0032
Side:橘八重
俺はSCCでSDを多少売り払った後、異界に行く為に新宿へと移動。
俺の所持していたSDは5000を超えていたので、キリのいい2500を残して後は売った。
保険ギリギリまで売っぱらっても特に問題はないので、収入の為にも売っておいたんだ。
精神防壁に関しては契約があるので並の悪魔相手だと、何もしていなくても心は読まれない。
その事はエルトアリアさんに聞いている。
なのでわざわざSDを精神防壁の分まで残す必要は無いんだ。
もし何かあっても、残っているSDを使えば済むし。
異界まで行けば、そもそも他人が居ない。
他の人達と鉢合わせになる場所はあるが奥の方なので、そこまで進めない俺にとって異界の中で心を読まれる事は考えなくていい。
心を読んでくる悪魔の人が居ないし。
(だから異界に行くまでは警戒しておかなきゃいけないんだけど、契約の守りを突破するような悪魔は地球には居ないだろう。
いや、仮に居たとしても日本には居ない。
そもそも色欲の最高位悪魔はエルトアリアさんと女王陛下なんだ。
居たとしてもエルトアリアさんだけだな)
そんな事を考えつつ電車に乗って新宿へ。
そして鳥居に移動していると、人だかりが出来ていた。
何だと思って確認してみると、<ローズガーデン>が何やらやっているみたいだった。
<ローズガーデン>というのは女性探索者グループであり、強烈なアンチがいる事で有名でもある。
それも当然で、当時大人気だった七尾はるさんの心を圧し折った連中が<ローズガーデン>だからだ。
正確には当時の七尾さんの心を圧し折った連中は大バッシングを喰らい、このままではマズイと固まって作ったのが<ローズガーデン>だ。
個々の探索者のファンが“信者”と言われて推しているだけで、世間的には嫌われたままの人達。
それが<ローズガーデン>でもある。
俺はその人達の塊は避けて鳥居に進むも、なぜか<ローズガーデン>の筆頭である桃木という女に見つかった。
厚化粧を揺らしながらこっちに近づいてくるのは止めてもらいたいうえ、なぜか“信者”がこっちを睨んでくるんだけど?
「ああ、良かった! ここに居れば見つかると思ったのよ。
アナタSCCで一番くんに絡まれてた人よね?
私は<ローズガーデン>の桃木紹子よ。
後ろは他のメンバーね」
「桜川裕子でーす」
「吉川百合子よ」
「九島楓ね、よろしく」
「梅木京香よ、覚えてね」
「は、はぁ………」
自分達をアイドルか何かだと思ってるのか?
全員30回ってるから、大分痛々しいぞ。
これで現役アイドルならまだ分かるけど、こいつら探索者であり、つまりは素人。
正しくは厚化粧して綺麗なフリをしているだけの素人でしかない。
しかも人相の悪さは厚化粧で隠せてないし。
「それでねー、君の持ってる装備なんだけどー………私達にくれない?」
「は?」
「桃木も言ったけどー、それ君みたいな新人さんは持っちゃ駄目なヤツだからね?
私達が使うのが一番相応しいってわけ。
分かるでしょー?」
何言ってんだ、コイツ?
「何言ってんだ、コイツ?」
「あぁ゛?」
ヤッベ、ついつい心の声が洩れちまった。
とはいえ汚ねえダミ声だな? 本性出てるぞ。
「いや、すみません、ついつい本音ゲフン! ゲフン!
口から何かが出たらしく失礼しました。
それでは俺はこれで……」
意味の分からない頭のおかしい連中は無視して、さっさと異界に行こう。
こんな連中に構ってる暇なんて無いし、俺は忙しいんだ。
それに追いかけられても面倒なんで、さっさと悪魔の人達が居る所まで行ってしまおう。
そうすれば契約印の事もあって悪魔の人達は味方をしてくれるはずだ。
「おい、ちょっと待て!
