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 Side:橘八重



 テレビのニュースを見ていると、司会者が警察官に拘束されて連れて行かれるところだった。

 「なぜ? どうして?」と騒いでいたが、俺や七尾さんは冷めた表情でそれを見ている。

 あまりにも当たり前すぎる事だ。


 嘘などで日本を攻撃するって、それ普通に売国奴だし敵兵じゃないか。

 それが今まで罪にもならずに罷(まか)り通ってたのがおかしいんだよ。


 誰だって発言する権利はある、そんな事は当たり前だ。

 しかし嘘で何かを貶(おとし)める権利なんて誰にも無い。


 そんなものがある訳がないし、あってはいけないんだ。

 国家とか関係なく、嘘で貶(おとし)めるなんて事を許してるから、バカがいつまでも調子に乗る。


 いや、それどころか連中は嘘で貶(おとし)める事を商売にまでしていた。

 最低のゴミにも劣る畜生でしかない。


 俺のクソ親もそうだが、そんな畜生が我が物顔でのさばってる国なんておかしいんだよ。

 むしろ、そういう連中を叩き潰す国の方が真っ当だ。

 自分の意見を口にするのと、嘘で何かを貶(おとし)める事は同じじゃない。


 「マスメディア、なんて連中の方が理解していないのよね。

 おそらく誰かや何かを嘘とか捏造で貶(おとし)めるのが日常。

 当たり前になってるからなんでしょうけど」


 「それどころか、嘘や捏造で貶(おとし)める自分達を正義だと思ってる連中です。

 本当に醜(みにく)く歪んだ連中だと思いますよ。

 人を嘘や捏造で潰し、場合によっては自殺にまで追い込む商売。

 ヤクザとどこが違うのか、俺には分かりませんね」


 「そう考えると、本当に電波ヤクザという言葉は正しいのよね。

 やっている事がそっくりだもの」


 そんな話をしていたら、総理官邸の記者会見、その中継だけは何故か続いていた。

 そして総理からの話は未だ続いている。


 『このように、これからは敵性工作員、またはそれに近いと思われる者は次々に拘束され暴かれていく。

 これは日本という国家を守る為には仕方のない事だと、私は総理大臣としてここに宣言します。

 自由闊達な議論と、他者を貶(おとし)める言葉は同じではない。

 それは当たり前の事です』


 『そもそも国民の知る権利だとかホザいていたけど、いつからこの国は記者とかに捏造する権利を与えたのかしら?

