20 初恋─ある男の過去─
私は優秀らしい。何度も、何度も褒められる。
最高に心地よかった。自分の存在が確かに認められた気がして、とても嬉しかった。
しかし、上には上がいるものだ。
それがソフィアとニーナ。
それぞれの学科は違い、ソフィアは錬成魔法学科の冷徹な最高魔法使い、ニーナは実技魔法学科の寡黙な最高魔法使い。
私よりも褒められていた。
私が惚れたのはソフィアの方だった。あれは──錬成魔法学科1年生の時のことだった。
私は魔法で何かを作りたいと思い、入学したものの授業のつまらなさに呆れてしまっていた。退学も考えたが、手続きがかなり複雑ということもあり諦めていた。
「つまらなそうな顔してるわね」
「っ!? 」
高嶺の花であり、冷徹なソフィアが休み時間にぐったりとしている私に話しかけてきたのだ。冷めた顔はしていたが、私はとても嬉しかった。──特殊な出だから私には友達が一人もいなかった。だから話し相手に飢えていたのだろう。言葉がすぐに出た。
「私のことは放っておいてください」
「そう? あなたにはとても興味があるのよ。何せ、異界から来た人なのだから」
「……」
「あなた、有名人よ。私でさえ興味を持つのだから」
「……」
饒舌な彼女に思わず見とれてしまうが、この世界では恋愛婚というのがあり得ないとされているために彼女に想いは伝えれない。──とりあえず話そう。
「私がここに来たのは事故なんですよ」
「へえ」
「記憶がないのであれですが、かなりひどかったみたいです」
「……そう」
彼女はさっさと去ってしまった。
このほんのわずかな間に私は惚れた。なんて単純なのだろう。
彼女に惚れている奴はたくさんいた。私もその中の一人となり、存在が認められた気がした。




