「なら、質問の仕方が問題だったのかもな? キーワードが含まれた質問だった場合は、情報を開示するみたいな。」
うん。これなら、情報量の差も納得出来る。
「それもありそうだな。後、ネットの掲示板で話題になっていたのは、お前のことだ。」
お、俺? そんな騒がれるようなことはしていない筈だぞ。
「その顔は心当たりが無いって顔だな。……全く。お前、プルクラさんと個室で二人きりになっただろ?」
「なったな。」
「普通のプレイヤーは、プルクラさんを誘っても二人きりになれない。」
ん? どう言うことだ?
「何でだ?」
「プルクラさんは、NM内の受付嬢と言うNPCだ。基本的に決められた行動しか起こさない。それなのに、お前だけはその決められた行動から逸脱している。」
そうなのか? そう言えば、プルクラさんはNPCだけと、親しみ易い気がするな。
「……つまり?」
「要素として考えられるのはいくつかある。一つは冒険者ランクと討伐ランク、しかしこのランクは、俺達と同じランクの人も居るからあり得ない。もう一つは職業だ。ネットで調べてもお前と同じ勇者の職業だと言う人は一人も居なかった。最後の一つは、信頼度だ。プルクラさんとの信頼度が高いと基本と違う行動をする場合があるってところだな。」
成る程。
ランクについては風雅と同意見だ。
職業は、ネットで名乗り出ないだけで、他にも居るかも知れないから不明だろう。
信頼度ってのは、よく分からないな。
目に見えないし、プルクラさんを好んでいるプレイヤーは沢山居たからな。
「考えても分からないことは、一先ず置いておいて、イベントのおさらいをするか。」
「頼むよ。」
「イベント開始は、明日の午後7時。草原フィールドに大量のゴブリンが発生する。そのゴブリンの住処が西にある鉱山近くの洞窟。洞窟には親玉のボスゴブリン若しくは大剣を使うキングゴブリンが居るはずだ。キングゴブリンの討伐ランクはD。現在のプレイヤー30名で何とか戦えるレベル。親玉がキングゴブリンの場合は、取り巻きとしてゴブリンソードなどの、ゴブリンの上位個体がいる。ボス戦の前には不思議な門があり、一度入ると敵を倒すまでそこから出れない。こんなところだな。」
「これだけ情報があれば、俺達でイベントクリア出来そうだな。」
う〜ん、どうだろう。
「情報は俺達が豊富にあるけど、他のプレイヤーがゴブリンの巣に集まって来なかったら、俺達だけでキングゴブリンに挑むことになるぞ。」
「あっ!?」
「もしそうなれば、……瞬殺される可能性があるな。」
何とかプレイヤーを誘導したいものだな。
「……プレイヤーが多過ぎても、ボスに挑めなくなるし、少な過ぎると勝てなくなる、か。」
「そうなる。知り合いにそれとなく情報を流して誘導するか、フィールド上で強そうな奴らに声を掛けて誘導するかだな。」
フィールドにプレイヤーが溢れかえっていたら、強そうな奴を探すのも一苦労だな。
「……成る程。俺に考えがある。他のプレイヤーの誘導は任せろ。」
随分と自信満々だな。
……本当に風雅に任せて大丈夫だろうか。
この後、俺の不安は的中することとなる。
それは俺達が勤務開始前に、指示室に集まっている時に起きた。
「なぁ番匠。NMの明日のイベント、草原フィールド西の鉱山近くにある洞窟にボスがいるらしいぞ。知ってたか?」
おいおい、何故番匠に情報を漏らすんだよ。
「え? そうなんスか? 初耳っスよ。その情報は確かなんですか?」
「ああ。俺の知り合いが危ないくらいどハマりしていてな。そいつからのリークだ。間違いない筈だぞ。」
俺は、そんな危ないくらいどハマりしていない筈だ。
「マジっスか!? ネットで出回って無い情報ですよ! その人凄いですね。てか、廃人プレイヤーですね。」
おい、番匠!? 廃人とはなんだ!
