0093
Side:橘八重
総理の記者会見が終わり、日本全国で様々な動きがあった。
どうやら緊急通報センターの件は本当に敵性工作員が入り込んでいたらしく、俺を名指しで無視するように指令があったらしい。
なんで俺なんだろうと思ったが、どうやらアロハヌス家と関りがあるからという事でターゲットになったようだ。
「今まで主様は長きに渡って顔を出して来られませんでした。
なのでアロハヌス家を舐めている者もそれなりに居るのです。
何となくですか、怠惰の者から大陸の人間どもに情報が渡ったのだと思います。
それも中途半歩な形で」
「もしかしたら、怠惰の連中が意図的に中途半端な情報を出した可能性がありますけどね。
あいつら動くのは面倒って言ってしませんけど、こと頭脳労働は普通にしますから。
それに頭が良いのが多いですし。
なので意図的に侮るような情報の出し方をしている可能性があります」
「結果としたら、日本国内の工作員が次々に暴かれてますけど………それってむしろ失敗なのでは?」
「怠惰の連中からすれば、そのような事は些事でしかあるまい。
奴らからすれば成功しても失敗してもいいのだ。
大陸の人間が怒りに塗れれば、それもまた喰う食料となるだけ。
怠惰の連中は精神の器が大きいからな」
「色欲の我々は精の器が大きいですが、怠惰の連中は精神の器が大きいのです。
そして魂の器が大きいのが傲慢の連中ですね。
それ以外はバランス的な形でしょうか? 代わりにそれぞれの器が大きいという形になります。
そもそも悪魔の器の総量は、そこまで変わりませんので」
「前に精の器が大きくて、それ以外は普通だと言っていたような……」
「それは他の突出型の悪魔と同じという事です。
突出した器が大きく、それ以外が小さいという事ですね。
ちなみに3つの器がほぼ平均なのは強欲の連中となります。
強欲の名の通りと言えば分かりやすいでしょうか」
強欲だから3つ全てが大きいのか。
とはいえ突出型のように大きくはないと。
ある意味で一番面倒な器をしている気がする。
3つ全部の大きさが似てて、それを見たさなきゃいけないっていうのは流石に……
「憤怒の連中は魂の器が大きめで、暴食の連中は精神の器が大きめ、そして嫉妬の連中は精の器が大きめなんですよ。
そんな感じに分かれてるのが悪魔の器というものです」
「それはいいのですが………女王が余計な事を言った所為で面倒な事になっているようですね?」
「自業自得だ。
【共魂の契約印】はまだしも、【精魂の雫】である事をバラしたからな。
流石に我と女王が敵に回るから勝手をする者はおらぬが、代わりに正式に申し入れをしてきておる。
これをされると公務として処理せねばならん」
「まあ、拒否一択で終わる話ですが、きちんと政務として処理しなければいけません。
<口は災いの元>という言葉が日本にありますけど、本当にその通りの結果となりましたね」
「それも含めて、女王が悪いで終わる話ですからね。
私達には何も出来ませんし、今ごろ必死になって政務を熟しているんじゃないですか?
いい加減に爆発しそうな気もしますし……こっちに来たらどうします?」
「そうなったら八重には寝ていてもらうだけだ。
その事で女王が不満を抱えようが知らぬ。
今はまだ寝ている状態でしか許可せん、当然だがな」
七尾さんが俺の方を見て来るが、どう見てもその目には同情の色が浮かんでいた。
<同情するなら金をくれ>とは言わないが、<同情するなら助けてくれ>とは言いたい。
とはいえ俺自身が頑張って解決するしかないんだけど、何故にこんな事になってるんだろうね?
