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 Side:内閣総理大臣



 「民衆党、辻木君」


 「総理、異界内において人殺しを行った事に関する政府の見解を問いたいと思います。

 件の有名になった少年が異界内において他の世界の方を殺した、これは殺人に当たるのではないでしょうか?」


 早速この件を槍玉に挙げて政府与党を糾弾(きゅうだん)しようという事なのであろうが、いつもいつも変わらんな。

 こいつらは揚げ足取りしかしない。

 そもそも答えなど、既に彼の配信した内容で出ているではないか。

 にも関わらず、いちいち蒸し返しおって……!


 まあ、そうやって揚げ足取りで怒らせておいて、失言を引き出そうというのもこいつら野党の常套(じょうとう)手段だ。

 やっている事が文屋(新聞記者)と何も変わらないという自覚すらない。

 これが政治家の仕事だと思い込んでいるのだからな。


 だからネット上で<政治ごっこ>などと揶揄(やゆ)されているというのに、こいつらは厚顔無恥にも平然としている。

 恥も何も無い所は、実に“あっち”の人間だとしか思わんがね。


 「安倍川、内閣総理大臣」


 「議員の質問に答えさせていただきますが、政府与党と致してましては、件の少年が何らの法的責任も負う事などないという事を明言しておきます。

 配信動画内でも語られていましたが、異界の内部は我が国の領土ではございません。

 で、ある以上は、日本国の法律を適用できない。

 それが理由でございます」


 「民衆党、辻木君」


 「総理、しかしですね。

 彼の行いは明らかに殺人であるという事を語っている専門家の方もおられます。

 その事はどのように考えておられますか?」


 「安倍川、内閣総理大臣」


 「残念ながら、その専門家とやらにお会いした事が無いので分かりかねます。

 辻木議員がよろしいのであれば、ぜひその専門家の方を国会の場にお呼びいただきたいと思います」


 「「「「「「「「「「わはははははははははは………!!!」」」」」」」」」」


 「静粛に。内閣総理大臣の答弁中であります」


 「政府として有識者や専門家、あるいは悪魔の方々にもお聞きしたところ、先程の答弁と同じように異界の中には日本国の法律を適用できない。

 その言葉で一致しておりました。

 そもそも異界の中は複数の異世界と繋がっておるとのこと。

 で、あるならば、どこの法律を適用するのでしょうか?

 まず、そこを決める事ができないのです」


 「民衆党、辻木君」


 「総理、それでは好き勝手をやってもよいという事にしかなりません。

 これでは犯罪などやりたい放題になってしまいます。

 その事をいったいどのようにお考えなのでしょう?」


 辻木議員が「ニヤニヤ」しだしたという事は、本当に攻めたかったのはコレか。

 要するに彼に対する圧力ではなく、政府がやりたい放題を許すのか? という感情論に持っていきたいわけだな。

 相変わらず下らない事を。


 「安倍川、内閣総理大臣」


 「先程の辻木議員の言葉にお答えをさせていただくと、今までと変わらない、であります。

 今まで問題視していなかったのは御党も変わらないはず。

 急に問題視して糾弾(きゅうだん)を始めましたが、今まで問題視していなかったのは御党も辻木議員も変わりません。

 私に対して質問をする前に、何もしていなかった御党と辻木議員がどのようにお考えなのかお聞きしたい」


 「民衆党、辻木君」


 「総理! 質問をしているのは私です!

 質問に答えて下さい!!」


 「安倍川、内閣総理大臣」


 「質問も何も、今までと変わらない、そうお答えいたしました。

 そもそも異界内に日本国の法律は適用できない、これが全てであります。

 そのうえで、何もしてこなかった御党と辻木議員はどのようにお考えなのかを問うているだけでございます」


 「民衆党、辻木君」


 「総理! では何もしないつもりですか!

 それで済むと思っているのですか! 総理!!」


 「安倍川、内閣総理大臣」


 「異界内に日本の法律は適用できない。それが全てであります。

 しかし辻木議員は質問をされるわりに、私の質問には全く御答えにならないのは何故でしょう?

 辻木議員こそ私の質問に御答えいただきたい」


 「「「「「「「「「「わははははははははは………!!!」」」」」」」」」」


 「静粛に。質問中ですので、静粛にお願いいたします。

 民衆党、辻木君」


 「総理! 総理こそ私の質問に答えていません!

