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オズ  作者: 紗パカルギ
3/72

第一話 普通

結構長くなりました。お話やっとはじまります。

-ピリリリリリリ-といつものように目覚まし時計が鳴る。

彼女はパシッとうるさい目覚まし時計を止める。

時計の時刻は午前六時とこれまたいつも通りだった。

彼女の名前は奥橋真おくはし まこと

今年から神林高校一年生になった。

真は五歳の頃奥橋夫妻に養子として引き取られた。

本当の両親の顔を本人は覚えていない。

だが、今現在で真の親である奥橋夫妻はとても真に優しく彼女をとても愛している。

彼女もまた奥橋夫妻のことが大好きだ。

彼女はこの日々に幸せを感じていた。








「真!起きてるの?」

母、奥橋菊おくはし きくの声が下の階から聞こえてきた。

真は大きく伸びをしながら「は~い」と答えてベッドをでる。

階段を下りていくと菊がいつものように「おはよう」と言った。

「おはよう。母さん」

真はいつも通りにそう返した。

ショートボブの髪に寝癖がついている。

「真、今日は学校なんでしょう?」

「そうだよ」

「だったら急ぐ!あなたの目覚まし時計が鳴ってからもう三十分も経ってるわよ」

「え?…嘘!?」

「本当」

「うわぁぁぁぁ、どうしよう、目覚まし止めたばっかりだと思ってたのに」

「とにかく朝ご飯食べなさい」

菊は呆れつつも真にそう言ってリビングに行かせる。

するとそこにとっくの昔に朝ご飯を食べ終わった父、奥橋健おくはし たけるが優雅にコーヒーを飲みながら新聞を読んでいた。

「父さんおはよう」

真はあわてながらも父にそう言う。

「おはよう真、今日も寝坊か」

健はそう言いながらゆっくりと新聞をめくる。

「今日もって何?私、いつも寝坊なんか」

「はいはい、わかったからご飯食べなさい。学校に遅れそうなんだろう?」

「あ、そっか」

真はそう言うと食パンにかじりついた。

朝食を食べ終わると真はすぐにスクールバックをつかみ「行ってきます!」という声と共に家を飛び出した。

高校は家からそう遠くない。徒歩十分で着く。




校内に朝礼のチャイムが鳴り響く。と同時に

「間に合った~」

と言いながら真は1-2の教室に駆け込んだ。

すると、クスクスと笑いながら

「毎日遅刻ギリギリだよね…真」

と小学校からの親友である江本美夏えもと みかは自慢の長い綺麗な黒髪を櫛でときながら言った。

「毎日じゃないよ、今日は目覚まし時計が悪い」

真は少々すねた子供口調でそう言い返す。


「いや、目覚まし時計に罪はないね。おそらくあんたが目覚まし時計を止めた後二度寝し」

「あぁぁぁぁ!違う違う違うよー!!」

美夏は冷静な口調で

「当たり」と言ってにっこり微笑んだ。

真はぶつぶつとまだ言い訳を口にしていたが美夏は構わず話題を変えた。

「あぁ、そうそう真、今日この学校にオズ学園の生徒が来るってよ」

「オズ!?なんで?」

「さぁ?詳しくはしらないけど。なんでも私たちと同い年のオズの人たちが来るんだって」

「同い年!?なんで?」

「だから知らないって。でも、美男美女って噂よ」

「へぇ…強いのかな」

「どういう疑問よ。普通の人間がオズに勝てるわけないでしょ」

「そ、それはそうなんだけど…」

その時、教室に担任が入ってきた。

真のクラスの担任は学校内で一番の美人新米教師で有名な藤崎由姫ふじさき ゆき先生だ。心なしか機嫌がいつもよりいいような気がする。

「はい、席について。今日は突然ですが、オズ学園から一週間この学校に転入する生徒を紹介します。入ってきて」



一歩、その転入生が教室に入ってきた途端、クラス中の女子生徒がざわつきだした。

真も一瞬見とれた。

癖っ毛のある黒髪、瞳は綺麗な少し暗い色の藍色だった。

「初めまして。海藤拓斗です。」

クラス中の女子生徒は皆彼に釘付けだった。

「皆、海藤君にいろいろ学校のことを紹介してあげてね」

「「「は~い」」」

心なしか女子の声が多いような…?と真は思ったが口にはしなかった。

「じゃあ、海藤君は一番後ろの右の席に」

「はい」

うわ、席となり…

