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 Side:橘八重



 とりあえず掲示板に奴らの所業をアップしたけど、どうやら必死になってテレビ局は放送しない努力をしているらしい。

 家にテレビが無いので分からないが、完全に間違った努力をしてるようだ。

 俺なら絶対に他局を叩いて逃げるけど、マスコミはとにかく結託するのが好きなんだろう。


 とはいえネット上にはアップされているうえ、もはや多くの人が確認したという事実がある。

 あの脅してきたヤツは文京放送、つまりはここ文京区にあるテレビ局らしい。

 とはいえ小さいテレビ局であり、かつての大きなテレビ局が潰れた際に、色々な所の者が集まって出来たみたいだ。


 なので中の連中のモラルとかは無いんだそうな。

 とにかく昔と同じで、視聴率という数字だけを追いかけている連中なんだと。

 本当かどうかは分からないけど、掲示板のニュース板に自称テレビ関係者がそう書き込んでいた。

 とにかく巻き込まれたくないらしく、独断で書き込んだと書いている。


 巻き込まれたくないという気持ちは分かるけど、同じテレビ関係者もコレだからな。

 自分達に火の粉が掛かるのが嫌で逃げただけ。

 自浄能力という意味では欠片も無い。

 まだ叩いて自分は潔白ですよとアピールする方がマシだと思うが、似たような連中だから批判も出来ないんだろう。


 そういう連中だって事に呆れてくるが、元々そんな連中でしかないと言えば終わる話か。


 「ふぅ………」


 俺は夕食の弁当を食べながら掲示板やニュースを確認していたが、食べ終わったので息を吐いた後にお茶を飲む。

 後は歯を磨いて寝るだけか。

 といっても食後すぐに寝たりはしないけどね。


 お茶を飲んだ後で用意をし、そして共用のキッチンで歯を磨く。

 それが終わったら、さっさと部屋に戻って暇潰しの続きだ。




 さて、あれから2時間ほど経ったのでもう大丈夫だろう。

 それじゃあ、そろそろ寝るかな。

 長く起きている意味も無いし、さっさと寝て体と精神を回復させないといけない。

 明日も休みだけど、明後日は異界に出発だ。

 それまでには完全に回復しておきたい。


 それじゃ、おやすみ。


 …

 ……

 ………


 ドガァァァァァァン!!!


 「ガッ!?!?!!」



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 Side:エルトアリア



 「は? またですか? ……ルヲンヌ」


 寝ていた私は跳ね起きると、自分の恰好を確認した後で【転移魔法】を唱えました。

 今着ているのは今日買ってきたジャージとかいうのです。

 伸縮する生地で出来ており、寝る時に丁度良かったので買ってきたのですよ。

 私だけならば、誰に見られる訳でもありませんからね。


 それはともかく、いったい彼に何があったというのか……。

 そう思いながら転移して唖然としてしまいました。

 どうやら彼の住む家畜小屋が破壊されているようです。

 何かの塊が突っ込んでいるようですが、これは車とかいうヤツですかね? ………む?


 私はここから遠ざかろうとする者を感知し、即座にその者を地面に叩きつけました。

 この状況で逃げようとするなど怪し過ぎます。

 私はすぐに【転移魔法】を唱え、怪しい男を虚界の屋敷の拷問部屋に監禁。

 即座に【転移魔法】で戻りました。


 彼が生きている事は契約を通して確認できていますし、死ぬような状況でないのも分かっています。

 なので怪しい者を先に確保しておいたのですね。


 それはともかく、そろそろ彼を助けねばなりません。

 しかし派手に車とやらが突っ込んでますので、骨が折れそうです。


 「ここに居るようなので、まずは上に積み重なっている瓦礫を取り除きますか。

 面倒ですが【魔法】を使うと彼の命も危険に晒してしまいますからね、それは出来ません。

 地道に取り除きますか……」


 私は仕方なく一つずつ瓦礫を放り投げて取り除いていきますが、なかなか進みません。

 そうしていると近くに住んでいる者なのでしょう、手伝いに駆け付けました。

 こういう時には非力な手でも助かりますね。


 「おい、大丈夫か!?