 きちんと答えて下さい!!」


 「安倍川、内閣総理大臣」


 「先程からお答えしております。

 異界内に日本の法律は適用できない。これが全てであります。

 それと、質問に答えていないのは、私ではなく辻木議員でしょう。

 私からの質問にお答えください」


 「民衆党、辻木君」


 「総理! いい加減にしてください!

 いったい、いつまでこんな茶番を繰り返すんですか!!

 ちゃんと質問に答えて下さい!!」


 なるほど。

 私がまるで質問に答えないで逃げたかのような印象を与えたいわけか。

 言っている事は支離滅裂だが、どうせテレビ局が都合よく切り貼りして“編集”するのだろう。

 こいつらの都合よくな。


 とはいえ、今や国会中継でさえ生放送でネット上に流れているのを知らないのか?

 そしてそれは残るんだぞ?

 今までのように日中に放送し、国民の大多数が見ていないというのは変わらない。

 だがな、後で好きなだけ見返す事が出来るというのは、意味が全く違うのだぞ。


 お前達の悪行がいつまでもネット上に残るという事だ。

 こいつらは、そんな事すら理解できていないのか?

 いつまで1999年までの手法が通用すると思っているんだか。

 思わず内心で呆れかえってしまうな。


 「安倍川、内閣総理大臣」


 「再三に渡って言っておりますが、異界内に日本の法律は適用できません。

 これが全てでございます」


 「民衆党、辻木君」


 「総理はこのようにはぐらかすばかりで、何も答えようとしない。

 こんな事を政府与党は繰り返し続けている。

 皆さん、これでいいと思いますか! いいわけが無いでしょう!!」


 そんな事を言い出した辻木議員に対して、我が党から野次が飛ぶ。


 「演説なら外でやれ」


 「そうだ! そうだ!

 ここは国会であり、演説会場じゃないんだぞ。質問をしろ」


 「予算審議を演説の場だと考えているのか?

 これだから民衆党は鼻で笑われるんだぞ」


 「聞きましたか、皆さん?

 あれこそが驕った与党の正体です!

 ああやって上から見下して、我々のような少数意見を圧殺していくんです!!」


 「まず、選挙に勝ってから言え。

 国民、有権者の判断にケチをつける気か?」


 「「「「「そうだ! そうだ!」」」」」


 「静粛に。質問中でございますので、静粛にお願いします。

 それと辻木君は質問をするように。

 ここは演説会場ではありません」


 「………」


 辻木議員がチラリと後ろを向いたが、民衆党の大沢さんが合図を出したな?

 すると引っ込んだが………またあの人か。


 かつては自立党にいた癖に、野党に行っては同じ事をしている。

 あの人は自分が議員であれれば何でもいい人だからな。


 野党に行ったのも、地元の有力支持者がそっち寄りになったからというだけだ。

 徹頭徹尾、自分が議員で居続ける事にしか興味が無い。

 自分の名を売る為なら平気で何でも破壊する。

 日本の事なんて、これっぽっちも考えちゃいない。


 そんなあの人にとってみたら、鳩川なんて実に都合の良い駒でしかないだろう。

 “おこづかい”も沢山もらっているようだしな。

 本当に御坊ちゃんは碌な事をしないと改めて思う。


 アレに比べれば我が党にいる弟は何倍もまともだよ。

 素直にそう思う。


 っと、次は大陸と繋がってるアカい奴らか。

 こいつらも国会を演説会場としか考えていないというか、そもそもはこいつらが元祖だからな。

 本当に碌な事をしない奴らだが、日本破壊の工作員がまともな事をする訳も無い。


 アカい連中がまともな事をするなど、猿が人間を支配するよりもあり得ない事か。

 アレらに支配された結果が没落した国だし、あの思想に陥った結果は既に出ている。


 大陸だけが違うが、そもそもあいつらは、あの思想でさえ建前に使っているだけだ。

 大陸は共産主義じゃない、いつだって中華思想でしかないし、中華思想にしかなれない。


 始皇帝然り、劉邦然り、曹操然り。

 必ず野心のある者が出てきて崩壊する、それがあそこの歴史だ。

 だから奴らは毎回のように失敗する。


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