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昨夜もエルトアリアさんと寝たが、何故か途中で魂をスカされた。
あれは何故なんだろうと思うが、聞いても答えは教えてもらえなかった。
聞くと不機嫌になったので、何か理由があるんだろうとは思う。
何が理由かは分からないけど、聞けないのでどうしようもない。
俺はこの日、秋葉原まで移動している。
理由はゲームを購入する為だが、カメラとノートパソコンの金額がマイナスなので無駄金を使うのはどうかという思いもあった。
ところが明日、警視庁へと行く事が決まり、その話の中で弁償してもらえる事が分かったんだ。
正確にはテレビ局のヤツとヤクザから慰謝料など、それと緊急通報センターの敵性工作員からの慰謝料、そして警視庁からのお詫び。
これらが合わせて振り込まれるらしく、どうやら余裕で200万を超えそうなんだ。
なのでゲームを買っても問題ないとなった。
なので秋葉原まで来たんだけど………流石は日本一の電気街兼オタクの聖地なだけあるわ。
今まで来た事もなかったけど、凄く圧倒される場所だ。
とはいえ見ていても意味ないから、色々な店へと行ってみよう。
…
……
………
様々な店へと行って色々と探したが、店長のお薦めを購入する事になった。
大きな店じゃなくて、小さな個人経営の店だったけど、だからなのか色々と相談に乗ってもらえたんだ。
そもそもほぼゲームをした事が無い初心者に、高価な最先端のゲームを紹介されても困る。
ああいうのは今までゲームをしてきた人達の買う物で、俺のような初心者は取っ付きにくい。
そこで困ったので相談したわけだ。
すると古い時代のゲームがリバイバルされて売られている事を知った。
なんでも悪魔の人達がする為に復刻したんだそうだ。
かつてはファミリ〇コンピューターという名前だったが、今はデーモンリバイバルコンピューターという名前で売り出しているらしい。
今のテレビやモニターに繋げるようにしてあり、昔のとは形が全く違っているのが特徴になる。
凄いシンプルで小さく、ゲームそのものもメモリーカードサイズだ。
そのデーモンリバイバルコンピューター、略してデーコンを購入し、更には有名ゲームを大人買いしてタワーマンションへと帰る。
俺でさえ名前を聞いた事のある物から、知らないけど有名な物までを色々とチョイスしてもらった。
あそこの店は信用できそうな気がする。
店主もオタクっぽかったし。
俺はタワーマンションの1階のコンビニで昼食と飲み物とお菓子を買い、エレベーターに乗って部屋へと戻る。
鍵を開けて中に入り、とりあえずレンジで弁当を温めるかな。
「今日は七尾さんが居ないから、ゆっくり出来そうな感じだな。
荷物を引っ越す日だって言ってたから、これで七尾さんも正式にタワーマンションの住人か」
そんな事を口に出しつつ、俺は店長さんから聞いた通りに配線をしていく。
そこまで難しくなく終わったので、とりあえず一番有名な俺でも聞いた事のあるゲームを差しこんで起動する。
それにしても小っちゃいなぁ、ノートパソコンの半分も無いぞ?
起動した画面は真っ青で、文字が下りてくると<ドラ〇ンクエスト>と表示されている。
昔はパスワードを書き留めたりしなきゃいけなかったらしいけど、今は別のメモリーカードにセーブできる。
なのでパスワードを忘れたとかいう事も無いらしい。
店長さんいわく、そういう思い出も悪い物じゃないそうだけど、面倒で不便なんて今や誰も望まないとも言っていた。
俺としては不便なのが良いと言われても分からないので、何とも言えなかったが。
始めると名前の入力だったので、適当に「ささ」と入力。
ちなみに大した意味は無い。
名前を考えるのが面倒だったから、適当に入力しただけだ。
どんな名前でも問題は無いと思うし、特に気にしなくていいだろう。
適当にボタンを押すと色々出たが、話すに東西南北があるのは何なんだ?
向いてる方向に話し………コレが有名な蟹歩きってヤツか。
そりゃ話す方向を指示しなきゃいけないはずだ。
っていうかコイツは北に話す時、後ろの人と喋ってるって事か?
それもその人の方を向かず? ………変なヤツだな。




