憎しみとは余白の損壊、両剣刃を握るが如く
『黒い情動 色の多様性を損壊す 黒とは底から這い出た根源色 自己を見つめる鏡にはなれど それを自己の本質だと思うべからず 数多ある色を引き立たせ 見つめ直す ひとつの色である』
この話は私たちが生きる上で遭遇するかもしれない強い負の感情に対する話になる。ヒーリングというには内容が重く、作者の論理が強く出てしまったので苦手な方はそっと画面を閉じてほしい。
私たちは生きるなかで不条理を目の当たりにすることがある。自分の存在意義を揺るがすような出来事、許すことができない事件、持てる全てが通用しない災害。なぜそのようなものが存在するのか。胸の奥底から湧き出る感情。あまりの熱量に目がくらみ、湧き出した色が己の色を塗りつぶしていく。人生をかけ築き上げてきた色が目の前の色と比べあまりにも頼りなく見える。
あなたはこのような経験をしたことはないだろうか。ある朝、テレビをつけてニュースを見た。穏やかな朝で、手に持ったカップから伝わる熱は体の奥をじんわりと温めてくれる。しかし、テレビに映った世界は穏やかな世界ではなかった。剥き出しの現実。どこまでいっても不合理で、理解しがたい世界が広がっている。湧き上がる感情。それは先程まで胸にあった温かさとは、程遠いものだった。
胸の底から湧き出た感情は強い色を持っている。それが負の感情であれば、あなたが持つ既存の色すべてを塗り替えてしまったかのような錯覚を引き起こす力がある。イメージして欲しいことは、無限に広がる一枚の真っ白な生地。その生地に人は人生を通して色を塗っている。生地は広く、今まで塗られてきた色は膨大だ。そこに真っ黒な塗料がぶちまけられたとする。すると人は黒以外の色が目に入らなくなる。その黒はあまりにも目立ち、今まで塗られていた色から人は視線を外してしまう。
もしあなたがそのような事態に直面したらそっと胸に手を当て、目をつぶり問いかけて欲しい。その黒はどのような感情から生じたものなのか、あなたが大切だと思う感情はどのようなものだったのか、あなたが歩んできた人生の中で何を尊いと思い、どのようなものを残したいと思ったのか。あなたの黒は夜に広がる湖面のようなもの。人生という名の生地に塗られたひとつの色。夜に広がる湖面に景色が映るように、あなたは黒を通して人生という生地に塗られた他の色を知ることができる。
強い感情というものは割り切れないものだ。それが負の感情であれば尚のこと。あなたがこの話を読んで言いたいこと、思ったこと、その全てが本物だ。あなただけが持つ人生の色、その全てがあなたの中にある。無限に広がる一枚のキャンバス。そのキャンバスにはたくさんの色が塗られている。それは、あなたがこの世界を生きた証。どうかそのことを忘れないで。
色に目を奪われ、色を塗り足していくこの世界の中で懸命に生きるあなたに敬意を。あなたが人生を通して築いた色、それは確かにあなたの中に息づいている。どれだけ鮮烈な色であったとしても、あなたが色を紡いできたという事実を打ち消すことはできない。今日もあなたという色が世界を確かに彩っている。