桃木さんが寄越せって言ってるだろうが!!」
げ、信者が追いかけて来た。
<ローズガーデン>も信者もクソだなと思うけど、どっちもどっちだから連中は固まってるんだろう。
それでも俺は無視して鳥居の前で並んでる人の最後尾に並ぶ。
ここなら見ている人も多いし、大丈夫ッ!?
ガンッ!!
「ハッ!
桃木さんが寄越せと言ったのに、渡さないからそうなるんだよ!!
おい、コイツから装備を引きはがすぞ!!」
「「「「「「「「「「おう!!」」」」」」」」」」
く、そ……頭をブン殴られたのか?
痛いというより、気が遠くな
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
Side:エルトアリア
「は? ……ルヲンヌ」
私は彼が命の危機にあるのを魂の繋がりから感じ取り、即座に地球へと転移しました。
いったい地球で何があったのか分かりませんが、私の夫を殺そうとするとは………
滅ぼしましょうか、そんなゴミども。
私は築地という所に転移した後すぐに彼の反応を見つけたので、そこに急行します。
場所を知らなければ転移は出来ませんし、現地にどんな障害があるか分からないので、知っている場所以外は転移しない方が無難です。
私は転移をする前に、あらかじめ転移地点を確認してから飛びますが、これは転移魔法を使ううえで常識的な事です。
そうでなければ壁の中に埋まったり、体と障害物が一体化したりしますからね。
大変に危険なのですよ。
私は急ぐ為に空中に足場を作って駆けましたが、この程度ならば下っ端の中でも出来る者は居ます。
なのでこの方法は移動に使われる事が多い方法であり、一般的な移動法の一つですね。
「あのゴミが大量に居………死ね」
ドゴォン!!
私は彼から着ている物などを剝ぎ取ろうとしているゴミを踏み潰しました。
彼に手を出す者である以上、悪魔であろうが人間であろうが、私にとっては殺す対象でしかありません。
「な、なんだ!? いったい何が起こったんだ!?」
「凄い音がしたぞ、いったい何が降ってきたんだ!?」
「そこの奴らがいきなり人を襲ってたんだ!
その後になぜか爆発音がして、誰かが落ちて来た!」
落ちてきたというのは私ですが、仲間が踏み潰されたからか固まってますね。
そんなゴミどもはともかく、彼は頭から血を流しているものの気を失っているだけのようです。
やれやれ、死んでいないのであれば幾らでも治せますね。
「カムトアル・ディコス・ヴェルアーラ」
よし、これで彼の傷は治りました。
さて、ゴミどもを始末しますか。
私の夫に手を出した以上は、死あるのみ。
「な、なんだよ、お前は!
いきなり仲間を殺すなんて非道、幾ら「ケェル」あく」
ドゴン!!
爆発の魔法を腹に喰らったゴミは一撃で肉片になり死にました。
暴食の連中が怒りそうですが、私は人間を喰うものではありませんからね。
奴らの食い意地など知った事ではありません。
「さて、彼に手を出した以上、その者は死あるのみ。
私の契約者に手を出した以上は赦される道など無いのですよ。
それに………お前達ゴミは盗人のようだ。
ならば殺しても何の問題も無い」
「な!? こ、こいつが<ローズガーデン>に素直に「ウルゲェル」渡さ」
ドゴォォン!!
少し強めの爆発魔法にしてやりましたが、少々強かったですかね? 彼に爆発の余波が届かないようにしなければ。
他の有象無象やゴミなどはどうでもいいですが、彼は大事ですからね。
彼には更なる進化をしてもらい、私との間に子を成してもらわなければなりません。
言うなれば最高位悪魔である私の因子と、<精魂の雫>の系譜の因子が混ざりあうのです。
どれほどの子が生まれるか分かりません。
それを害そうとする者など、そもそも存在する価値が無いのですよ。
「お前達ゴミどもの下らぬ言葉など聞く価値が無い。
いえ、そもそもお前達のようなゴミは存在する価値も無い。
ここで死ね」
リアクションありがとうございます