 警察と消防に連絡はしておいたから、すぐに救助の人達はやってくるぞ!!

 だから声が出せなくても頑張れよ!!」


 なるほど。ああやって励ますと効果があるのでしょうね。

 まあ、私は彼が生きているのは分かっていますし、彼以外がどうなろうが興味もありません。

 なのでいちいち声掛けなんてしませんがね。

 不特定多数を助ける場合には有効なのでしょう。

 精神の死も肉体の死も変わりませんから。


 ドサッ!!


 しかし車が突っ込んでくるとは、どういう状況なのでしょう?

 何故こんな事になっているのかは………やはり先程の男に聞くしかないでしょうね。

 私の拷問に人間如きが耐えられるはずも無いので、すぐに真相は分かるでしょうが……


 ドサッ!


 しかし瓦礫が邪魔です。

 派手に彼の部屋めがけて突っ込んでいる感じですが、彼はよく無事でしたね?

 ある意味で運が良いと言うか、何かがあって助かっているのでしょうか。

 少なくとも彼がほとんど怪我をしていない事は、契約を通して分かっています。


 なので心配は一切していないのですが、むしろほとんど怪我をしていない理由が気になってしまいますね。

 ここまで派手に壊れているにも関わらず、何故か彼はほぼ無傷という不思議な状況。

 私でなくとも「何故?」と思うでしょう。


 ドサッ! ガラガラ……


 瓦礫を遠くに放り投げていたら、積まれたようになっていて崩れてしまいました。

 面倒になって適当に放り投げていたのが良くなかったのでしょうね。

 それでも瓦礫の量は減ってきましたから、もう少しでしょう。


 ウーーーー!! ウーーーーー!!


 何か五月蠅いのが近づいてきましたが、もしかして近所の者が言っていた「けいさつ」と「しょうぼう」とやらでしょうか?

 よく分かりませんが、私の邪魔をしなければ何でもいいです。

 それよりも、そろそろ彼が見えて来るはずですが……


 「君、危ないから早く離れなさい!

 後は我々に任せて早く離れなさい! 危険だから!」


 「五月蠅いですね。

 お前達人間如きが、悪魔の私の心配など百万年以上早いのですよ」


 「えっ? ……こ、これは悪魔の方でしたか!

 しかし、なぜ悪魔の方が瓦礫の撤去などを……」


 「ここに住んでいるのは私の知り合いなのです。

 ならば助けておかしな事などはありません。当然でしょう。

 それよりさっさと自分の為すべき事をしなさい」


 「は……ははっ!!」


 なぜ私が命じたみたいな態度をするのでしょうね。

 それよりも居ました! が、もしやまさか………!?


 「ぐー………ぐー………」


 「まさか暢気(のんき)に寝ているとは思いませんでしたよ。

 何かしらの危険に晒されているという反応があったのに、その反応の本人は寝ているとか……訳が分かりませんね。

 一応、本人の危機意識と連動して、私に反応が送られるはずなのですが……?」


 私は寝ている彼を抱き上げようとしてふと気づきます。

 ほぼ無傷だと思いましたが、体を打った跡がありますね?

 それに………しまった。

 悪魔の私には分かりにくいという弊害がありましたか。


 刺された傷などだとハッキリと分かりますが、打ち身や肉体内部への衝撃などは分かり難いようです。

 見て分かりましたが、明らかに内臓系統にダメージを受けていますね。

 おそらく衝撃で気を失った後に眠ってしまったのでしょう。


 「カムトアル・ディコス・ヴェルアーラ」


 これで無事に体の内部の傷も治ったはずです。

 未だ寝ているのもどうかと思いますので、彼を起こす必要がありますね。

 家畜小屋が破壊されている訳ですし、どこに住むのか決めねばなりません。


 私の所に来るのが一番いいのですが……

 そう決めてくれないものでしょうか。


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