と真は内心思ったが口には勿論出さなかった。

朝礼が終わるとほとんどの女子生徒は海藤のまわりに集まってきた。

だから真は自分の席から立って、トイレに避難した。

すると後から美夏もついてきた。

「いやぁ、あんなレベル高いイケメンがこんな学校に来るとは…」

美夏はそう言って不思議がっている。

「確かにすごいイケメンだね」

真はそう言って溜め息をつく。

と、その時、違うクラスの女子生徒達がトイレに来て話し出した。

「ねぇねぇ二組の海藤拓斗って人もイケメンじゃない?」

「確かに~、でも、四組の新崎霧しんざき きり君もかっこいいよ~」

「え~、でも三組の若宮光わかみや こう君が一番かっこいいと思う」

「いや、霧君でしょ」

「光君だって」

「拓斗君が一番だよ」

「もぉ、オズ学園の人たちイケメン揃いで困る~」

………オズ…めちゃ強い…

と真は激しく思った。

「こりゃ、すごい一週間になりそうね」と美夏が言う。

「うん。だね…」

真もその意見に同意した。

「五人、オズ学園から来たらしいから…残り二人は一組と五組に一人ずつってことかな?」

と美夏がつぶやく。

全クラスに一人ずつ…なんでかな」

真も独り言のようにつぶやく。

今年は一学年五クラスでオズの転入生が五人、一体オズ学園は何をしようとしているのだろうと真は不思議で不思議でたまらなかった。

教室に戻ると男子生徒も騒いでいた。

「一組に転入してきた宮崎愛奈みやざき あいな、めちゃくちゃ可愛かった」「五組の白木琴音しらき ことねって子も超可愛かったぜ」

「あ~、二組に愛奈ちゃんがくればよかったのにな…」

「俺は琴音ちゃんがいいな」

……オズ……敵なし……

真は激しくそう思った。

昼休みまで終えて真が思ったことは、

「弱みなし…」だった。

容姿がいいのはともかく、頭は…と思っていたらすごくできていた。

真など足元にも及ばないくらい頭がよかった。

しかも、体育ではとても活躍していた。

容姿も頭もスポーツもいいなんて…

昼休み、真と美夏は屋上でお昼を食べていた。

「神様は不公平だ…」

「何を嘆いてんの真。しかも嫉妬するところズレてるでしょ」

美夏は変な生き物を見るかのような目で真を見ながら言った。

「だって、なんか、すごいなぁって…」

「まぁ、世界中探せばいくらでもいるでしょ。海藤ぐらいの完璧人間」

慰めたいのか傷つけたいのかわからないことを言う美夏。

「そうだよね~」

真はそう言うと空を見上げた。

今日は美夏に秘密を打ち明けると決めていた。

今日こそ、言う。

「ねぇ、美夏」

「うん?何?」

「私ね、あのね」

「うん」

言うんだ。今日こそ。

「実は」




ずざざざざざざぁぁぁ

真と美夏は音のした方を見る。

そこには男子生徒がうつ伏せで倒れていた。いや、

「こけた…の?」

真はそうつぶやく。

「み、美夏どうしよう」

「どうしようって…え?あの人、気絶でもしてるの?」

真はうつ伏せのままの男子生徒に近づく。

そしてしゃがみこんで肩を叩こうと手を伸ばした。

すると、男子生徒はビクッと動いた。

「わっ」と真は思わず手を引っ込めた。

男子生徒は勢いよく起き上がり真と目が合った。

真が見たことがない人だな…と思っていると

「…俺の顔になにかついてる?」

と言われた。

そこで真は自分が男子生徒を見つめていたことに気付いた。

「いや、なにもついてないです」

とあわてて答えて顔をそらす。

男子生徒は不思議そうに首を傾げてから「そっか」とだけ言ってスタスタと歩いて去っていった。


「……」

「……」

真も美夏も少しの間黙っていた。

すると、さっき去っていったはずの男子生徒が戻ってきて、真をじっと見つめてきた。

そして何か匂いをかいでいるように鼻をならす。

「あの、何か?」

真はオドオドしながら男子生徒に問いかける。

すると男子生徒は嗅ぐのをやめて、真を見つめなおした。

「あんた…匂いがないな」

「匂い?」

「大抵はどんな奴からも匂いはするはずなんだけど、あんたからはなんの匂いもしない。どうしてだ?」

いや、知りませんと言いたいところだった。だが、その男子生徒は真に話す暇を与えずに続けて話し出した。

