0057
Side:エルトアリア
「貴様らが知らずとも、貴様らが我に喧嘩を売ったという事実は変わらぬ。
それに関してどうするつもりだ?
ここのゴミが我が契約者を脅していた事は紛れもない事実」
我は一旦こやつらを睥睨したうえで、改めて言葉を紡ぐ。
「そもそも本人が証拠の動画をあげておるくらいだ。
その事をどうするつもりなのだ?
貴様らはゴミの飼い主であろうが、責任が無いとは言わせんぞ」
「そ、それは………」
「貴様ら警察とやらも同じだ。
我の契約者を侮辱するとは、つまり我を侮辱するのと変わらん。
貴様らはそれに関してどう責任をとるつもりだ?」
「いや、それは、我々に言われましても……」
「まずは貴様らの所へ行くべきか。
そもそも契約者いわく、通報をした後は最寄りの警察が動く事になっておるという、その最寄りである貴様らが動かなんだのだ。
しっかりと精査する必要があるな。
それに………貴様ら何故ここに来た?」
「我々は、ここ文京放送で暴れている者が居るという通報がありまして、それで慌ててやってきたのですが……」
「ほう。
となると、ここの連中が通報したか、それとも我の配信を見ているヤツがやったかのどちらかだな。
なに、通報をしたのが誰かを調べれば分かる。
緊急通報なら声が残っておるし、警察のサイトに書き込めばどこから書かれたかが分かる。
どのみち逃げる事など不可能だ」
我がそう言うと、ここの連中と警察が息を呑んだ。
下らんとしか思えんな。
我ら悪魔が喧嘩を売られて、適当なところで済ませると本気で思っているのか?
これは改めて宣言をしておかねばならんな。
「配信を見ている者どもよ。
我ら悪魔を舐めるとは、我らの沽券や面目に傷を付けるに等しい。
当然ながら報復があると心得よ。
特に我は最高位悪魔だ。
最高位にある悪魔が舐められるという事は、悪魔全体が舐められるに等しい。
当然ながら許す事は無いし、その報復は苛烈なものとなる」
「そうせねば面目を回復できないのですから当然ですけどね。
この国の者は、かつて武士という者達が居たにも関わらず忘れているようで。
他者の面目を傷つけた以上、それは戦争の引き鉄にしかならないのですよ。
良い悪いは別にして、確実に戦争が起きる。
当たり前の事です」
「そもそも最高位にあられる方を侮辱されて、私達が怒らないとか本気で思っているなら、そいつらはまとめて家畜でいいでしょう。
散々搾り取った挙句、完全に使えなくなったら長く拷問に掛けて苦しめ続ければいいだけですし」
「主様の作られる高次圧縮精神触媒とは、拷問に掛けられ苦しんだ者達の嘆き、悲しみ、絶望、諦観。
そう言ったモノを寄り集めて圧縮し、その後にも色々として出来上がるモノなのですよ。
そして、お前達人間も素材に出来る事は既に判明しています」
エギルターサが言う事で、配信を見ている者達も理解したであろう。
本当の意味で人間牧場を作る可能性がある事にな。
今は無いが、実際に人間牧場を作っても構わんのだ。
何らの問題も無いし、愚か者は徹底的に監視した方が良い。
自由など与えても何の役にも立たんのだ。
なれば与えぬ方が良いのは当たり前の事でもある。
そんな事を考えていると、グラドウェムが報告をしてきた。
「主様。どうやら佐藤道明なる者が、鳥居の前に突き出されたようです。
参りますか?」
「そうだな。ここの連中と警察はその後だ。
猶予をくれてやるから解決しろ。出来なければ滅べ。
ではな。ルヲンヌ」
我はエギルターサとグラドウェムを連れて【転移魔法】で鳥居の前へと飛んだ。
その我の前にすぐ現れたのは、いつぞやのグルデスタ家の者であった。
こやつが捕縛したのか?
「そなたは第一魔性貴族であるグルデスタ家の者であったな。
そなたが捕縛したのか?」
「いえ、私ではございません。
捕縛したのは、その……」
何故かは分からぬが歯切れが悪いな。
いったいどういう事だ?
