何故なんだ!?
初クエストを終えたクラウド一行は、冒険者ギルドへと足を運ぶ。
そこでの一悶着と、今回は女の子登場です!
俺達は、討伐クエストを終えて冒険者ギルドへ辿り着いた。
絶対に、レセプションの所には行かないぞ!
俺は心の中で叫び声を上げ、いざ冒険者ギルドの中へと足を踏み入れる。
よし! レセプションの姿は無いな。
俺は、受付の中でも好みの女性の列に並ぶ。
その受付嬢は、長い黒髪を後ろで一つに束ねる所謂、ポニーテールの髪型をしており、胸元は窮屈そうにその存在を主張しており、見るものの目を吸い寄せる。
更に、スラッとした体型で顔は小顔で唇はとても柔らかそうである。
現実世界にこんな人がいたらなぁ。
俺が受付嬢のことを眺めている内に、俺達の番が回って来た。
おっと、第一印象は大事だからな。顔を引き締めないと。
今回は、邪魔されずに済んだぜ!!
「初めまして。私は受付のプルクラと言います。本日はどの様な用件でしょうか?」
美人な受付嬢は、プルクラさんって言うんだ。
「初めまして。俺はクラウドです。今日は討伐クエストの達成報告に来ました。」
俺の顔、弛んで無いよな?
「クラウド様ですね。討伐お疲れ様でした。今、確認致しますので、こちらの台に手を乗せて下さい。」
プルクラさんに様付けで呼ばれるなんて!!
テンション上がるなぁ。
俺は言われるままに、台座に手を乗せる。
俺のデータを読み取って、討伐クエストをクリアしているか読み取るんだな。
「確認が取れました。ウルフ5体とワイルドボア5体の討伐を確認しましたので、クエスト達成報酬の200マネを支給しますね。」
あれぇ〜おかしいな、ゴブリンも5体倒した筈なんだけどな。
俺は、プルクラさんから200マネを受け取る。
あっ! プルクラさんの手、柔らかいな。
俺はワザとでは無く、受け取る際にプルクラさんの手に触れてしまった。
「す、すいません。」
「い、いえ。」
気不味い空気が流れてしまった。
流れを変えないと。
「プ、プルクラさん、俺達ゴブリンも5体倒しているのですが。」
「え!? 大変失礼致しました。も、もう一度台座に手を乗せていただけますか?」
俺は再び台座に手を乗せる。
「……ゴブリンの討伐数は4となっておりますが?」
プルクラさんの困った顔、最高です!!
「確かに倒していますよ? なぁヴァン?」
「そうだな。ただ、最後の1体はパワーゴブリンだったけどな。」
「そうそう。パワーゴブリンね。」
「え? パワーゴブリンですか?」
ん? なんか不味かったのか?
「すみませんクラウド様。パワーゴブリンでは、討伐クエストのゴブリンとは種類が違うので、討伐達成扱いには出来ないのです。ごめんなさい。」
「プルクラさんが悪い訳じゃありませんから謝らないで下さい。確認していなかった俺が悪いので!」
プルクラさんはいい人だなぁ。
「どうしたプルクラ? 何か困った事でもあったのか?」
ダ、ダ、ダ、ダーン。
……レセプションめ。何故ここに。
レセプションが現れた。
キルしますか? イエス。
「父さん。実は……。」
ん? トウサン? TOUSANN? あ〜お父さんみたいなキャラだもんな。
「何だと!? パワーゴブリンを討伐して来ただと!? 本当なのか娘よ!」
俺が言いたいよそのセリフ!! はい、父さんでしたか。
ざけんな! そんな設定いらねぇよ!
「本当なのよ。お父さん。パワーゴブリン討伐数が1になっていたの。」
「信じられん。パワーゴブリンだと? 討伐ランクはFだ。コイツらのレベルでは勝てる相手とは思えないが。」
「いやいや、俺らだけで倒したよ。ゴブリン5体に紛れ込んでたパワーゴブリンを。」
「「!!??」」
プルクラさんとお父様が驚愕していた。
あ〜驚いた顔がそっくりだ。
「馬鹿な!? 集団のゴブリンに混ざっていたパワーゴブリンを倒しただと!?」
近い、顔が近いよお父様。
「はい。」
「信じ難いが、結果が出ているから信じる他ないな。大したものだ。」
俺達は、Fランクのモンスターを討伐していたため、討伐ランクがFへと昇格した。
「凄いですクラウド様。新人とは思えない活躍ですね。」
俺の手は、プルクラさんのすべすべな手で包み込まれていた。
「アイツ、プルクラさんに手を触ってもらっているぞ!」
「何だと!?」
「俺の女神が!!」
「キルしよう!」
「許せん!」
冒険者ギルド内に居た、他のプレイヤーからの殺気がヒシヒシと伝わって来る。
今の俺は、無敵だ。その程度の殺気ではやられんよ。
「……俺の娘はSランク以上の者でなければ認めん!」
うおぉぉ、横から何すんだモヒカンオヤジ!