「だな。ボスの討伐ランクはDらしい。」
「D!? そんなボス倒せる訳ないじゃないですか?」
「30人くらいで倒せるらしいって情報があるみたいだから、ボス戦は人数制限があるんだろうって言ってたぞ。」
「あ〜そういう感じですか。集め過ぎると俺も挑めないってことですね。少な過ぎると勝てないし。」
「そいつも何人に声掛けてるか分からないけど、イベントに参加する予定なら、有力情報だろ?」
「桃木部長あざ〜す! 俺は缶コーヒー1本で。」
「ネットに出回ってない情報何だろ? 缶コーヒー2本で。」
「はぁ、余計なこと言わなきゃ良かった。」
「毎度あり。」
風雅め、俺の集めた情報で報酬を得るとは。
指示が終わり、みんなが出て行くと俺の所へ風雅が近付いて来る。
「ほらよ。神の報酬だ。」
いや、俺が2本だろ?
「全く。何で番匠に話したんだよ?」
「別に番匠にだけ聞かせようとした訳じゃ無いぞ?」
「どういうことだ?」
「番匠以外にも、NMの話をしている奴らがいたからな。他の係や課の奴らにも声を掛けるだろうし、そいつらが友達にも声を掛ければ30人くらいは軽く溜まるだろ? 若手とゲームの話ばっかしてたのも役に立ったな!」
そうなれば人数は集まると思うけど。
「それだと、人数が増え過ぎる危険があるだろ?」
今の話を聞いた奴が、友達に話して、その友達が更に友達に話してと広がっていけば、口伝てでもかなり広がりそうだ。
明日のイベントだから、どこまで広がるかは分からないけど。
「俺達がイベント開始と同時に、ボス戦前の門まで行けば良いんだよ。」
はい? ああそう言うことか。
「先に着いて、人数が揃うのを待てば良いってことだな?」
「そう言うことだ。」
それにしても、風雅は部下とゲームの話ばかりしていたのか。
仕事の教育もそれぐらい熱心にやってくれよ。
翌朝勤務を終えた俺は、ログイン前に妹の光にイベントの情報について連絡を入れた。
『流石お兄ちゃんだね! 誰も知らない情報をゲットするなんて! ……後でプルクラさんとは個人的にお礼しに行かないと。』
何で個人的にお礼?
『確かに、情報のお礼はした方が良いか。イベントが終わったら花でも買って行くか。』
流石光だ。光に言われなかったら言葉だけで終わっていたな。
『え?(そう言うつもりじゃ)』
『じゃあ光、イベントに遅れるなよ。』
『ちょっとま、ツーツーツー……』
「プルクラさん、お兄ちゃんは渡さないんだから!」
こうして、俺達のNM初イベント参加の時が訪れようとしていたのだった。
今回のおまけ
風雅;なぁ、番匠。次のイベントの話なんだけどさ。
番匠;何スか?
風雅;ネタ持ってんだけど知りたいか?
番匠;別にいいっス。
風雅;え? 嘘? なんで?
番匠;次のイベント情報は自分で集めたっス。
風雅;……その情報は正しいのか?
番匠;ネットで見つけたっス。
風雅;因みにどんなないようだった?
番匠;え〜言いたくないっス。
風雅;……缶コーヒー1本出そう。
番匠;あざース。俺が知ってるのは、フィールドにゴブリンが大量発生し、討伐数が1万を超えると、冒険者ギルドのレセプションがボスとして現れ、レセプションを倒すと、何とプルクラさんと結婚できる報酬があるんスよ!
風雅;は?
番匠;俺、プルクラさんファンクラブ第二号なんで、絶対プルクラさんをゲットして、ぐふふふふ。
風雅;はぁ〜。ダメだなこりゃ。缶コーヒーは没収だ。
番匠;へ? そりゃないっスよ! タダで情報を盗むなんて!
風雅;そんな情報が本当なわけあるか!
番匠;本当ですよ! だってうちのクラブの第一号が言ってたんですから!
風雅;……そうか。まぁ、頑張って1万のゴブリンを討伐して、親玉のレセプションを倒してくれや。
番匠;勿論っス。待っててくださいプルクラさん
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