我が訝しんでいると、捕縛したと思われる元凶が我の前に現れた。
「捕縛、私」
「お前は………<呑喰のユティフィ>。
まさかお前が捕まえるとは、余程に高次圧縮精神触媒が欲しかったか」
「当然。喰うものタダ、遠慮しない」
「本当に貴様は変わらんな。
………ほら、受け取るがいい」
「………200グラム、ある?」
「あるに決まっておるだろう。
貴重だからゆっくり食うのだぞ?
後、他の者達に奪われんように注意せよ。
暴食の連中は食い物の事となると、最高位悪魔が相手でも襲ってくるからな」
「大丈夫、食い物」
「そうだろうとも。
同胞ですら喰らうのが貴様らであり、喰う事に躊躇いなど存在せぬからな。
ただし休む必要は誰にだってある。
そこには気を付けろと言うておるのだ。
ではな、我はゴミを受け取りに行く」
「じゃ………ルヲンヌ」
ユティフィが【転移魔法】で消えた後、我はグルデスタ家の者の案内でゴミのいる場所へと行く。
そこには腕と足が食い千切られた人間が居た。
なるほど、喰らって動けなくしたか。アレも容赦ないな。
「貴様が我が契約者に手を出したゴミ、名は佐藤道明だったな。
我から逃亡しようとは随分と舐めた事をしてくれるではないか。
それだけの覚悟が出来ておると見做すぞ?」
「ぐ……なんで、こんな目に遭うんだ……」
「おやおや。
未だに己の愚かさに気づいてもおらぬとは、これはやはり拷問で目を覚まさせてやらねばならんな。
そうすれば己の立場も理解するであろう。
では行くか、ルヲンヌ」
我は屋敷の地下の専用拷問部屋へと転移し、早速とばかりに拷問を始めた。
もちろん徹底的に暴く為だ。
背後関係も含めて全てな。
…
……
………
「あが、がが……ぐ……げ………」
「もう止めて下さい許して下さいお願いですから肉を食わせないで下さい……」
「断る。
何故お前達のようなゴミの為に食料を用意してやらねばならんのだ。
【治癒魔法】の一種である【再生魔法】で好きなだけ治せるのだ。
貴様らの肉を喰えばよい。
無駄に食料を減らす必要など無いのだ」
「むしろ自分の肉を食う事で、今もまだ生きている事を実感できるでしょうに。
なんて贅沢を言うんでしょうね、こいつらは」
「この程度で精神的に限界なのですから弱すぎますね。
本当にゴミの如き弱さと脆さ。
この程度の者が理解もせずに主様に喧嘩を売るなど………そんな事だから食わされるのですよ」
まったく他の物を食わせぬ訳でもないというのに、軟弱な奴らよな。
「せっかく地球に私が行って買ってきたパンなのに、こいつ半分も食べてませんからね。
腹の立つヤツです」
「まあ、切れ目が入ったパンの間に、自分の股間のアレが挟んであれば食べる気も無くなるでしょうがね。
そのうち喜んで食べるまでに壊れるでしょう。
楽しみですねえ」
「我に敵対するとは、こんな生易しいものではない。
覚悟しておけよ、貴様ら。
地獄はまだ始まってもいないぞ?」
我のその言葉に、遂に我慢の限界を超えたのだろう。
ヤクザとか言っていた者が逃げ出そうとした。
「あぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーっ!!!」
そう叫んで逃げるものの、拷問部屋の入口まで辿り着く事も出来ずに投げ飛ばされた。
ドスン!!
「がはっ!!??!?」
「相変わらずメイド長は綺麗に動きますね。
私はそんな面倒臭い動き方なんて、絶対にしませんけど」
「貴女は無駄に動きすぎなのですよ。
だから力任せのバカにしかなれなかったというのに」
「ちょっと! 幾らなんでも、それは言いすぎでしょう!!
主様でも、そこまでの変態的な動きはしませほあっ!?」
ギリギリで回避したか。
昔は直撃を受けていたが、随分と戦えるようになったな。
ま、昔を思い出しても仕方ないので、戻って録画させていた動画を流すか。
出来得る限り加工はせぬようにして流すのだが……
反応が楽しみだ。