 そもそも嘘を流布して国家を攻撃するって、普通は国家を転覆させようとする行為よ? つまり国家叛逆罪。

 普通に重罪だと思うんだけど、何故これが罪に問われないのか理解できないわ』


 『まったくだな。

 国民の知る権利だと言うのであれば、一言一句違(たが)えずに伝える義務と責任があろうが。

 他人の意見を一語でも一句でも書き換えれば、それは既に嘘であり捏造なのだ。

 その程度の事も分からんとか、畜生以下でしかないわ』


 容赦がないけど、エルトアリアさんの言っている事は事実だ。

 一言だろうと一句だろうと、書き換えた時点でそれは本人が言った言葉じゃなくなる。

 つまり世の中のニュースの大半は嘘であり捏造だ。


 流石に言い過ぎだと言う人も居るだろうが、発言者を守るのであれば、そうするのが正しい。


 言ってもいない事で攻撃されている政治家や有名人も居たし、揚げ足取りで攻撃される事なんてマスコミがよくやってる事だ。

 でも、その大本の発言自体が嘘であり捏造だという事もある。

 微妙にニュアンスが違うとか、受け取り方を間違えるように言葉が微妙に変えてあるとかね。


 まさにマスコミのお家芸であり、畜生以下と言われても仕方のない卑(いや)しさだ。

 そういう嘘や捏造を商売にしているのがメディアである以上、救いの無い連中だというのがよく分かる。

 悪魔の人達の方がまともだと言われるのも、マスコミを見てたら当然だと思う。


 『さて、ここからは私の発言だけどもさせてもらうわね。

 どこかのバカが相手の事も考えずに契約をしたけども、あの契約は悪魔にとって非常に古い時代の契約となるの。

 【共魂の契約印】と言うのだけれど、これはお互いに齟齬(そご)を無くすという物になるわ』


 『齟齬(そご)を無くす………ですかな?』


 『そう。お互いの魂を重ね合わせる事によって、お互いに嘘が吐けなくなる。

 どころか、相手が魂の奥底から渇望している事まで分かるようになるわ。

 そういう意味で齟齬(そご)を無くすという契約になるの。

 つまり全てを相手に曝(さら)け出すという事ね』


 『はぁ………そうなんですな。

 しかし、それがどうかしましたか?』


 『その【共魂の契約印】を私も結ぶ事にしたわ、橘八重君とね』


 「は?」


 「え?」


 …………えっ、ちょっと待って。どういうこと?


 『非常に腹立たしいが、このままでは碌な事にならぬのでな。仕方なく認める事にした。

 この国の警察などというものは何の役にも立たん。彼が犯罪に巻き込まれ、それを通報しても無視だ。

 そんな奴らは要らんと思ったのだが、どうも緊急通報センターとかいうところのオペレータ? とやらに複数の敵国人が入り込んでおったらしい。

 なので猶予をやる事にした』


 『その猶予が無ければ皆殺しにしてたところだけどね。

 流石に三度通報して無視じゃ、存在する意味が無いでしょ。

 だから潰すのよ』


 『その者達は既に捕らえられており、虚界に送られたそうなので大丈夫です。

 国民の皆さんは安心してください』


 急に総理が慌てて発言したけど、気持ちはよく分かる。

 流石に警察全員をブチ殺すところだったと言われたら、そりゃ焦るだろう。

 警察だって相当に焦っただろうと想像は出来るけど、俺は知った事じゃない。

 そもそも俺が警察を信用する事はもう無いからだ。

 


 『その、一つお聞きしたいのですが、契約というのは他の日本国民でもしてもらえるのでしょうか?

 なぜ橘君だけなのかは知りませんが……』


 『契約に関しては、それぞれの悪魔が好きにするんじゃないかしら。

 するもしないも本人の自由でしょうしね。

 私は彼の魂の容量的に出来そうだからするだけよ。

 普通は一人につき契約も一つしか無理なんだけど、魂の容量が大きければ複数も可能になるわ』


 『では、彼の魂は悪魔の方二人分ぐらい大きいと?』


 『勘違いしているようだけど、正しくは最高位悪魔二柱と契約できる魂の大きさとなるわね。

 普通の人間は悪魔一柱としか無理よ。

 仮に魂が大きくなったとしても、その分だけ契約が大きくなるだけ。

 つまり相手の魂に負担を掛けないギリギリしか力を発揮できないの』


 『だからこそ契約相手の魂が大きくなれば、契約した悪魔の契約印もそれに合わせて大きくなる。

 最高位悪魔二柱分ともなれば、相当の大きさの魂が必要になるという事だ。

 そして契約の大きさによって、悪魔から力を貸してもらえる。

 それもまた契約の力だ』


 『では、橘君は女王様と魔王様の力がお借り出来ると?』


 『魔王……まあ、いいが。そういう事になるな』


 「ふふ……」


 総理にまで魔王様って言われてる事に七尾さんも笑ってる。

 エルトアリアさんは、あの姿だと確かに魔王様だからなぁ。


 『力をお借り出来るというのは凄いですが、なぜ橘君だけがそこまで優遇されるのでしょう?

 あくまでも疑問として聞くのですが』


 『それは彼が【精魂の雫】だからよ』


 『おい!』


 『別にいいじゃない。

 この後で私も契約するんだから、そうなれば彼をどうにかしようなんていう同胞も居なくなるわ。

 たとえ【精魂の雫】といえども、手を出したら殺す。

 それは私もエルもはっきりと言える事でしょう?』


 『当然だ。

 遠くない未来において我の夫となるのだからな。

 貴様のではないぞ?』


 『そこは流石に分かってるわよ。

 という事で、彼を優遇する理由はあるという事ね』


 なんかハッキリとバラされたんだけど………これ、大丈夫なのか?

 ネットで嫉妬されたり、面倒な書き込みとかが増えそうな気がする。


 「なんか、ご愁傷様だね」


 すっごい他人事みたいに言われたけど、七尾さんからすれば完全に他人事だからなぁ。

 仕方ないか。


リアクションありがとうございます

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