「匂いがしないってことは、オズの力が強力すぎるのか逆に人間としての能力がなさすぎるのかのどっちかなんだが…」

あれ?なんか、さらっとすごく失礼なことを言われているような…

「ま、多分人間としての能力だろうな」

男子生徒は悪気のないキラキラした笑顔で真にそう言った。

真は固まってしまった。

「つまり、この子は無臭の純粋っ子ってことだよね」

美夏、なんかフォローになっているのか微妙です。

「…ま、そんな感じだ」

面倒くさいからってそんな答え方しなくても…

真がしゅんとなって顔を下げていると男子生徒は真の顔をのぞき込んで、

「あんた、名前なんていうの?俺、四組の新崎霧。今日この高校に転入してきた。まぁ、一週間だけだけど」

う、噂のオズ学園の人でしたか…

「私は、奥橋真。二組です」

するとすかさず美夏も入ってきた。

「へぇ、君が噂のイケメン君かぁ。私、真と同じ組の江本美夏です」

新崎は二人にさっきと同じキラキラの笑顔を向けた。

「よろしくな」

茶髪でツンツンした髪、瞳も綺麗な茶色だった。勿論、噂どおりのイケメンであった。

た、確かに、かっこいい…いかにもスポーツできそうだ。

と真は内心で思った。美夏も少しにやついていた。

「あ、俺、まだ昼飯食ってねぇ!食堂行く!お前ら行くか?」

「え?いや、私たちはもう食べ終わ」

「そっか、んじゃ、またな」

そう言うが早いか新崎はすごいスピードで走って行ってしまった。

なんなのだろうあの人…

真が内心でそう思っていると、

「真、新崎君もイケメンだったねぇ」

と美夏は冷静に言ってきた。

ここで真は初めて内心の言葉を口にした。

「オズ…強すぎる」

少し二人とも黙っていた。そして先に美夏が口をひらいた。

「そういえば真、新崎君を見かける前に私に何か言おうとしてなかった?」

「え?あぁ…内容忘れてしまった…」

「え~?まぁ、いいや。じゃ、また思い出したら教えて」

「うん。そうする」

ごめん、美夏。本当は忘れてなんかいない。でも、やっぱりまだ…言えない。

私にはまだ秘密を話す勇気を持っていなかった。

「もうすぐ昼休み終わるね。教室戻ろっか」

「うん」




二人が教室に戻るとオズの海藤拓斗は朝と同じく女子に囲まれていた。

すると、会話が聞こえてきた。

「拓斗君ってどんなオズを持ってるの~?」

「俺は、基本は炎を使っていろいろ…かな」

「え~!すご~い!」

「なんかしてみてよ~!」

「危ないから無理」

「「え~」」

すごい…女子生徒のほとんどのハートを掴んでいる…

真はそう思うと同時に早く席に座りたいな…とも思っていた。

真は海藤の隣の席なのだが女子生徒達が占領していた。

だが、そんな真の気持ちなど海藤loveの女子生徒達には伝わるわけもなくまだおしゃべりは続く。

「じゃあ、三組の若宮光君ってどんなオズ持ってるの?」

「本人に聞けば?」

「え~、意地悪~」

そう言って女子生徒達はすねているフリをしているがまったく怒っている様子ではない。

真はトイレに避難でもするかなと思い教室を出て行こうとしていた。

すると、海藤が自分から口を開いた。

「あのさ、聞きだいだけ聞いたよね?俺のこと」

「え~まだ聞きたいことたくさんあるのに~」

だが海藤は女子生徒達の言葉を無視して話を続ける。

「俺からも質問があるんだけど」

「なになに~?」

「このクラスにオズは、いるか?」

真は足を止めた。

女子生徒達は騒ぎ出す。

「オズの人~手を挙げて~」

「オズを持っている人がいるの?このクラスに?」

「嘘~こわ~い」

すると海藤は溜め息をついた。

「可能性があるだけ」

「なんだ、可能性だけかぁ」

「びっくりした~」

そんな声が聞こえる中、真は教室から足早に去った。

真は自分の心臓の鼓動が速くなっていりのを感じていた。


さっきの海藤の言葉が頭の中でうるさく聞こえる。

真はトイレの鏡を見た。自分の顔は今不安を隠しきれていない表情になっていないかを確認したかったからだ。

「よし、大丈夫」

真は自分自身に言い聞かせるようにそうつぶやいた。




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