レセプションがプルクラの手を引き剥がしてしまった。
「そして、俺を倒せん限り、娘との結婚は絶対に阻止する!」
親馬鹿め!! 絶対お前を倒してプルクラさんをゲットしてやる!
「お父さん!! お父さんのランクはSS何だから、そんな無理言わないでよ! 私はいつまで経っても結婚出来ないでしょ!」
ホッペを膨らませて怒っている顔も可愛いな。
てか、ちょっと待て!!??
「え? SSランク何ですか!?」
何でそんな高ランクが受付を?
「事実だ。」
「何故、そんな方がギルドの受付を?」
「娘に変な虫がたからない為に決まっているだろうが!!」
はい、完全に親馬鹿でした。
「もう、いいからお父さんはどっか行っててよ! ごめんなさいね。これからもクラウド様の活躍を期待していますね。」
プルクラさんからのエールを受け、俺達は冒険者ギルドを後にした。
絶対、プルクラさんのところだけ並ぶようにしよう。
「さて、クラウドの好みの女性が分かったところで、次に行くか。」
「プルクラさん、可愛いいだろ?」
「そ、そうですね。とても素敵な女性でした。」
「だろ。スカイは良く分かってんじゃねぇか。」
「まぁ、確かに美人だったな。……次は防具を買いに行くぞ。いつまでも初期装備じゃみっともないからな。」
ヴァンは絶対ムッツリな性格だな。
俺達は、防具を新調するために、防具屋を訪れた。
「それなりに高いな。」
「そうだな。性能も初期装備とそれ程変わらないな。」
「ど、どうしますか?」
店の防具を買っても、あまり強くなれないし、お金の無駄な気がするんだよな。
「お前ら、うちの商品にケチ付けるなら他所に行け!」
店主が顔を赤くして、怒りを露わにしていた。
怒りだけでなく、頭皮も露わにしている店主だがな。
「す、すいません。」
スカイが直ぐに店主へと謝罪したことで、店主の怒りが治った。
「ドロップアイテムから防具って作れないかな?」
「職人に依頼する訳か。そっちも調べてみるか。」
「お兄さん達、職人を探しているんですか?」
ヴァンと会話していたら、後ろから声を掛けられた。
後ろを振り返ると、黒髪ショートヘアで童顔小柄な可愛らしい女の子が居た。
「ん? もしかして、光か?」
勘違いだと恥ずかしいけど、この見た目は、光にソックリなんだが。
「え? 私のこと知ってるの? ……もしかして、お兄ちゃん?」
おお、間違っていなくて良かった。
「そうだよ。神だ。ゲーム名はクラウドだ。」
「こんなところでお兄ちゃんに会えるなんて! ラッキー!」
いきなり抱きつくなよ! いつまで経っても兄離れ出来ない妹だな。
今、俺に抱きついているのは、実家で暮らしている俺の妹の光だ。
今年で高校三年生。
「そろそろ、離れて来れよ。光。」
「私はシャインよ。兄い……クラウド。」
「シャインね。了解。」
光もこのゲームをやっているとは驚いたな。
「紹介しとくな。俺とパーティーを組んでいるヴァンとスカイだ。」
「は、初めましてでありましゅ!」
「ど、どうもスカイです。」
何故、ヴァンはこんなに緊張しているんだ?
「初めまして、シャインです。リアルではクラウドの妹です。……本当は彼女って言いたいけど。」
「ん? 今なんか言ったか?」
「何でもないですよーー。」
「そうそう、お兄、じゃなくてクラウドは防具を作りたいの?」
「ああ。店の防具がイマイチだったから、ドロップアイテムとかから、防具が作れないかと思ってな。」
「なら、私が作ってもいい!?」
「ひか、シャインがか?」
「私、職業が鍛治職人なのよ。私に作らせてよ!」
「なら、お願いしようかな。ヴァンとスカイもそれでいいか?」
「も、もちろんであります!」
「ぜ、是非、お願いします。」
「ありがとう! スッゴイ防具作って上げるからね。」
いやー、こんなところで職人と知り合えて、それが妹だったとは、運がいいな。
俺達は、シャインと共に防具屋を出て行った。
「に、二度と来るなーー!!」
店主のオジサンは、俺達が出た後に、塩を撒いていたそうだ。
シャイン:やっと私の出番ね! これからは毎回お兄ちゃんとイチャついちゃうからね!
作者:え? そうなの?
シャイン:え? 違うの?
作者:さ、さぁどうだろうね。
シャイン:じーーーー。
作者:じーーーーって、言いながら睨まないで!
シャイン:私とお兄ちゃんのラブコメ展開だ・よ・ね?
作者:ぜ、善処します!
シャイン:やったね♩
作者:はぁ〜。
ヴァン:俺とシャインさんのラブコメもやってくれよ!
作者:寝言は寝て言え。
ヴァン:がぁ〜ぐぅ〜、シャインさんとのラブコメ〜ぐぅ〜
作者:馬鹿はほっとくか。




